劇場公開日 2020年2月28日

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「難しいかなぁ」黒い司法 0%からの奇跡 ななつ星さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0難しいかなぁ

2023年6月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

原題は「Just Mercy 」。日本語に置き換えるなら黒い司法とはならない。「どうかご慈悲を…」が相当なのではなかろうか。もしくは原題をそのまま使った方が合うだろう。日本人には人権差別ってことにあまりに疎い気がする。人種差別問題を考える中で大きな影響を与えるのが奴隷制度。奴隷とは人以下の存在であり、家畜同然の扱いをされることなのだと思う。原題同様に何人かのレビューを拝見したら、死刑制度や司法のあり方に話がずれていた。確かに感じ方は人それぞれ、冤罪など言語道断だし、自分たちの住む国の司法制度を見直す良い機会になっただろう。だが作品は最初から最後まで人権差別に苦しむ人々を描かれている。または人々の心かな。演技に関して良いコメントがたくさんあり、それらに賛同します。M・B・ジョーダンが内なる葛藤や声に出せない心情をとても上手に演じてくれていました。最高裁からの再審請求が可決された際の裁判でのセリフもとても胸が熱くなりました。
私自身も人種差別への理解は難しいと感じているが、生まれながらに推定有罪の扱いをされる不条理への怒りや不満はどれほどのものなんだろうか。さらにそんな歪んだ社会へ正義を掲げて飛び込んで行く勇気など、想像を絶します。日本国内にも似たような事例はあるだろうけど、イジメとは質が違う気がします。またこの作品が実話に基づくものだという。そこにも脱帽してしまいます。
最近知ったのだが、江戸時代の身分制度「士農工商」はなく、その差別は存在していなかったらしい。かつての日本に奴隷のような扱いを受けた人は存在しただろうが、そういう人種や身分は果たしてあったのだろうか。話がずれたけど、差別について考えるべきは差別なき世界。人類は差別なき世界を手に入れることはできるのだろうか…もしくはせめて身の回りに起きている理不尽な現実に直面した際に、立ち上がる勇気を出せるだろうか。人々の優しさは確かに存在している。

ななつ星