「編集が雑」ある船頭の話 茉恭(まゆき)さんの映画レビュー(感想・評価)
編集が雑
一言でいえば、役者に助けられた作品。
これが実力が伴わない役者がやっていたら、
監督・脚本がオダギリジョーでなかったら、
目も当てられなかったろうと思う。
今作の主役、柄本明は常に作品毎になにかしら進化を遂げる恐ろしい怪物だし、
豹変した虹郎もまた、彼しか出来なかったろうと思う。
大事なところに主役級の役者をぽんぽんと配置したお陰で、
この作品のクオリティは保たれたという気がする。
撮影にクリストファー・ドイルを採用した事で、
画面は常に、『映え』なのが、
途中から慣れてきたものの、最初は舌打ちしたくなる絵だった。
本は悪くない。
刺さるセリフはなかったにしろ、
言霊を放つ役者によって、
素晴らしい空間を感じられた。
が!
編集が雑!
な、気がした。
草笛光子さんが草をそっと水に流すカットとか、
風による相乗効果とか、
なんだか尻つぼみのような気がするし、
こここそ繊細な表現だろうという場面が、
潔くカットされてて、
叙情に浸りたい観客をあっさり裏切ってくれたりもして、 なんだかなあ…でした。
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