劇場公開日 2020年2月14日

  • 予告編を見る

「『良い子にしないとフォンカが来るぞ!』空気感と寂しさと臭いが印象的な作品。」屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5『良い子にしないとフォンカが来るぞ!』空気感と寂しさと臭いが印象的な作品。

2022年4月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

悲しい

難しい

内容は1970〜5年間に4人が殺されるハンブルクで起きた娼婦連続殺人事件の犯人フリッツ・フォンカの日常風景を描いた作品。印象に残った言葉は『クソが!』と『空気が抜けてる又ペチャンコ!』で第二次世界大戦の爪痕がまだ残って人々を価値観という見えない断絶の壁にわけてしまった時代背景のと描写が印象的だった。境遇や立場では、インセル革命に先駆けたいつの時代も絶えず横たわる見えない壁を強く意識させられた。シーンや場面では、フォンカの部屋に多量のポルノ写真や人形があった事で、映画の登場人物全員と同じで寂しさで解けない呪いが正にホラー表現。底なしの寂しさと虚しさを紛わす為に酒に溺れた人達ばかりが臭いや味に溺れていく姿が生々しい。最初と最後に映像的に繋がる映画文法表現も上手い。真ん中辺りの車に引かれる転機になるシーンも素晴らしい。作品のテーマが難しい中、漂う臭い表現は過剰な程響いた。映画最後で現場見取り図は、暫く眺めてしまったが、自分の部屋の外にも遺体隠してたんですね。ネズミが腐敗しただけでもあれ程臭うのに階下のギリシャ人家庭はよく絶えたなあ。事実は小説よりも奇なりとは良く言ったモノだ。

コバヤシマル