屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカのレビュー・感想・評価
全58件中、41~58件目を表示
これはキツイです…
現実は「ジョーカー」より悲惨
酷すぎて完全拒否できなくて凄いと…
本当に人の所行なのかと思うと同時に、強烈なリアリティも感じてしまって、こんなの有り得ない、
とか、悪趣味な娯楽、と思うと同時に、この醜さこそがまさに人間なのかもと─。
完全に否定したいし拒絶したい気持ちはこの上なかったけれど、少しでも納得してしまうとヤバいくらいにどんどん入ってきて、自分の中にもあるかもしれない邪悪な潜在的な事柄に身震いしてしまう。
何ものにも縛られず解放されるというのは、こういう方向も有り得るのかなと思うと、ぞっとする。
人には決して勧めることなどできないし、極論、こんなの見なければよかった…とまで思ってまう。それほどまでに強烈で物凄い作品だった。
悪趣味に見えるこのサスペンスともホラーとも言える映画は、かなり志が高いように思うわけで、決して興味本位の怖いもの見たさのために作られているわけではない、というところは明確に感じたので、最大限評価したい。
でも・・・
憎めない殺人鬼フリッツ・ホンカ
ただ醜悪…
娼婦vs殺人鬼 ゴールデン・グローブ
醜悪を愉しむ
汚物を美味しく味わい、悪臭を胸いっぱいに嗅ぐわい、腐乱物とウジの大群に全身を浸らせ、存分に愉しむ映画。
気持ち悪くて気持ち良い、癖になる感覚。定期的に摂取しないと生きていけないのよ。
大嫌いで大好きな汚いトイレも堪能できた。
スクリーンに映し出されるモノの全てが隙の無い汚さで満たされていた。
人体が出しうる限りの最大値の不潔と悪臭を感じる。
堕落を極め、馬鹿を極め、醜さを極めた人間たち。
「こうはなりたくないものだ」と思いつつ、正直言って見下しつつ、自分も同類であることをふと実感しつつ。
フリッツ・ホンカの殺人はただひたすらに滑稽で無様で、快楽も計画性も美学も何も無い。
女を引っ掛け、役立たずな自分に苛立ち、嘲られ腹立ち、気付いたら殺している。その繰り返し。
「殺人鬼」と呼ぶことすらアホらしい生粋の頭の悪さと性欲の強さはむしろ個性的か。
被害に遭う女達だって、こう言っちゃなんだけど相当激ヤバである。全員歩き方が変。
フリッツも被害者たちも含め、ゴールデン・グローブに集う人たちの濃厚なキャラクターはおぞましく、それでいてコミカルで魅力的だった。
お気に入りは難聴の元将校。
わりと優しい人だと思っていたけれど、彼のある意味鬼畜の極みな行動にはだいぶ興奮した。
たぶん一番まともなのに可哀想な呼び名を付けられたアヌス店員も好き。掃除婦とその夫の捻れ具合もなかなか。
人間なんて所詮肉塊であることを痛感した。
重力に逆らわず、階段に打ち付けられる肉の音。
どんな人生を積んでこようと、命が尽きれば本当にただの肉と骨でしかないんだなと。
ではこの肉体のどこに命があるんだろう。
命はどの瞬間に消え去るんだろう。
生命体と肉塊の差はどこにあるんだろう。
そこまで考えて、分からなくなって、考えるのをやめた。
映画でも小説でもとにかく人が死ぬ作品を多く消費しているので、たまにこういうループに陥ってしまうんだよね。
フリッツ・ホンカという人間とその周りをかなり忠実に描き、奇妙で醜悪な生活を体感できるアトラクションのような作品。
後ろの人の足なのか前の人の頭皮なのか分からないけれど、リアルに嫌な臭いを嗅ぎながらこの映画を観られたのがまた良かった。もしかして4DXですか?
どこまでも腐臭に溢れた中で、唯一ペトラだけが美しく存在していた。
フリッツのみならず、この映画を観た者の全員が彼女をミューズとして見ていたと思う。
出てくる時間は少ないけれど、彼女が現れるだけでなんだかホッとしてしまうじゃない。
ペトラは最後に何を見ていたんだろう。
人生の儚さを見て、次の学期からはちゃんと勉強するようになってるといいな。何にもなれないのって結構しんどいと思うよ。
シュナップス漬け
1970年代にハンブルクの自宅で5年間に4人の婆さんを殺し解体した男フリッツ・ホンカの話。
ザンクトパウリのゴールデン・グローブという、貧乏労働者や浮浪者紛いの人間が集うバーに入り浸り、俺の家で飲もうと声をかけて連れ帰った女性に乱暴する主人公。
抵抗されたり暴れられると激昂し相手を殺してしまう超暴力男だけど、元々気性が荒いのでブチ切れと言うよりも普段の延長的イメージも。
タイトルが出る前からいきなり!?という始まりにちょっと高まったけど、ブッシャーやドッバーの描写はみせずちょっとショボーン。
まあ主人公の人間性のグロさをみる作品なんだねと切り替えて鑑賞。
30歳の娘って言ってるのに高校生が頭に浮かんじゃったり、とんだ妄想野郎な主人公だしw、1974年の一人目まではなかなか良かったけど、なんかそこから特に変化なく繰り返すだけ。
職場が変わってちょっとだけ違う流れになったけど、結局また…。
ギリシャ人ファミリーの件からさあ、いよいよ!と思ったら、あれ!?終わり…。
みられない程ではないけれど、こういう作品じゃ今更レベルのグロさの人間性で、抉られる様なドラマやエピソードは無く肩透かし。
物足りなかった。
さらに…エンドロールで本人の顔出たけど、言うほどの見た目でもなかった。
ファティ・アキン監督の新作!
ドイツのハンブルクで5年間で4人の老娼婦を殺した実在のシリアルキラー、フリッツ・ホンカを映画化。
監督は「ソウル・キッチン」「女は二度決断する」のファティ・アキン。
30代で世界三大映画祭(ベルリン国際映画祭、カンヌ国際映画祭、ベネチア国際映画祭)で評価されているアキン監督の新作が面白く無いハズが無い!
斜視、大きく曲がった鼻。気はいい奴だけれど、その独特のルックスゆえにモテず、行きつけのバー"ゴールデン・グローブ"でホームレスのような老娼婦をひっかけては自分の不遇はお前のせいだとばかりに暴力を振るう男を淡々と描く。
屋根裏に住む男が、自分よりも弱い者を虐げる事でしか自分を男を上げられない、底辺でウジのように這い回るどん詰まりの絶望が描かれている。
しかもそのフリッツ・ホンカをイケメンの22歳ヨナス・ダスラーが怪演している怖さ。
でも映画より殺人鬼より怖かったのは、明らかににどうかしてる殺人鬼がアル中で年老いた老女をボコボコに殴って殺してる不愉快なシーン中となりの席でケラケラ笑っていた人!
ムネヤケする最高な作品
狂気のアル中。
狂ってる
狂気の暴力
試写会で拝見。
絶対にデートムービーにしないように。
バラバラな人体損壊を、リアルに描いていますから!
1970年代前半、ドイツの美しく裕福な街の裏にある、貧民街で起きた実話がベース。
バーから老売春婦を拾い、酔って殺すことを日常生活にしていた実在の連続殺人犯=シリアル・キラーの話。
ただグロいお話しというわけでなく、酒を飲まなければおとなしいのに、飲むと理性が飛び、暴力が爆発する様を描くことで、「人間に潜む狂気」を描いていたと思います。
フィリッツは、子どもの頃から父親に暴力をふるわれ、母親からは10人の子の下の方だからと育児放棄され、児童養護施設に入れられた。
さらに働きはじめてからは、交通事故で鼻を砕かれ、醜い貌になったという過去の持ち主。
父親の暴力は、戦時中ナチスの強制収容所に収監されてひどい仕打ちを受け、戦後はアルコール依存症になったせい。
そういったドイツがしでかした戦争の影響で、戦後も貧しく狂った人間が生み出されていった時代の哀しみや、今の時代も「親からの暴力の連鎖」で狂った人間が作らせて行くという指摘も、作中には込められていた気がしました。
『僕たちは希望という名の列車に乗った』の超美形若手俳優ヨナス・ダスラーを、メイクで顔を変形させてまで、主演に起用したのは、殺人鬼の「狂気の目」を若手俳優のギラギラした目の光を使って表現したのだと思います。
全58件中、41~58件目を表示