「名作の続編というプレッシャーから逃げずに立ち向かった製作陣に拍手」ドクター・スリープ オレさんの映画レビュー(感想・評価)
名作の続編というプレッシャーから逃げずに立ち向かった製作陣に拍手
オーバールックホテルでの惨劇から40年、成人したダニートランスは発狂した父ジャックトランスと同様にアルコール中毒に悩まされ、最底辺の暮らしを送っていた。
幼い頃に覚醒したシャイニングの力を用いて社会復帰を果たした矢先、ダニーよりも強力なシャイニングの力を持った少女アブラとの出会い、その力を狙い彼らを襲ってきた不死の生命体との戦いに巻き込まれるダニーを描いた、傑作ホラー映画『シャイニング』の続編。
世界最高の変顔おじさん映画『シャイニング』、まさかの続編として話題になった本作。
原作未読の為、忠実さは不明だが、全編通して異色の雰囲気を帯びたまさにホラー映画の金字塔とされている前作と打って変わって、作中で曖昧な表現にされていた超能力「シャイニング」に焦点を当て、その力を生気として取り込もうとする不死の集団とシャイニングの力を駆使して戦うダニーと少女アブラというサイキックバトルアクションムービー的な体裁で続編と謳う割に違いすぎる毛並みに戸惑う作品だった。
相手の意識を乗っ取ったり、意識を別空間に飛ばしたりと前作に見受けられなかったようなシャイニングの新たな力の可能性の数々に何の映画なんだこれはと2時間近くボンヤリと眺めていた末に唐突に上がったオーバールックホテルの悪霊たちを敵のボスのローズにぶつけようというアイデアから始まる水面を舐めるように進んでいくカメラワークでお馴染みの『シャイニング』OPパロに目が覚める笑。
先ほどまで動いていたかのように何の違和感もなく起動するホテルの基幹システム、無人のはずのホテル内に現れた父の顔を持ったバーテンダーなど不気味だらけのオーバールックホテルにてついに対面するダニー、アブラとローズ。
一騎討ちの末、正気を吸い取られ絶体絶命の窮地に陥ったダニーの切り札、封印していたホテルの化け物達が一堂に見え、ローズ、ダニーの生気を吸い尽くそうとする奇跡の化け物オールスターズ大集合の図は微塵の恐怖も感じない大爆笑のハイライトシーンであった笑。
君たちは集まったらあかんて笑。
前述通り原作未読なのでわからないが、前作からのつながりがダニーとオーバールックホテルだけの為、続編と称するには少し無茶ではないかと思う反面、映画作品としては前作があまりにも完成され過ぎていて手を出しづらかったであろう中、ホテルもエレベーターも廊下も237ババアも双子もグレイディも盛会じゃも斧もダニーもウェンディもジャックも既成カットを使わず(使えず?)全て撮り直した度胸と手腕は讃えたい。
あとキューブリック印の白目演出を忘れなかったことも評価したい笑。