「監督の〇〇観が詰め込まれた作品」ある船頭の話 まさきさんの映画レビュー(感想・評価)
監督の〇〇観が詰め込まれた作品
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映画ファンではなく、オダギリジョーファンとして、彼の人生観、人間観、生死観、宗教観、笑いの感性を垣間見ることができ、とても満足でした。
前評判通りの映像美にも引き込まれます。
主題として強く問題提起されるのは古いもの・新しいものへの価値観。新しいものへの期待、憧れと同時に抱く、古いものへの執着、憧れ。
便利さの追求による人間性の崩壊、社会的歪みが表現されている。
狩人の死のエピソードについては、生死観と宗教観が見えたように思う。
仏教、キリスト教、アニミズム、それらを思わせるものが散りばめられ、トイチは悲しいと言う。人が死ぬことは変わらないのに、宗教は分かり合わない。そんな悲しみか。
会話の中に登場する小ネタには過去出演作を思わせるネタや、おかしなセリフの間、リズムには監督の笑いのセンスが出たように思う。クスリとくる笑いが嬉しかった。
序盤、妙にきれいで丁寧なセリフに違和感を持ったが、徐々にストーリーにメッセージ性を感じ、世界に引き込まれていた。
キャストも豪華、メッセージは盛り盛り。詰め込み過ぎと言われるかもしれないが、大テーマは一貫して表現され、それに付随して監督の〇〇観が垣間見え、まとまっている。
オダギリジョーの長編初監督作、長年温めた脚本から彼の〇〇観を感じ、満足でした。
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