「不誠実に抗う人々の闘いの記録」黒い司法 0%からの奇跡 映画小僧さんの映画レビュー(感想・評価)
不誠実に抗う人々の闘いの記録
黒人だからという決め付けと国家権力の横暴がもたらす恐ろしい冤罪とそれを覆そうと奮起する人達を描いた本作。リチャードジュエルにも通ずる司法の闇に焦点を当てており、大まかには似通ってるんじゃないのかなと鑑賞前には侮っていたのですが、結果として鑑賞中何度泣いたかわからないほど感動させられました…(ちなみにリチャードジュエルもかなり好きですが。)
流れとしては、使命感に燃える弁護士が土地柄と差別、権力の横暴によって産み出され、かつまともな支援を受けることすらなく死刑囚となってしまった人々のために闘うというお話です。しかし、差別と公平でない司法を相手にしてそう上手くいくはずもなく、新しい証拠を見つけてもそもそも取り合ってもらえないし、新しい証言も不法な検挙で圧力をかけるといった汚い妨害と、凄く鬱屈した感情を抱かされました…。ただ、終盤万事休すと思われた状況が好転していく過程で一気にカタルシスを得ることができ同時に涙腺が決壊しました…素晴らしい映画でした。
リチャードジュエルのときにも感じたことですが、このような杜撰な冤罪がそう遠くない過去だということ。ジュエルもマクシミリアンも既に他界されていますが、収監生活の影響は多大だったことでしょう…司法が殺したも同義なのかもしれない…改めて恐ろしさを覚えました。
惜しむらくはコロナウィルスのせいで日本での興業が…というところ…演者の熱演だけでも十分に鑑賞する価値があります!アカデミー賞ノミネートのジミーフォックスは勿論ですが、なんといっても主演のマイケル・B・ジョーダン!クリードで鍛え上げた肉体美(本作でそれが重要かは置いておくとして…)は勿論すごいのですが、静かな怒りや堪えきれず泣いてしまう場面の表情演技、不正を糾弾する力強い声音…ほんとに素晴らしい!
劇場で観ないのは本当に勿体ない!おすすめです!