「奇跡と呼ばれぬ日まで」黒い司法 0%からの奇跡 MARさんの映画レビュー(感想・評価)
奇跡と呼ばれぬ日まで
自身も人種差別の壁に苦しむ経験を持つ若き弁護士ブライアンが、冤罪により死刑執行を待つ身となっているマクミリアン達を救うべく、偽りが蔓延する法廷で奮闘する物語。
いきなり逮捕されてしまうマクミリアン。舞台は2年後に移り、弁護士となったブライアンがマクリミアンを救おうとするも、この2年で十分すぎるほどの絶望と理不尽を味わったのか、マクリミアン本人に生きようとする希望が無い。「人種」の違いだけで、真実を話すだけなのに勇気を振り絞らなければならない、自分の生活を失いかねない状況にいる人達。
そりゃあそうもなる…。
しかし、その家族や同僚、そして捨てる神あれば拾う神ありとも思えるような、わずかながら協力をしてくれる人達。針の穴ほどの希望に縋り闘い続けるブライアン達の姿には、思わずウルウルした。ハーブの為にコップを鳴らし声を上げる囚人達のシーンとか、個人的に映画史の中でも屈指の名シーン。
この話が、比較的最近のものであることに驚き。黒人差別は今日でも無くなっていないことは知っているが、無罪の罪で死刑執行される人がこんなにも多くいる程、重い差別が続いていたとは。。
不勉強な自分には、黒人差別の実態は漠然としかわからないけど、警察や検事たちの目的って、真犯人を捕まえて真実を明らかにすることではないのか?
寧ろ忌み嫌う黒人たちを虐げられればそれでよいのか?中にはそんな汚い考えの人間がやはりいるのだろうか…そんな風にさえ思ってしまった(勿論間違った偏見を持ちはしませんが)。
とにかく心に刺さり、深く考えさせられる作品だった。裁判所からの電話が鳴る度に、映画とわかっていても真剣に祈る自分がいた。
無実の人が釈放され家族と自由の生活を再び得ること。
これは本来、奇跡などではなく、あたりまえのことでなければないはずですね。
それ以前に無実の人を捕まえることが絶対あってはならないけど。
良心が少しでも痛むなら、それは最後のチャンス。
自分も正しく生きなくては!