「屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ」屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ たまきちさんの映画レビュー(感想・評価)
屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ
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実在した殺人鬼、フリッツ・ホンカの日常を描く話。
彼の住んでる屋根裏のボロアパート、その汚さや廃れた雰囲気が抜群に味の出ている作品。エンドロールでの実際の写真を見ればその再現の高さが伺える。
前半部分は何故?と思うほど呆れる理由で人を殺していく。淡々と。こういう殺人鬼が主人公の作品は大体が理不尽で自分勝手な理由があり、人を殺すのだが、この作品はそれに加えてフリッツ本人のだらしなさや醜さが精神的、生理的に見る者の憎悪をより膨らませてくれる。
スクリーンに映る理解ができない描写に苛立つ自分に鑑賞中気づくことかと。
だが、そんな彼も酒さえ飲まなければ、無害で普通の中年。ごく普通なのだ。けれど、孤独を埋めるために酒を飲む。自分の理性をコントロールできない彼はいつも暴走する。無理強いな愛を一方的に伝え、バーに蔓延る老売春婦を自宅に無理やり連れる。抵抗され、思い通りに行かなければ殺す。ただそれだけ。それが彼の日常。
後半部分の、孤独を埋めるため酒に頼る彼の姿、一度は酒を辞めようと努力する姿にどこか心当たりがあるようなそんな気がしたのも事実。
彼の場合、不器用で上手に人を頼る事ができず、それゆえ"殺人"という禁忌に手を染めたのではないのかなと。
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