ジョーカーのレビュー・感想・評価
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アーサーを救えたのは誰か
ホアキン・フェニックスが完全にジョーカーの狂気を体現している。
ステレオタイプな完全に狂った狂人ではなく、しかし決して常人のそれではない表情、仕草に心を鷲掴みにされた。
彼の心の根底にある人間性、それ故の狂気から目が離せなくなった。
冒頭からラストまでテンションを落とすことなく描き切った製作陣も見事しか言えないと思う。
ダークナイトではまるで人間とは思えない、さながら神、邪神のようであったジョーカーを一人の生きた人間として描く本作において、彼を追い詰めていく社会は、やはり現実の社会を投影する。
搾取する者、搾取される者。
富める者、貧する者。
笑う者、笑われる者。
人生は喜劇だという、あまりにも悲しいセリフ。
自分の中にジョーカーを見つけた観客もいるのではないだろうか。
少なくとも私はそうだった。
アーサーを救えたのは誰だったのか。
側にいて優しくしてくれる誰かがいれば、彼はジョーカーにならずに済んだのではないか。
でも誰も彼には優しくなかった。
彼の生活、境遇に寄り添ってくれる者はいなかった。
しかし、彼の境遇を目の当たりにして、一緒に共感し、涙を流し、怒った人達はいるだろう。
本作の観客だ。
彼を救えたのは観客だけではなかったか。
無論、劇場のスクリーンの壁は越えられない。
だからこそ、身近にいるアーサーに共感し、寄り添うことの大切さを本作は伝えているのではないかと考えた。
この映画は煽動的とか暴力的とか言われるかもしれない。
全くアーサーに感情移入できないという人もいるだろう。
だが、その人達にはアーサーは救えない。
逆にジョーカーを生むだけだ。
アーサーに共感した人にしかアーサーは救えない。
本作の舞台はバットマンの街、ゴッサムシティだ。
だが、描かれる社会は現実にしか思えない。
アメコミが現実に寄せているのではない。
現実がアメコミに寄っていっているのではないか。
無数にいるアーサーがジョーカーにならないためにどうしたらいいか、この映画を観て考えてみるのもよいと思う。
ホアキンが好きだから、
観に行きました。
来日時には頑張って日本語で挨拶したり、実は超シャイだったりして愛らしいのに、役者ともなると善にも悪にもオタクにもなれる!!
でもやっぱり予想通りにどよ〜んとした気持ちで映画館を出ました。
って事は演出もさることながら、ホアキンの演技が素晴らしかったからって事ですよね…
それにしても、リアルに怖かった。
アメコミなんかじゃないですね、もう。
実際にどこかにあり得る現実的な話に思えます。
あ、劇団ひとりみたいな事を言っちゃった…!!
ジョーカー
久々に予告を観て映画館でと思い、早速観たけど、ロバート・デ・ニーロのタクシードライバーを思い出しました。作品的には良くも悪くもない印象でしたけど、ダークナイトの方が個人的には好きです。ホアキンの演技力は凄いと思いました。アカデミー主演男優賞かな!?
ジョーカーだからギリギリセーフ
これはジョーカーの物語だという大前提があるから見ていられるけど、もし名も無き人の話をだとしたらあまりにも救いようがなくて見ていられないかもしれない。
だってマジで救いようがない話ですもの。
この作品でホアキンは念願のアカデミー賞を取るかもしれないけど、作品賞は無理かも。
あなたも殺人鬼になるかもしれない
“非暴力で物事が解決するのは相手に良心があるときだけ”という、アメリカ黒人差別の時代のブラックパワーの発言を思い出した
絶望と孤独に満ちた世界で爆発した狂気の男ジョーカー。彼を止めることは誰にも出来ない。
単純にこの男がサイコパスだから、という理由だけで殺人鬼になりうるのではない。孤独と絶望に覆われたこの世界の隅っこにいた者は誰でもなりうるのだ。
人を傷つけることこそ、この世界への反逆だと。絶望に飲まれたことで自分は喜劇者になる。
格差が広がる社会の隅っこに耐えきれなく爆発する者は隣人、いやあなたかもしれない。
笑いと狂気、表裏一体
昨今のDC作品の中ではダントツ!
現実世界でいうと、設定は′70年代でしょうか?
そのまるで当時のインディーズ映画を観ているかのような作中溢れ出る"時代の空気感"が素晴らしく、ずっと感心しながら観入ってしまった。
満点つけなかったのは、脚本にもう一捻り欲しかったなぁ。
来年のアカデミー賞、主演男優賞には30万円、作品賞には2万円、賭けるとしたらの現実的な金額です!
…まあ主演男優賞は倍率1.5倍ぐらいだろうけど。
追記なんですが、『不快になった』と低得点つけてる方がいますが、本作は"製作者が明らかに観客を不快にさようと作った"意図が有りますから、
お涙頂戴作品で泣いた
コメディ作品で腹抱えて笑った
ホラー作品でめちゃ怖かった
のような、"製作者の意図が通じてるのに評価下げる"って事しませんよねぇ、普通…
タイトルなし
物語はフィクションだけど、これは真実を語ってると思った。それだけにヤバイ。そして人は本当にヤバイ話をした時、それをジョークとして流そうとすることがある。
一見蛇足とも思えるラストシーンはそういうことだったのではないだろうか?
ホワキン、お見事!
ジョーカーと言えば、ヴィランの象徴であり、バットマンの舞台である、ゴッサムシティになくてはならない存在。アメリカ人には染み付いている、強烈な狂気を象徴する存在。なかなか日本ではうまい例えが浮かばない、サイコパスの極地に居る、独特の存在だ。
ゴッサムシティの話なので、ただでさえ救いようが無いところに加えて、さらに底辺の生活から、いかにジョーカーが生まれたかの物語。
ジャック・ニコルソン、ヒース・レジャーが名演している強烈な役だけに、真っ向勝負では、彼らを超えるのはなかなか難しい。本作ではジョーカーの誕生に焦点を当てて、少しバットマンと距離を置いての構成であるものの、やはり過去作との比較はされてしまう。ホワキン・フェニックスは今年観た「ゴールデン・リバー」で"やらかす弟"役で観ていた。相応の演技だったが、正直ジョーカーのイメージでは無かったので、少し懸念はあった。
しかし、見始めて数分で疑念は雲散、凄いねホワキン・フェニックス。亡くなったリバー・フェニックスの弟という称号を見事に脱出した。ガリガリに痩せていて、どうやっているのかわからないが、肩や腕が変形していて、役作りが、極まっている。ロバート・デニーロも重要な役で出ており、こちらは華がある役で、ホワキンとの対決は見ものだ。
昨日「惡の華」を観たので、内容は違うもの狂気という共通のテーマがあるので、なかなか辛いものがあった。グロテスクさでは、ジョーカーの方がソフトだったかな。ともあれ、重くて濃い作品なので、相応の覚悟を持って見てほしい。
アーサーは如何にして心配するのを止めて憎悪を愛するようになったか
何だろうね…決して「鬱映画」じゃないんだけど、観終わった後の虚脱感。
脳に障がいを持つコメディアン志望のアーサー。TVの有名司会者の言葉に励まされ上を目指すも、不幸や数々の衝撃の事実を叩きつけられて、彼の人生は狂っていく・・・。そして、狂気の世界の仇花として開花するジョーカー。
綿密な脚本演出とホアキン・フェニックスの演技にのめり込まされ、エンドクレジットでは手汗が滲んでた(゚Д゚;)
これは是非とも劇場でじっくり鑑賞して頂きたい!あ、アメコミ知らなくても全然OK(*´Д`)
ついでに・・・
このストーリーが「つまらん」人は、その辺のくだらない邦画でもオススメしますわww
内側から胸を掻きむしられるような
孤独とやるせなさを感じた。静かに確実に忍び寄る奈落への入り口。でも最後まで、決してアーサーが狂っているとは思えなかった。おかしいのは社会と世間で、その報いを受けるのはウェインのような富を搾取する富裕層たち。だから暴力を振るったっていいんだ。
これってゴッサムシティだけじゃない、日本にも世界にも蔓延している不満。現代のネットや、ほら、あなたのスマートフォンの中にも。画面をなぞるその指の先にも。どこにだってある。
ジョーカーは悪の華とも呼ぶべき存在だけど、果たして、本当に狂っているのは誰? 世間? 社会? 仮面を付けて騒ぎ立てる人たち? それを問われているような気がした。悲哀の先に開いた白塗りの徒花を、だから私は笑えなかった。優しいハグとあたたかい言葉さえあれば。彼が求めていたのは、たったそれだけだったのに。あの長い長い階段を昇って家に帰れば、まだ人でいられた。踊りながら階段を下り、ジョーカーとして覚醒してゆく場面の巧さに唸った。暴徒が取り囲む中で最後にアーサーが見せた仕草に、心底ゾクッとさせられた。ああ、アーサーは死んだ。そしてジョーカーが生まれた。生まれてしまった。
ホアキンは素晴らしい役者になった。きっと兄のリバーも喜んでいると思う。
完璧なスピンオフだと思った
『バットマン』の最恐ヴィラン、ジョーカーの魅力ってどこからきたのか分からない、過去も分からない、何の為にこんなに酷いことするのかよく分からない、ただのピエロメイクの人間なのにお金積んだスーツでもマシンでも倒せない・・・そんな情報の無さだと思っていたから、このスピンオフで下手に過去を描き出されるような事があったらジョーカーへのリスペクト?が崩れ去ってしまう気がして正直少し怖かった。
でもその怖さは見事に打ち砕かれ、本作によってジョーカーは最も愛しく最強のヴィランになった。
自分という何も無い、一切注目もされない人間性をよく分かっていたつもりのアーサーだったけど、これまで信じてたそんな人生すら実は偽物で、母の愛すらまた偽物で。背中合わせだった悲劇と喜劇がいつしか混ざり合いふとしたきっかけで容易に牙を剥く。自分を偽る事を辞め、(自分にとって)「最低な奴など死ねば良い」と言い切るシーンには胸を打たれる。その心が間違っているとは言い切れないと、ジョーカーの凄惨な半生が訴えかけてくる気がした。
ジョーカーの行動がきっかけで起こるゴッサムの抗争まで、この映画にはキラキラと光が輝くシーンなど一度も無い。コメディショーのシーンすら暗いのだから。パトカーに乗って街の暴動を「なんて美しいんだ」と目を輝かせて見つめるジョーカー。確かにそうだ。ドンパチと響く音と、オレンジ色のネオンカラーのような炎に包まれる街角がとても綺麗に見えてしまった。彼にとっての綺麗な風景がこれなんだと思うと泣けてきた。
ありがとうホアキン・フェニックス!
あなたは最高の俳優だし、ジョーカーは最高のヴィラン!
苦しくて美しい
バットマン関連は全て観ていますが、別格でした。
ただただ苦しくて辛くて絶望的。ダークナイトのようなユニークなキャラクターではなく、ジョーカーに変貌していくアーサーの生々しい感情をホアキンの圧倒的な演技で真っ向からぶつけられる苦しさに途中で気分が悪くなる程。コメディアンを夢見る主人公の映画が何故こんなに絶望的なのだろうと思ったが、それが人生なのかもしれないという思考へ持っていかれる。
救いがあるとすれば、彼が優しくされた人に見せた一瞬の情。ジョーカーへ覚醒した時のそれまでにない軽快な足取りに、彼が居場所を見つけた瞬間を見た気がしておめでとうと言いたくなった。
見終わった後は精神的に不安定になります。エンタメ映画ではないです。誰かと観に行くのはお勧めできません。映画館を出る時、こんなに周りから会話が聞こえない事はなかった位、黙り込む人が多かった。こんなにも苦しいのに素晴らしいと思ってしまう、自分自身が情緒不安定になってしまった気がする映画でした。
【追記】2度目の鑑賞に行ってきました。
初見と違い冷静に見る事が出来た分、映像や音楽の素晴らしさを改めて感じられた。あの印象的な階段は色々な意味を含んでいるのだろうと思った。階段でのダンスのシーンはお洒落過ぎて改めて鳥肌。細かなディテールを堪能出来て、再見して良かった。
優しい男が悪に変貌を遂げる話ではなく、ジョーカーとなりピエロのメイクを顔に貼り付けた彼の姿こそ、真実の彼の素顔なのだと感じました。
年齢が違うような気がするが
ハッピーとかラッキーって呼ばれている人って、実は色々抱えているのかな、なんて考えたりしました
妄想と現実とが繊細な頭の中で、抑圧され爆発したとき、物凄い力がでる
そして初めて自分に賛同してくれたものが群衆だとしたら
それは今も言える
ゴッサムシティまだ暗くはなかったのだな
バットマンの頃は暗いイメージでしたが
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