「隣人に優しく、親切にする事が幸せなサークルを生む」ニューヨーク 親切なロシア料理店 KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
隣人に優しく、親切にする事が幸せなサークルを生む
主人公のクララは夫の暴力、虐待から子供2人と家を飛び出しホームレスとなる。
マークは過去に弟が薬で捕まり自分の店を閉じ、そして刑務所行きとなった。後に弟も薬の過剰摂取で亡くす。
故に心を閉ざして今を生きている。
ジェフは障害を抱えているのか、仕事が人よりもできずミスが多い。故にどんな仕事に就いても長くは続かずホームレスとなる。
アリスは看護師という立派な仕事に就いているが、過去の恋人への裏切りが心に大きな傷を負いトラウマとなり今を生きる。自分が傷ついた分必要以上に人に親切に優しく接するが中々自分自身は幸せになれず苦しんでいる。
ニューヨークという世界的にも大都会で世界の人々が羨む街に生きる人々は皆が皆幸福に満ちているわけではなく、問題を抱えて生きる人も多く、必死に今を生きている。
ここに出てくる登場人物達は決してものすごく裕福な暮らしを皆が皆しているわけではなく、各々自分の生活でいっぱいいっぱいでもある。ただ困った人を親切に、そして優しく接していく描写が終始続いてとても温かい気持ちになる。
この作品の大好きなところは見返りを求めない優しさだ。
最終的にクララとマーク、そしてアリスとジョンは恋に落ち合うが、その関係は運命のような出会い方ではなく互いに優しく接し合い助け合い生きていく先に愛が生まれたわけだ。運命的な愛も良いが、この作品のような愛の生まれ方は非常に心打たれるものがあった。
もちろん恋がメインな作品ではない。困った人がいたら親切にそして優しく接し助け合う理想の社会とは現実はまだまだ程遠い。
この作品のようにまずは身近な存在、隣人と優しく、親切な、そして助け合える関係を築いていく事で小さな幸せな関係が、大きな優しさに溢れれた幸せなサークルと化していくのであろう。
最終的には恋に落ち合うが、見返りを求めず、人間が本来持つ他者への優しさや親切心を存分に描かれており、それらの心を擽る非常にハートフルな作品であった。
とても大好きな作品である。