劇場公開日 2020年1月24日

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「永遠と言う言葉は、こういう時が一番正しい気がした」ロマンスドール 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5永遠と言う言葉は、こういう時が一番正しい気がした

2020年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ラブドールを扱っていながら厭らしさがない。携わっている人たちの誠実さが伝わってくるからだろう。脇を固める役者たちの安定感と安心感のなせる業でもあろう。
仕事にたいして卑屈さはないにしても、妻に嘘をつき通す夫。妻一途かと思いきや。まったくの純愛でもない。やはり魔が差す、お互いに。でも、だからこそ、ひと山越えた後に、相手を愛おしく想っている自分の気持ちを再確認できたのだと思えた。その感情を確かめて高めていく二人の時間の狂おしいくも切ないことったらなかった。
妻の持っていた「秘密」とはなにか?と気になっていたが、想定範囲内ではあった。むしろ、素性や生い立ちに何事かあるのか?と身構えていた分、ちょっと肩透かしを食らった気分ではあったけど。(本人にしたら重大事項ではありますが)
高橋一生の、ウブな演技は度が過ぎて、ちょっとわざとらしさを感じたが、後半、ドール制作に打ち込む姿の迫真さは見事だった。あのまま狂人にでもなってしまうかと危惧したが杞憂であった。ロマンスドール、「永遠」にふさわしい、素敵な呼び名だと思えた。

現実において、実際のラブドールの完成度には目を見張った。すごい技術だと感銘を受けた。ピエール瀧を久々に観れたのも嬉しかった。それと、音楽ではあるけれどネバヤン安部との兄弟共演、おめでとうございます。

栗太郎