「映画としてはもうひと超え欲しかった。」黒い司法 0%からの奇跡 キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
映画としてはもうひと超え欲しかった。
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事実に基く物語、それも社会派の感動作にケチをつける様で気が引けるのだが、正直なところ「新味に欠けるなぁ…」と。
相変わらずご丁寧にサブタイトルで結末は自明。もうホントにやめませんか。『JUST MERCY』で十分では?
もちろん起きている事は確かに残酷ではあるし象徴的。電気イスでの処刑に絡むシーンなんかも印象的ではある。
裁判で証人が偽証を認めたのに判決が変わらないという事態になっても、ブライアンに「でも、私は真実を手に入れた。もういつだって笑って逝ける」と言うウォルターにはグッと来たし、最高裁で無罪判決となったシーンには感涙した。
だけど、この街、また黒人社会そのものが瀕している事態についてはかなりマイルドに描いている感じがした。
ウォルターの家族だって、ホントはもっともっともっと苦しんでいたはずなんだ。
さらに、判決が覆るのもごく少数の白人の「良心」頼み。
実話をどれだけ脚色するかの是非はあるんだろうけど、個人的には「いやいや、現実はそんなレベルじゃないだろ」と思うし、それがあればもっと映画としてのラストはカタルシスがあったと思う。
現代においてもなお、肌の色で差別され続ける人々の苦悩とその為に戦う若者の姿を描くというこの作品のテーマそのものはしっかり伝わる良い映画。
あとは好みの問題、かな。
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