「善悪の彼岸は存在するか」ある船頭の話 十二滝わたるさんの映画レビュー(感想・評価)
善悪の彼岸は存在するか
いい映画を見終わり、暗闇の映画館を出た後の現実の世界に戻るまでの、映画と現実を往復する奇妙な感覚が面白い。いい映画ほど長い時間、強い目眩に襲われる。
美しい風景、綺麗な映像、心に残る音楽、名だたる名優達の演技、残念なコンセプト。単純な原始的自然讃歌、おおらかな人々を打算的な薄情な人間へと変える悪としての近代化。時代劇のような勧善懲悪の演出演技。橋とホタルの擦りきれた対比。謎の人魚の泳ぎと謎の悪霊。映画館を出て、程なく現実世界に戻ることができた。
トイチの深層心理の挿入が深みをもたらしている点は素晴らしい。
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