「聖職者は神ではない」グレース・オブ・ゴッド 告発の時 はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
聖職者は神ではない
少年に対するあまりに罪深い性的虐待という犯罪行為。
あろうことかそれを聖職者である神父がその立場を利用して行っていた。
なによりこれが実話で現在進行形で裁判が行われているという真実。
1つの告発をきっかけに次々と立ち上がるかつての少年達。
一方で自分は訴えない、そっとしておいてほしいと望む被害者も多い。
声をあげた80人の他にどれ程の少年がその自尊心を傷付けられたのか。
背徳感こそあれど「自分は病気だ」と開き直る神父。
長年その愚行を知りながら神父を守ってきた組織。
心に蓋をして生きてきた3人の被害者がスライド式で登場する。まるでドキュメンタリーを見ているような感覚になる。
立場や環境は違えど抱える闇の深さは皆、計り知れない。
映画としては長い137分。けれどこの時間で彼らの30年分の痛みを語り尽くすことなど到底できない。それでもありのままの出来事を愚直に訴えかけてくるような、そんな137分でもあった。
聖職者とて人間だと思い知る。
それが誰であれ人の尊厳を傷付ける行為は赦されない。
神父は残りの人生全てで償い続けるしかない。
そしてこれが史実に基づく物語だと知った以上、私も結末を見届けたいと思った。
コメントする