「さらば展望ホテル」ドクター・スリープ うにたん♪(新型コロナで巣籠もりDVD観賞)さんの映画レビュー(感想・評価)
さらば展望ホテル
『シャイニング』の40年後と書かれて後継作品めいてはいるが、明らかに路線を変えた作品。
150分と長尺ではあるが緩やかに且つ丁寧にアブラや“真実の絆”たちの能力を伝えていく。
“真実の絆”たちの存在からどうしても対決ムードになってしまい罠のし掛け合いになってしまうのは仕方ない。
序盤から中盤までのアブラの無双っぷりはともかくとして、主人公ダニーの無力さは悲しい。
老人介護施設で眠らせるような看取りをやっている。
シャイニングの能力が都合よいのは分かるが、ダニーの言うことを信じて協力する人々は皆それに掛かっているのか?そんだけ都合よいなら野球少年の件も家族に伝えてやれば良かったんでは?とか思ったが、この作品最大のツッコミ所はあの展望ホテルを遣うこと…だろう。
この使い方だと邪悪をもって邪悪を制す…よくある人気ホラーキャラクターを歪んだ制裁役として扱う図式と同じようだ。
映画『シャイニング』ファンなら仕事人の仕置きを見るが如く楽しめるのだろうか?
あのホテル再現し当時の演出を織り交ぜ、雪の迷路に迷いこませるのは懐かしい。
あの禍々しいホテルの化け物たちが“真実の絆”たちと同様に人の魂を奪う存在と分かったのは些か寂しい気がした。
“真実の絆”は能力のある人間の生気を吸って長生きするグルメだったが展望ホテルは“雑食”だったようだ。
その展望ホテルも燃えてしまい もはや次回作はないだろうと思う。
アブラのシャイニングは今後も輝き続けてほしい。