ジョーカーのレビュー・感想・評価
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娯楽、作品、どちらのスタンスで観るか。
映画という娯楽として評価するか、
映画という作品として評価するか。
観る人のスタンスによって、全く逆の評価になってしまう。
娯楽とすると、全く楽しめない。楽しくない。ただただ悲しく救えないアーサーの物語を、淡々と2時間ぶっ続けで観させられる。【ダークナイト】の吹っ切れたジョーカーとは、全くの別物。
作品とすると、演出、演技、全てが素晴らしく、アーサーとして観ている様な感覚にさせられる。現実なのか妄想なのか、何が本当なのかわからない。2時間、世界に引き込まれっぱなし。
同意も感情移入も出来ない複雑な気持ちの自分。ホアキンの圧倒的な演技力に魅せられている自分。状況次第で自分すらジョーカーになりえる恐怖心。観終わった後、なかなか自分の言葉が出てこない。
賛否両論あるが、人を殺める時だけは、紛れもなく今まで観てきたジョーカーだった。
個人的にはこれを超える『作品』に出会うのは、かなり先になると感じるくらいの衝撃。良い意味でも悪い意味でも、この映画を受け入れるスタンスで観に行くと、ずっと記憶に残る名作になると思う。
バットマン80周年にあわせたエピソードゼロ的な
一つの答えとしてみる
ジョーカーの過去を知ることは、彼も人間だったと気づくことなのかもしれない。
悪の天才もかつては、アーサーという名の男として貧しいながら慎ましく暮らしていたのだ。
そんな男が悪に目覚める。そのはじまりを今作は恐ろしいほど美しく描いている。
この先、どのようにジョーカーとして成長していくのか、妄想は広がる。
ダークナイトとのイメージが違いすぎるという意見を見た。
確かにその通りだ。ダークナイトのジョーカーはもっと狡猾で悪の天才だ。それに口も裂けている。
ここから個人の妄想だけど、もしかしたらダークナイトジョーカーは2代目なのかもよ。年齢的にも。
今作のは初代、何年か後にアーサーに感化された2人目のジョーカーが現れる。
みたいなこと考えてたら楽しいよね。
ついでに言うと、スーツの色をオレンジにしたのがいい。オレンジの明るいイメージをまとうことでアーサーの悲しさがより引き立つ。そしてオレンジの補色といえば紫だ。ダークナイトの紫スーツと完全に逆の色にしたのだろう。つまりダークナイトは引きずらないでねってことだ。
一度も笑えないハッピーの話
バットマンは観ていないのでジョーカーが何者なのか知りません
この映画には理不尽な世界でなんとか生きようと頑張っていた人が壊れていく過程が丁寧に描かれていました
いま、平和で満ち足りた生活している人と、現状、些細なことにイラッとしてしまう生活をしている人とでは
映画観た感想が変わるんだろうなと感じた
ストーリーがリアルすぎて怖かった
ジョーカーの話しとは思わず、いま、世界の中にこういう人はたくさんいるんだろうなぁと、思いながら
時事ネタを見聞きした気分
いま世界で起こっていることも、事件も、色々な人が感じてる苛立ちもそれら全ての元凶の〝核〟を見た気分です
バットマンには興味ないけど、バットマンのジョーカーをちゃんと観たいと思いました
あー、しかし、怖かった…
ホアキン版『タクシー・ドライバー』
ミスチョイスしないように
圧倒的な完成度
マーベルとは違うよなー、やっぱり。
絶望の先の狂気
期待して待っていたジョーカーをTOHOシネマズの朝の回で鑑賞。
ストーリーは至ってシンプル。
コメディアンを夢見て下積みをしているアーサー(後のジョーカー)。彼は精神疾患を持ちながらも、母親を献身的に介護する心優しき男だった。そんな彼が度重なる不幸で心を狂わせていき、あの狂人・ジョーカーになるまでが描かれる。
アーサーはどこにでもいそうな男だ。夢を目指しながらも成功できず、チャンスを掴み損ね。貧困の中、親の面倒を見るうちに社会から阻害されてしまった。
そんなドロップアウトしてしまった彼に対する世間の目の冷たさ。残酷さを、視聴者は嫌と言うほど突きつけられる。
真面目に生きようとしても報われないこの世界で、心を病んでしまった人間は誰でもジョーカーになりうる。
だからこそ、この映画はヒトを惹きつける。
それを一見すると人好きそうなおじさんにしか見えないホアキン・フェニックスが演じる。だからこそ、狂人に転落していく彼の人生が他人事とは思えないのだ。
騒動を起こし、世間から注目され快感を覚え、更にエスカレートしていくジョーカー。
彼の歪んだ自己顕示欲と承認欲求は、今のSNSの一部ユーザーにも垣間見ることができる。
この映画はフィクションでも、根底に流れる問題は現実と何1つ変わらない。
いやそれどころか、格差が進み未婚率が高まり犯罪率が上がっている今の社会こそゴッサムになりつつある。
だからこそ見る価値がある映画と言えよう。
映画とは本来、受動的なコンテンツだ。
見て、聴いて、感じる。
だが本作は違う。
見た者が実人生をアーサーに重ね、己の精神と向き合うことになるいわば写し鏡。
だから、フィクションとして割り切れない怖さがそこにある。
この映画を見て何を感じるかは人それぞれだろう。
だが己の中に息づく"ジョーカー"に気づいてしまった人間も少なからずいるはずだ。
それこそが、この映画の危険性であり、同時に最大の魅力と言える。
悲劇とは、他人から見れば喜劇に他ならない。
それこそがコメディの本質だ。
世界は想像以上に残酷で、出口はまだ見えそうにない。
演技力についていけてない
これは何の涙だろう。
かなりブラックなエンターテイメント作品
良くできた大作サイコホラー
キャラクターの予備知識なく、なんかアメコミのヴィランの人でしょ?位の軽いノリで見に行ったら、思いの外しんどめのヤツだった…。
バットマン知らん勢から見ても、充分良くできたサイコホラー作品として楽しめた。というか全然楽しくはなかったが。
雨、高層ビル、貧困街。暗さと汚さと虚飾の入り交じる世界観も見事に表現され、光と影に彩られる映像、アングルも一つ一つ哀しく美しい。
何処までが現実、何処までが妄想なのか。進むにつれて曖昧に、朦朧と脳内に閉じ込められていくような感覚もいい。
私は本当に役者を判別せず、観賞後にサイトを見て漸く、「え、アーサー役ホアキン・フェニックスか!?てかあれロバート・デ・ニーロだったんか…」てな体たらくで大層申し訳ないが、ホアキンの鬼気迫る演技は、ネームバリュー関係なく文句なしで素晴らしかった。
嘲笑、悪意の蔓延る現実、格差社会、政治やマスコミの嘘など、現代にも重なる閉塞感と鬱屈が、妙にリアルに神経を逆撫でしてくるのが怖い。
ラスト、司会者との問答は、そのまま犯罪者側の主張と社会的な倫理との対峙として描かれていると思うが、ジョーカーの台詞通り、「善悪なんて自分で決めればいい」と、彼は社会や他人に沿おうとする事を止め、自分の決めた善悪のみで生きる道に踏み出す。
それは狂気というよりは、ただの価値観の転換に過ぎないようにも思えて、薄ら寒くなる。
他者に受け入れられず、排他される立場で望んだのは、【フツウと違う自分でも愛し、受け入れてくれる世界】だったろうに。結局、許容できないものを悪意と暴力で取り除く、彼が憎んだ人達と何ら変わらない価値観に堕ちちゃったね。
視点をほぼアーサーに絞って、真実と虚構を曖昧にするのも、共感し易い背景状況や心情の描写も、徹底的に追い詰めた先の爆発も、観客を引き込む為の仕掛けのひとつ。製作側の描きたいのは、政治批判でも、思いやりの大切さでも、暴力の肯定でもないという印象を受けた。
だからだろうか。余り重いメッセージ性は感じていない。とても良くできたホラー大作だなぁというのが、私の感想。
OPタイトルやエンドロールが、古きよきコメディ映画を彷彿とさせるスタイルなのも、盛大に皮肉が効いている。
ほうら、俺の人生、最高の喜劇だろう?と、ジョーカーの笑う声がする。ちっとも笑えない、と、八の字眉毛とヘの字口でスクリーンを睨む私がいる。
アーサーを応援してる人はどうかしてる。
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