「狂気の暴力」屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
狂気の暴力
試写会で拝見。
絶対にデートムービーにしないように。
バラバラな人体損壊を、リアルに描いていますから!
1970年代前半、ドイツの美しく裕福な街の裏にある、貧民街で起きた実話がベース。
バーから老売春婦を拾い、酔って殺すことを日常生活にしていた実在の連続殺人犯=シリアル・キラーの話。
ただグロいお話しというわけでなく、酒を飲まなければおとなしいのに、飲むと理性が飛び、暴力が爆発する様を描くことで、「人間に潜む狂気」を描いていたと思います。
フィリッツは、子どもの頃から父親に暴力をふるわれ、母親からは10人の子の下の方だからと育児放棄され、児童養護施設に入れられた。
さらに働きはじめてからは、交通事故で鼻を砕かれ、醜い貌になったという過去の持ち主。
父親の暴力は、戦時中ナチスの強制収容所に収監されてひどい仕打ちを受け、戦後はアルコール依存症になったせい。
そういったドイツがしでかした戦争の影響で、戦後も貧しく狂った人間が生み出されていった時代の哀しみや、今の時代も「親からの暴力の連鎖」で狂った人間が作らせて行くという指摘も、作中には込められていた気がしました。
『僕たちは希望という名の列車に乗った』の超美形若手俳優ヨナス・ダスラーを、メイクで顔を変形させてまで、主演に起用したのは、殺人鬼の「狂気の目」を若手俳優のギラギラした目の光を使って表現したのだと思います。
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