「生活の一部の殺人」屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ ツネミさんの映画レビュー(感想・評価)
生活の一部の殺人
・フリッツの最初の殺人から発覚される所までを淡々と描いてて殺人が非日常の大事件ではなく日常の延長のような印象を受けて。
・フリッツ・ホンカの家が物凄く汚くおぞましかった。
・フリッツの周囲の人間すべてが世捨て人のような日陰者たちだらけでその中でもやっぱり上下があるようでその中では結構上の位置に属している感じが唯一の救いのような感じがした。
・殺人鬼が主人公ではあるけど、状況をみていると悲惨で最下層と思われる老齢の売春婦にもあんな不細工と持ち前のどうしようもない物を罵られて断られるような可哀そうな面は共感できなくもない。
・顔と姿勢と性格と生まれつきによる宿命の悲惨さが凄かった。フリッツだけではなく、兄弟や街の住人達もどうしようもない、なるべくしてなったような生活を送っている様子が悲惨だった。金八のいない昔の中学生日記を観ているようなヒーローのいない世界が続いてて、時代背景が1970年だから観れたけど現代に近い話だったら耐えられなかったかもしれない。
・殺された人達も風俗街と呼ばれている所では一番下位クラスのバーにいる老齢の売春婦というのがまた悲惨すぎる。中には戦争時の収容所で売春させられたという人も現れて抗いようのない時代を生き延びて、この生活っていうのが伺えてきつかった。
・フリッツの部屋も大量のスレンダーで魅力的な女性のヌードを貼ってある中でそういう女性とのセックスに憧れを抱くも叶わず老齢の体型も年相応の太った女性に相手をしてもらってるという救いのない状況にいる中でフリッツも周囲の友人達もアル中のようでとにかく酒を欲しているのも凄惨すぎる。弟も離婚した女性がいつか戻ってくると思うんだと淡い願いを語るのも切なかった。
・天井からウジ虫がスープに降ってきたら一生のトラウマになると思った。気持ち悪かった。
・当時の住宅事情なんだろうけど、風呂がなさそうで、仕方なしとは言えあんな狭い部屋で水場もなく凄いなと思った。相当臭そうだろうなと思った。当時から消臭スプレーってあったんだなとも思った。
・下半身丸出しで人殺しっていうのがなんか面白かった。そしてのきなみ巨体の女性を息の根が止まるまで描いてるっていうのを初めて観た。
・天使だったか理想だとフリッツが言ってた女性が留年する不良っていうのが良かった。
・主演の人が本物かと思うクオリティで凄く良かった。隣人にいてほしくない。
・フリッツが若い女性や好みの女性とヤリたいけど全然叶わず、誤魔化そうと苦しんでいる姿が迫真でとても良かった。
・尋常じゃなくアルコールをみんなが欲してて怖かった。
・身分不相応な願いを持つのは苦しみを生む原因なんだろうかと考えさせられた。
・真面目そうな学生があのバーに彼女と一緒に何故来たのだろうと思った。どこが気に入ったのだろう。その鼻っ柱を隊長?だったかの高身長のおっさんがうしろから小便かけたのが面白かった。
・ラスト、火事でわかるっていうのが面白かった。事実もそれっぽかった。