「アメリカの大都会をアメリカ映画以外で描く」ニューヨーク 親切なロシア料理店 ミーノさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカの大都会をアメリカ映画以外で描く
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群像劇。警察官の夫のDVから2人の息子と共にニューヨークに逃げてきたクララ。愛した人からひどい裏切りをされ、今は看護師をしながらホームレスやセラピーのサポートグループを運営している独身のアリス。犯罪者の弁護をして悩んでしまいセラピーに参加するジョン・ピーターと、彼に付き添っているロシアンレストランのマネージャーで弟を薬物中毒で亡くし自身も出所したばかりのマーク。仕事がいつも上手くいかず行き場がなくなった若者ジェフ。
一見、何事もないように暮らしている人たちも心に孤独や闇を抱えていて、お互い許し合い助け合うことの大切さを描いている。
警察官のDV夫の怖さは「セイフ・ヘイブン」で描かれている通り。しかしこの映画ではそこまでではなくて救われた。
途中、息が詰まる毎日に息子が公衆トイレの個室で号泣していたのをドアを蹴破って助けてくれたホームレスに対してクララが少しおどおどした視線を向け、それに対してホームレスの男性が「目を見ろ!私だって昔は家族がいた。君と同じだ!」と怒る。そうなんだよねー。紙一重。
映画の中で目立つのは、ホームレスへの食事のサポートや衣料の配布など、サポートプログラムの充実。公的支援でなくおそらく民間のプログラム。キリスト教の文化では施しをするのが習慣として存在するからこそ成り立つシステムで、施しを受けることが恥で、恥をかかせることになるからあまり施しをしない日本では、支援を民間に任せてはこのようには機能しない。
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