劇場公開日 2019年11月29日

  • 予告編を見る

「☆☆☆★★★(キューブリック版を観ているからこそ大甘で💧) 未だに...」ドクター・スリープ 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0☆☆☆★★★(キューブリック版を観ているからこそ大甘で💧) 未だに...

2019年12月6日
iPhoneアプリから投稿

☆☆☆★★★(キューブリック版を観ているからこそ大甘で💧)

未だにキューブリック版『シャイニング』は、傑作か!駄作か!の論争がかまびかしい。
とは言え、ワンショットに100テイク以上を費やす等、神懸かった演出の冴えを見せたキューブリック版。それまでの映画の歴史に於いて、【ホラー】と呼ばれた映画は在るには在ったが。このキューブリック版を持って、(近代的な)【ホラー】映画の始まりと分類する人も居る程のインパクト溢れる作品だった。

一方で、原作者のキングは激怒する。自分の作品を勝手な解釈で〝別物〟にしてしまったキューブリックに対して。
その怒りから自らが監督をし、自分の理想とする『シャイニング』を撮るが…。
キングからしてみたら、何が何でも《おとしまえ》をつけにゃ〜気が済まん!…の想いなのだろう。「だったらその後の話を書いてやる!」…とばかりに。

原作未読。前作は映画公開時に、鑑賞後に読了済み。(細かな部分は最早忘却の彼方)

前作のキューブリック版『シャイニング』には。アメリカ公開版と日本公開版には明確な違いがある。公開当時、(おそらくは)ワーナー・ブラザースの判断で、1日の上映回数を増やす為に。20分以上カットされた版をインターナショナル版として公開された。

当時は、テリー・ギリアムの『バンデットQ』 が。日本の配給会社の一存で、やはり大幅にカットされたり。フィリップ・カウスマンの名作『ライトスタッフ』も、上映回数を1回増やす為に大幅にカットされて公開されていた。
そんな『シャイニング』のインターナショナル版には。(確か)母親役のシュリー・デュバルが、バージニアスリムを丸々吸う場面が抜けている(筈である)

今、手元には全米版。インターナショナル版。共に無いので確認が出来ないのだけど、↓ 以後は、インターナショナル版にバージニアスリムを吸う場面が無いものとして書きます。
もしもインターナショナル版にも存在していたら(^^; 以後の書き込みはお笑いになっちゃうんですが…。

キューブリック版『シャイニング』を観た人の多くが。父親役のジャック・ニコルソンのオーバーアクトを指摘する。曰く「最初から狂っている!」…と。
『シャイニング』に於ける全米公開版に在るバージニアスリムを吸う場面。
そのバージニアスリムを吸う場面の無いインターナショナル版。
それによってまるで違う映画になってしまってはいないのか?

子育てに疲れた母親がダニーに対して暴力的になる一歩手前で思い留まりつつも、父親のアルコール中毒をヒステリックに注意し過ぎるのを。ジャック・ニコルソンが、終盤に於けるバーテンダーとの【粛清】談義の会話で非難する場面がある。
たった1度だけの酒によるダニーに対しての暴力を…と。
この【粛清】談義から、一気にタガが外れてしまったニコルソンは。封印していた禁酒を辞め、【粛清】を祝う乾杯によって。ホテルに巣食う《亡霊》の餌食となり。ニコルソンは大暴走し始める。

…実は、ここまでは子育てに疲れ果てた母親の妄想がジワジワと爆発して行く様子を描いていた…とも言える。それを想起させる場面が、全米版に在るバージニアスリムを吸う場面と言われている。
バージニアスリムを吸いながら場面はオーバーラップし、山奥のホテルに家族が車で向かうヘリコプターからの神ショットに繋がり。見た目によっては、母親の妄想の爆発の始まりとも捉えなくもない。だからこそニコルソンは分かりやすい位に狂っているのだ…とも。
ダニーに対する暴力は、母親の方こそ問題があったのではないか?との深読みも含め。たったワンカットのバージニアスリムを吸う場面の在る無しで、別な作品となってしまう。

…だが!

そんなキューブリック版だが。【粛清】談義の場面辺りからの、ニコルソンの嬉々とした演技面を観るにつけ。映画の方向性は、確かにあらぬ方向に行ってしまってもいて。そんな面での決定的と言えるのが、ラストシーンでの謎の写真。
この謎に満ちたラストシーンを観ると。結局、キューブリックは何をしたかったのか?キューブリック亡き今、それは永遠の謎のまま時は過ぎていった。
そこへ突然、「俺の元へ返して貰う!」とばかりに、キングが仕掛ける続編。

観る前に。全く関係ないネットの書き込みから、いきなりネタバレ地雷を踏んでしまい。テンションは上がらずの鑑賞だった。
前作の記憶が鮮明だっただけに、超能力合戦の応酬を面白くは観ていたものの。とかく超能力だけに、〝何でもあり〟的な展開にも中々テンションが上がらず…。

しかし…。

遂にやって来た【粛清】談義の場面の再来。しかもバーテンダーは…。
父親は《亡霊》達の誘惑に負けてしまったが。大人になったダニーも果たして負けてしまうのか?
個人的には、この地味な場面が1番の見どころだったのかも知れない。
この場面のバーテンが…。無い物ねだりと思いつつも、あの人だったならば…と思いつつ。

まあ。それはそれとして、この続編って!
そこはかとなく匂って来るのが…。

何だかやってる事は『バ◯リアン』じゃね?(=´∀`)

2019年12月5日 TOHOシネマズ西新井/スクリーン6

コメントする
松井の天井直撃ホームラン