劇場公開日 2019年5月24日

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「彼はなぜ帰ってきたか」ベン・イズ・バック andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5彼はなぜ帰ってきたか

2019年5月30日
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鑑賞方法:映画館

ベンは帰ってきた。クリスマスイヴに。そして繰り広げられる24時間のドラマ。
前半は親子の葛藤の物語である。息子を愛しながらも信じきれない母。どこか家族を試すような、作りものめいた息子。ぎこちない家族。無邪気な弟と妹。家族構成的には「ビューティフル・ボーイ」にそっくりなので対を成すといってもいいのかもしれない。
しかし自宅が襲撃され、飼い犬が連れ去られてからはサスペンスの様相を呈する。息子の「隠された」面を見せつけられながらも信じようとする母親と、自身を責め続ける息子の葛藤。
物語は大変分かりやすい時系列なのだが、ベンが帰ってきた後に焦点が当てられているため、なぜそうまでしてベンが「帰ってきた」のかがしっくりこない。どう考えても帰ってきてはいけない状況だったし、それは関係者全員が分かっていてなおかつ帰ってきた理由は何か。冒頭で触れられている要素では弱すぎて、まあ帰ってこないと物語が進まないのではあるが、その辺が気になってしまった。
薬物依存の恐ろしさは、直接的には描かれないがリアルだ。77日間クリーンだと語るベンが「78日目を無事に迎えたい」と語るリアル。娘を薬物で亡くした母親の涙と共感。そして彼が薬物中毒に陥った原因。
そして小さな街ならではの閉鎖性というか、しがらみというか...あれを見ていると絶対に帰ってきてはいけなかったんだな、何があっても...と思わされる。
ジュリア・ロバーツは強いようで非常に脆い母親だった。そしてロバーツが推薦したというピーター・ヘッジズ監督の息子ルーカス・ヘッジズ。彼はどの映画で観ても本当に生真面目をベースとしたキャラクターが似合う。生真面目が故にどこまでも堕ちていくタイプ。やはり、同世代の俳優ティモシー・シャラメとどことなく対を成す存在であり、この世代凄いなと思った。

andhyphen