ジョーカーのレビュー・感想・評価
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甘美なる映画
画が地味だとか、犯罪を助長するだとか賛否両論ありますが自分は美しさすら感じた。
この映画には現実に起きている問題が詰め込まれている。
格差社会、親子愛とは何か、介護問題、いじめ問題、仕事が上手くいかないことへの苦悩、貧困、福祉カット、シングルマザー、児童虐待、精神病...
まさに今、世界中でヘイトが溜まっており、香港ではこの映画のように暴動が起きており、覆面禁止法も話題に新しい。
序盤ではアーサーが病気を懸命に治そうとしたり、真面目に仕事に取り組んだり、コメディアンを夢焦がれ、絶望に打ちひしがれながらも上に上にあがろうする心情を階段を上るシーンで表現している。
懸命に生きるものの、全く報われず狂っていき、「ジョーカー」として解き放たれた後は、解放感満載に、楽しそうな顔で晴れやかに階段を下りながらダンスする。
しかしこれは、階段を下ってることから人として堕ちていく様を表現しており、その皮肉さは観てるこちらは何とも言えない感情を揺さぶられてしまう。
自分自身、少年期ずっといじめを受けてたり、病気に苦しんだり、詐欺にもあい、人間関係も仕事もうまくいかず現実問題クビのような状況になり、転々としたり、ニートになったり、貧困に苦しみ、社会や人を恨んだりとジョーカーに非常に感情移入してしまう。
これはどんな人でもちょっと道を間違えると起こりうることで、全く人ごとではない。誰しもが、ジョーカーになり得るのかもしれない。
しかし、決して犯罪を助長するわけではなく、改めて自分の人生を考え直し、日々や環境に感謝しなければいけない、と思い直させてくれるような、逆にポジティブな映画だと思う。
犯罪者になり得る人はこの映画が着火点になるとは限らず、どんな時にどんなタイミングでスイッチが入ってしまうか分からないため、ジョーカーはそういった批判の対象ではないように感じる。
確かに映画としては派手さも無く単調だったり、ある程度観てる中で予想できるありきたりな展開の部分もあった。
でも、ここまで色々なことを考えさせられる映画という時点で、傑作だと思う。
見て後悔する
ホアキンフェニックスの怪演が素晴らしいが、上映中一刻も早く劇場から出たいと思うような狂気と陰鬱にまみれた映画。
最後のウェイン家族のところはピエロの仮面を取ったほうが良かったと思う。
(確か設定の犯人はただのゴロツキだった気がするので、今回の騒動と結びつけるのは少し強引だと思った。)
面白いつまらないという評価基準を超え、凄く嫌な映画という感想だけが残った。
これはジョーカーか...?
月に1〜2本観る程度の普通の映画ファンです。誰が読んでるレビューでも無いと思うが何となく..。久し振りに呟きたくなったのでこちらにレビューを。
題字やフォントや色、退廃的な街並みに時代背景も絵ズラも「好み」でした。
序盤ロバートデニーロが出てきて、「なるほどこれは確信犯。タクシードライバーはベトナム戦争のPTSDで精神が病んでいったが、アーサーは...!?」
映画自体はとても良く出来ていると思います。(←一介の素人映画ファンが偉そうに..?)
ただ、いくつか疑問も...。
まず、アーサーがジョーカーだったとしたら、ブルースが大人になった頃、ジョーカーだいぶおじいちゃん?
いちジョーカーファンとしては、、、、
特にダークナイトの時の悪の定義や哲学も、狂気の向こう側の人「ジョーカー」にヤラれているので、
自己防衛とはいえ咄嗟的に電車で3人を撃ったり、うっかり小児病院慰問の時に銃落としたり、そういう事やらかさないでしょう...?
その割に一人で部屋で銃を持ちながら自己陶酔して独り言言ってる、まるでタクシードライバーのシーン、思わず撃ってしまって、すぐにTVのボリューム上げて「戦争映画観てたんだ!」ってそんな咄嗟に上手く誤魔化す言い訳考え付く!?
現実の話、ここ最近のテレビでも多くの人が辛い気持ちになる様なニュースもある。
アーサーも子供の頃の悲惨な虐待や環境が彼をジョーカーにさせていった...ってのも分かりますよ。
でもね!?あの底なしの富を使って信じられない様な武器を駆使するバットマンの、
最強最凶?の敵に、「自分がこの世に存在しない人間」なんてセリフ、
それってただの自己顕示欲?自身の存在証明?っと疑いたくなるセリフを吐くジョーカーは、自分が思ってるジョーカー像とはちょっと...。
個人的には、誰の子か(ブルースウェインと異母兄妹?)分からなくても良いんだけど、子供の頃から超頭が良過ぎて、世界がひっくり返せそうな最狂の天才が更に狂っていった...って言う様な感じで「ジョーカー」はいて欲しかった...。
まあ、コメディアン=落語家みたいに、今回の初代ジョーカーの後に、2代目、3代目と、ジョーカーを襲名していったら色々辻褄があうけど。
芸術映画(笑)
夢オチともとれるエンディング。
夢オチじゃなかったとしても、このジョーカーじゃ指導者にはなれないと思う。
アーサーの異母兄弟がブルースウェインと分かるシーンが1番興奮したけど結局そうじゃない、かもしれない。
ペニーはトーマスと寝たと言うがそれは妄想障害で実際はそうじゃない、かも知れない。
「君には分からない」と言いたげな映画。
素晴らしい!!
特に文句なし
ストーリーもアクターもとても良く
良作でした。
最後のシーンの読み取り方について
私の読み方と多くの方の読み方が違うので
そこだけはモヤモヤしますね笑
私としては最後のシーンより前は全部妄想だと受け取ったのですが…
人に優しくなろう、新しい「ジョーカー」を生み出さない為にも
僕にとってこの映画はかなり意味のある作品でした。
バットマンの永遠のライバルにして、全ヒーロー物でも魅力的なヴィランズでもあるジョーカー。
彼は超人的なパワーを持っているだとか、世界を征服なんてものは考えていません。
ただ単に狂喜なんです。
では、その狂喜になったのはなぜなのかが一旦分かるのが今作です。
ちなみにバットマンとジョーカーは監督毎に世界線が異なるので、いろんなストーリーのジョーカーがいます。有名なダークナイトのジョーカーとは別世界線であると考えた方が良いです。
あくまでとある「ジョーカー」の一人の物語として見て下さい。
彼はアーサーは誰からも愛されず、唯一の愛していたと思っていた母も実は・・・というものです。
人によってはなんだ対したことされてないじゃんだとか思うかもしれません。
でも、それが実に絶妙な自ら死を選ぶか選ばないかのギリギリラインを攻めているんです。
嫌なことはあった、でもほんのちょっとだけ良いこともあると、ほんとギリギリなんです。
この絶妙さはじけ飛んだとき、あの狂喜に陥る。そして周りは死んでもいいようなクズだらけ。
一人やってしまえば、何人も殺したところで同じという原理です。
彼アーサーのような境遇の人は現実世界でもいるかもしれません。もしかしたら、あなたがすれ違った人はそういう人なのかもしれません。
そんなとき、少しでも彼に優しくしてくれる人がいれば、ジョーカーは生み出されなかったのかもしれません。
最後にレビューとは感想文みたいなものです。その人が良いと思えば良いし、悪いと思えば悪いのです。それを大半の人が良いと言っているといって、この作品を好きな人はおかしいというのは滑稽です。そんなことを言っている悪い子は、あの笑い声があなたの後ろで聞こえるかもしれませんよ。
ホアキンフェニックスの演技が絶品。ストーリーは好みが別れる。
ホアキンフェニックスの肉体や殺人の演技は鑑賞してて鬼気迫るモノがあった。元ピエロ仲間の男を殺した後の小人病の友人を逃がす時の狂気と緊張感がこの映画で一番良かったところだった。映画の前半はジョーカーに共感させる為に徹底的に暗い。じめじめしたノワールタッチの映づくりと不協和音のBGM。ココで光るのはホアキンフェニックスの肉体、病的な程痩せこけた頬骨や肋骨。たまんないっす。後半、幼少期のエピソードが少し分かりにくかった、母親の病歴や虐待歴の事実が明らかになってからウェインとの血縁関係が結局良く分からなくなってモヤモヤ。前半で抱えたジョーカーのフラストレーションを発散する場面がもっと入れて良いと感じた。観賞後の不完全燃焼感も作品の伝えたい事と言えばそこまでだが、、。
この映画のジョーカー像が受け入れられない人に読んで欲しい。
アーサーという男の半生に哀れみや同情共感を感じている方々には、You wouldn't get itなレビューです。
単独映画のジョーカーが受け入れられなかった人に読んでほしい。私もそうだったので。
予告ではキリングジョークのジョーカーに近いものかなと思い期待してましたが、バットマンシリーズが好き、絶対悪であるジョーカーが好きな私は、正直戸惑いました。
これまでのジョーカー像とかけ離れているし、チープに感じてしまうからです。
ジョーカーに社会すらもぶち壊していく圧倒的に理不尽なカリスマ性を求めているのに、社会問題や抑圧された人間の物語をされても"これじゃない感"を強く感じてしまう。
レビューを見れば、ジョーカーかわいそう、こうやってジョーカーが生まれたんだね、誰しもジョーカーになりうるよね、日本の社会も弱者に優しい社会になるべきだというようなものが散見されてバットマンファンとしてやるせない気持ちになりました。
おそらく、過去のバットマンシリーズを観ていない方はそのような解釈になるのでしょうか。
そういった部分が注目されて興行的に成功しているようなので割り切るしかないですが、悪のカリスマジョーカーはこうやって誕生したという宣伝文句にはモヤモヤが拭えません。
JOKERを観に来ているのに、映画終盤まで全く知らない人の転落人生を見せられていることが苦痛に感じた分、ラストシーンのジョーカーをみれたことで救われた気持ちになりました。
そして映画を見てから2日たった今、やっとこの映画はジョーカーの中のバットマンへの執着を表した作品なのかと思えしました。
それは可愛くも憎らしい弟であり、間接的な要因で自分に執着する滑稽な存在。
アーサーの物語が全てジョーカーにとってバカウケなジョークだった。誰しもジョーカーになりうるとか、社会批判することも的外れだと馬鹿にして何をそんなシリアスになってるんだそんなことよりジョーカーのおかげでバットマンが生まれたと皮肉って笑っている。
作品の9割がバットマンに対するジョークで、それを理解できないアーサーに共感する人や抑圧される人が共感し暴動を起こすと憂いてる社会をも笑っているような、これぞ悪のカリスマジョーカーだと思わせてくれるラストシーンではないでしょうか。
と、正直自分の都合の良いように解釈しました。
長々と書きましたが、バットマンファン以外には、暗くてしんどい映画だけどホアキンの演技はすごかった。事前に見といたらいいのは、ダークナイトではなくタクシードライバーやキングオブコメディーだと思います。あと、バットマンはトーマスウェインの子供だよってことさえわかれば良いのでは。
大多数の人とは意見が違うようですが…
あまりに多くの人を安易に殺してしまうので、感情移入ができない。もっと善と悪の狭間で葛藤する様子にフォーカスしてほしかった。その上で最後に1人裏切り者を突発的に殺してしまい、その罪の重さで狂人となってしまう方が私にはしっかり来るかなと思いました。なぜあんなにフォロワーが生まれるのか、その過程や理由がほしいです。
笑いながら狂っていく主人公の半端ない怖さ
笑いとは何だろう?と考えさせられた。
〝あなたの笑顔は人をHappyにするわ〟と母に育てられ、〝常にHappyな態度で笑っていないと〟という生き方をしてきた主人公。
実際は、母子家庭の貧しい家庭で、母の面倒を見ながら、そして自らは障害者でありながらも、ピエロの仕事で何とか暮らしている、母想いの優しい青年だった。
ところが、ある時仲間に裏切られ、職を失ってしまう。
落ち込む帰り道の電車内で、主人公の〝笑ってはいけないときに笑ってしまう障害〟が。。
それをバカにした〝富裕層の商社マン〟三人を殺害してしまう…。
そこから、大好きだった母の裏切りも発覚し、見事に堕ちるところまで堕ちていく。
狂ったように笑いながら、何人も殺害していく様は、狂気と最上級の恐怖を感じずにはいられない。
〝自分を分かってくれる人間がほしい〟という強い
想い。
皮肉にも、殺害し逮捕されたことでアンチヒーローになり、〝同じ立場の貧困層〟の理解を得られ、
真の意味で笑う様子は、本当に怖かった。。
どんなにひどい世の中でも、分かってもらえなくても、人を殺していいとは私は思わないので主人公には共感出来なかった。
でも、この主人公みたいな人は沢山いて、今のアメリカや日本でも同様に、ひどい世の中に対して怒りや哀しみを抱えたままの人は沢山いると思う。
社会風刺?なのかもしれないけれど、ビビりな方はあんまりオススメ出来ない。怖すぎるから。
ジョーカーになるまでは非力な精神疾患患者。 そこまでの話が長くて突...
ジョーカーになるまでは非力な精神疾患患者。
そこまでの話が長くて突然ジョーカーになっても違和感が残ってしまった。
それに、ジョーカーがまともに見えてしまうのもちょっと困る。
だけど、最後にバッドマントとの話の繋がりが見えて感動した。
内容は面白いけど、ジョーカー好きには分かれるかも。
スタンディングオベーションには足りない
ジョーカーという悪のきっかけがあくまで社会ではなく彼の個人的事情に求められており拍子抜け。
「人生は喜劇」というアーサーの主張通りタイトルやテロップがポップにデザインされていたのはお洒落だった。だからこそ最後に主張を長々と演説するのはダサかったな。
面白い映画ではあったし、主演の怪演は素晴らしかった。
凄く良かったけど・・・
別の題材の脚本にジョーカーと言うキャラを追加した感があり、ジョーカーでなければならないと言うストーリーでは?
と感じました。
端的に言うと「精神病んだ社会の底辺のおっさんが、絶望して暴走する。」話です。(笑)
ホアキン・フェニックスの演技が、凄まじく、見事にジョーカーを演じていて作品に馴染んでいるのですが・・。
個人的な見解ですが、ジョーカーであるならば、天才的で、残忍な狡猾さの一端が、何処で演出されているならば完璧だったかと。
これから備わっていくと解釈すれば些細なものなのですが。
なんと言うか、最初の殺人は、衝動的でも良いのですが、第2第3の殺人も(元同僚とデニーロ)怨恨的衝動殺人なので、ここの部分に狡猾さとか計画性を演出すれば、ジョーカー誕生の雰囲気が、もっと出たかと。(狂気しか感じなかったのは自分の視野狭窄かな?)
後、実は昔、物理学者でしたとか数学者でしたとか頭の良さを伺わせる設定とか?
批判めいた事ばかり書いていますが、とても良かったんですよ!バットマンと実は、異母兄弟?(違ってましたが(笑))みたいなところとか、恋人は妄想でしたとか。(しかも、マーヴェルキャラのドミノが(笑))
格差社会が、クローズアップされ過ぎてその被害者感が強すぎたかなと。
まあ、勧善懲悪のコミック映画より(○ベンジャーズとか)より、よっぽど良かったですが。
後、ホアキン・フェニックスは、ダイエットしたこと見せびらかしたかったのか、やたら裸のシーンが多いなと。家の中のシーンほぼ裸じゃん!(笑)
他にも思うところはありますが、キリがないので。
理解できないさ
社会的弱者が、悲惨な状況の中でもハッピーに生きようと頑張っている中、自分の差別や非寛容に気づかない群衆たちによりどんどん追い詰められていく。
当人たちは面白おかしくやっているだけと思っているのだろうがそれがやられた側がどのように感じでいるのかを理解できない。
追い詰められた挙句、アーサーはジョーカーとなる。
最後には貧民層に祭り上げられながら悪のヒーローとなる。
電車で警官をリンチしたり最後のシーンで街を壊す民衆が、ジョーカーに賛同してるけど、ジョーカーを作り出した本人でもあるかも知れんってことをもうちょっと明確に書いて欲しかったと思う。
いじめの傍観者は加害者であるのと同じように、また加害者は自分の加虐行為に無自覚であるように、ジョーカーをもてはやしている民衆は、自分たちが弱者に対して加害者になる可能性があるということ、また思慮が足りてないのに、声が大きいことに賛同して行動に出ることがどれだけ愚かだということをもっと描いて欲しかった。そうしなければただ、ジョーカーがかっこいい、というような感想を抱いてしまう人も多いと思う。
最後のジョーカーのセリフ、
理解できないさ
に全てが詰まっているとおもう。
映画は少し冗長でした。演技はとてもうまかったです。
5つの謎を検証
※ネタバレを含みます。
※ストーリー解釈がメインなので、
映画を見てから読んでください。
とにかくホアキン・フェニックスの
演技が素晴らしい作品だったと思います。
後世に残る名作だと思います。
最後に大きなオチがあるので、
まず主人公アーサーの物語をおさらいします。
【ネタバレを含むあらすじ】
弱者に不寛容な生きづらい社会。
脳の一部を損傷し笑いが止まらなくなる
病気を抱えた主人公は
人々に馬鹿にさられながらも
「狂っているのは自分ではなく世間の方だ」
と信じて、病弱な母親を介護しつつ
貧しく苦しい生活を健気に生きる。
夢は人を笑わせる
スタンドアップコメディアンだが、
毒舌や皮肉の才能はなく
人から笑われるピエロの仕事をしている。
ある日、電車内でエリート会社員3人に
ピエロ姿を馬鹿にされた上で暴行され、
持っていた銃で3人を射殺してしまう。
罪悪感があるものの、
なぜか気分が晴れやかになる。
貧富の格差が広がる中、
ピエロ姿の犯人は英雄視されるようになる。
主人公は定期的にソーシャルワーカーに会い
精神薬を服用していたが、
社会福祉縮小のためサービスが打ち切られ、
薬を貰えなくなり、妄想を見るようになる。
そんな折、母親の手紙を読んで
街の有力者トーマス・ウェインが
実の父親であると知り、
異母弟であるブルースに会い
ウェインに確認しに行くが、相手にされない。
自分の出生について知るため
母親の過去を調べようと、犯罪者を収容する
アーカム精神病院でカルテを奪う。
すると自分は養子で、幼少時に
母親とその恋人から虐待を受けており
自分を苦しめてきた脳の障害は
その後遺症だと知る。
狂っていたのは世間ではなく自分だった。
人生を破滅させた母親を優しく世話してきた
自分の人生は喜劇である。
主人公は母親を殺し、
ジョーカーとして生まれ変わる。
自分を陥れた同僚を殺し、
テレビのトーク番組に出演し
会社員殺害を告白。
殺害理由は音痴だったから。
(ジョークのつもり)
そして昔から父のように憧れ
尊敬していたトーク番組司会者を
生放送中に射殺する。
(最高のジョークのつもり)
(※killing jokeと呼ばれています)
街は貧困に喘ぐ暴徒で溢れており、
ジョーカーは彼らのシンボルとして
崇められる存在となる。
そして母親と同様、
アーカム精神病院に収容され
日々妄想を見て過ごすことになる。
これがのちにバットマンの最強の宿敵となる
ジョーカーの誕生秘話である。
【5つの謎を検証】
①どこまでが妄想でどこからが現実か?
いわゆる「信用できない語り手」という手法。
主人公の妄想と現実が入り混じって
境界がよく分からない作りです。
一部トークショーの観客席にいる所と
ソフィとの関係は妄想ですが、
ここでは、冒頭からすべて現実で
「最後に精神病院で思いついた何か」は
妄想である、という路線で進めます。
その「何か」については⑤で取り上げます。
②ジョーカーはあのジョーカーなのか?
主人公はバットマンの最強の宿敵である
狂人ジョーカー自身なのか、
それとも主人公に影響を受けた
暴徒の一人がジョーカーになるのか。
最後に主人公を車から引きずり出して
祭り上げた仮面の若い男や
ブルース・ウェイン(のちのバットマン)の
両親を殺した仮面の若い男が
あのジョーカーになるのだろうか
と一瞬思いました。
主人公に影響を受けた
暴徒の一人があのジョーカーになり
第二第三のジョーカーが生まれていく
という面白い発想かと思いましたが、
やっぱり主人公が
あのジョーカーという気がします。
その理由は③で説明します。
③なぜ主人公はジョーカーになったのか?
この作品を見た人の多くは
誰でもジョーカーになり得る、
弱者に不寛容な社会こそが
ジョーカーを生み出したのだ、
という論調だと思うのですが
冷静に考えるとそうじゃない。
ジョーカーを生み出した原因は
紛れもなく脳の一部の損傷で、
そして福祉サービスの打ち切りにより
精神薬を飲めなくなったこと。
なぜ脳を損傷したかというと、
ほかでもない今まで尽くしてきた母親と
その過去の恋人から虐待されていたからです。
弱者に冷たい社会が悪い、
自分と母親は健気に生きる
清く正しい貧困層だ、と信じてきたのに
実際は妄想症のある毒親とその子供だった。
それを知って、客観的に見て
自分の人生は喜劇である
と主人公は感じました。
そこからはほとんどあのジョーカーです。
一番輝かしい舞台はトークショー出演です。
ピエロのメイクをして
エレベーターに乗るシーン、
階段を踊りながら降りるシーン、
トークショーで紹介されて出て来るシーン、
めちゃくちゃかっこよかったですね。
この時、主人公は自殺するつもりだったので
最後の晴れ舞台への緊張感からか
ジョーカーとしての自信からか
別人のようでした。
そしてここまで容赦なく
「ジョークとして」人を殺すのは
主人公があのジョーカーである
根拠となると思います。
社会に対しての怒りなど、
簡単に説明のつくありきたりの理由では
あのジョーカーにはなりません。
という訳で、
社会に不満を抱いている自分も
もしかしてジョーカーになり得るかも、
と恐怖を感じている方、大丈夫。
そんなことではジョーカーにはなりません。
④ブルースとは異母兄弟なのか?
主人公の母親は30年前に
ウェイン家で働いており若く美しく
ウェインからラブレターをもらっている。
(当時の母親の写真の裏に
「君の笑顔を愛す。TW」と書かれている)
母親が主人公と養子縁組をしたのは
ウェイン家で働いている時だった。
精神疾患のある独身女性が
養子縁組できるわけもないので、
この時は精神疾患(妄想症)がなかった
と思われます。
その後、ウェイン家を追放されている。
母親は妄想症になり、
恋人の男性に暴行を受けながら育児放棄、
息子は恋人に虐待を受け脳の一部を損傷する。
そしてアーカム精神病院に入院する。
この事実から考えて、
主人公はトーマス・ウェインの息子(落胤)で
ブルースとは異母兄弟である
という可能性は残されていると思います。
ウェイン家は養子縁組という形式を取って
息子を母親に引き取ってもらった。
ちゃんと子育てをするようなら
資金援助をしようと思っていたけれど
母親が暴力男と一緒になり
息子を虐待したので関係を断ち切った、
ということだったかもしれません。
母親の精神病院のカルテをじっくり検証したい
と感じました。
⑤最後のシーンはどういう意味か?
この作品はバットマンを知らなくても
楽しめるようになっているのですが、
それだと可哀想な犯罪者の物語で終わります。
もちろんそれだけでも相当クオリティが高く
映画館で見る価値がありますが、
バットマンとジョーカーの
設定を知っている人は
最後のシーンでもっと楽しめます。
主人公は精神科医と話しているうちに、
路地裏で両親を殺された
ブルース・ウェイン少年が
将来バットマンになって悪と闘う
というジョークを思いつきます。
また、ジョーカーの設定として
ハーレイクインという元精神科医の
恋人がいるのですが、
それは精神病院での面談によって
思いついたものと読めます。
つまり
バットマンシリーズの物語の
生みの親はジョーカーである、
というお洒落なオチなのです。
そう言われてみれば、
エリート会社員の殺害はどことなく
バットマンを彷彿とさせます。
勧善懲悪の自警団で悪を滅ぼす。
もともとバットマンシリーズでは
バットマンが正義の味方になったり
復讐の鬼になって悪に染まったり、と
単純な二元論では終わらず
バットマンとジョーカーは正反対に見えて
狂気を軸に同じようなことをする二人
として描かれています。
それもそのはず。
主人公アーサーは自分の経験を元に
自分の表裏一体の化身として
バットマンを誕生させたのです。
凄いオチです。
これだけ陰鬱な内容なのに
粋なコメディ作品のように見せるのは
「笑いとは何か」をずっと考えてきた
コメディ映画の監督だからこそ
撮れた気がします。
【ジョーカーについて】
ストーリー解釈は以上ですが、
やっぱりホアキン・フェニックスの
演技がとんでもなく素晴らしい。
ジョーカーは色んな俳優が演じていて
「バットマン」のジャック・ニコルソン、
「ダークナイト」のヒース・レジャー、
「スーサイド・スクワット」の
ジャレッド・レト、
全て素晴らしいと思います。
ヒース・レジャーが
撮影後に亡くなったこともあり、
ジョーカー役を演じるのは
悪魔に魂を売るような行為とも
言われています。
ホアキン・フェニックスの
鬼気迫る迫真の演技。
ジョーカーを演じることへのハードルを
また一段上げました。
この演技を見るだけでも、
十分劇場に足を運ぶ価値があると思います。
理屈なき「怒り」を肯定してくれる危ない映画
※『JOKER』が強烈な映画過ぎて、初めてレビューを書きたいと思ってしまいました。かなり拙く、個人の解釈に寄っています。
今作『JOKER』を観て、何故ジョーカー(アーサー)に感情移入してしまうのかわかりました。
それは理屈なき「怒り」を肯定してくれていたからだと思います。
アーサーはあまりにも可哀想で圧倒的弱者でした。そんなアーサーを観て沸々とこのゴッサム、世間に対する不満が募っていきます。でも、アーサーがジョーカーに生まれ変わっていく瞬間にこの不満が発散されてしまいます。とても残虐なやり方だとしてもです。
アーサーがテレビショーに出て司会者を銃殺する前に、「主観」で観ればいい、笑えるか、笑えないか的なことを言っています。
この意味合いは、自分の人生悲劇だと思ってたけど、実は喜劇だったとアーサーが主観してるという意味合いでした。
でも、この部分は色んな解釈ができると思います。酷いことを言われた、酷いことをされたと思ったけど、世間は気にしてくれない、大したことだと思ってないから、「怒り」を押し殺そうとしてたけど、「主観」で観て、解放するべきだよと耳元で囁かれている気もしました。
理屈より自分がどう感じたか。
かなり危ない映画だと思います。
自分もどこかで爆発しようと考える人もいるでしょう。でも、アーサーが劇中で「怒り」を体現してくれて解放感を感じる人もいると思います。ある意味、抑止力的な映画になってるかもしれません。
ストーリーとしては普通だと思いますが、テーマ性が強い作品。
一つの映画としても面白いし、ジョーカーのオリジンとしても面白かったと思います。
喜劇の上で生まれたジョーカー
アメコミ原作の映画とは思えないほどの作り込まれた作品だった。
現実と幻想との境界線が消えていって、どこまでが現実だったのかがわからなくなる。
特に物語のラストシーンを見て、今まで見ていたものを全てを疑い始めてしまった。
また、今回のホアキンが演じるジョーカーは今まで他の役者が演じていたジョーカーと違い、悪のカリスマ性は無い。偶然と環境によって、アーサーの意思とは関係無くジョーカーという存在が、中身の無い偶像として貧困の人々から崇拝される。
アーサーは誰かに自分の存在を認めてもらいたい願っているのに、それとは裏腹に次第に孤独になっていき、最後には混沌の権化であるジョーカーとなってもアーサー自身は誰からも見てもらえない。まさにアーサーは道化そのものであり、アーサーが辿った人生は喜劇であると言える。
これ程難しい役を見事演じきったホアキンは最高の役者と思う。
ジョーク
お金持ちの家に生まれた
笑わない男の子ブルース。
秘密兵器で世界を平和にする物語。
貧しく笑いながら生きて
愛するものを失い
精神病院に閉じ込められる物語。
どっちがジョークなんだ。
どっちが妄想なんだ。
たぶん理解できないさ
「自分の人生は喜劇だ」 「ジョークを思いついたんだ、君には理解でき...
「自分の人生は喜劇だ」
「ジョークを思いついたんだ、君には理解できないよ」
この2つの言葉に全てが詰まってて震えた、泣いた。
喜劇だと思うしかない、彼の追い詰められた孤独と、それを同じくする者しか理解できないであろうという言葉。
美しいものを愛でるとか大事なものを大切にすることができるのは、それを持ってる人間だけなのかもしれない。
正論を言えてそれを正しく守れるのは、自分が守られた所にいて実行できる環境下だからなのかもしれない。
「正しいこと」は所詮「世間一般の求める正しい姿を守れる立場にある人間が使えるもの」なのかもしれない。
初めは銃を手にした時「だめだよこんなの」って言える人だった。でも真面目に生きようとしても虐げられ続けてそのせいで損をし続ける人生だったら、真面目でいるのは馬鹿らしくならないか?
正気を保ったまま誰にも愛されてなかった自分を受け入れられるか??
自分に当たり前に向けられる悪意や利用や侮蔑や嘲笑をただ黙って受け入れられるのか??
ジョーカーのやったことは100%悪いことだ。
だけど彼の気持ちが理解できてしまう。
テレビで語った彼の言葉に泣いてしまった。
そしてそれを理解できず笑うのが一般人だ。
この映画でまざまざと、正しく生きることは、正論は、絶対ではないのだと教えられる。
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