ジョーカーのレビュー・感想・評価
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タイトルなし
ホワキン、お見事!
ジョーカーと言えば、ヴィランの象徴であり、バットマンの舞台である、ゴッサムシティになくてはならない存在。アメリカ人には染み付いている、強烈な狂気を象徴する存在。なかなか日本ではうまい例えが浮かばない、サイコパスの極地に居る、独特の存在だ。
ゴッサムシティの話なので、ただでさえ救いようが無いところに加えて、さらに底辺の生活から、いかにジョーカーが生まれたかの物語。
ジャック・ニコルソン、ヒース・レジャーが名演している強烈な役だけに、真っ向勝負では、彼らを超えるのはなかなか難しい。本作ではジョーカーの誕生に焦点を当てて、少しバットマンと距離を置いての構成であるものの、やはり過去作との比較はされてしまう。ホワキン・フェニックスは今年観た「ゴールデン・リバー」で"やらかす弟"役で観ていた。相応の演技だったが、正直ジョーカーのイメージでは無かったので、少し懸念はあった。
しかし、見始めて数分で疑念は雲散、凄いねホワキン・フェニックス。亡くなったリバー・フェニックスの弟という称号を見事に脱出した。ガリガリに痩せていて、どうやっているのかわからないが、肩や腕が変形していて、役作りが、極まっている。ロバート・デニーロも重要な役で出ており、こちらは華がある役で、ホワキンとの対決は見ものだ。
昨日「惡の華」を観たので、内容は違うもの狂気という共通のテーマがあるので、なかなか辛いものがあった。グロテスクさでは、ジョーカーの方がソフトだったかな。ともあれ、重くて濃い作品なので、相応の覚悟を持って見てほしい。
アーサーは如何にして心配するのを止めて憎悪を愛するようになったか
内側から胸を掻きむしられるような
孤独とやるせなさを感じた。静かに確実に忍び寄る奈落への入り口。でも最後まで、決してアーサーが狂っているとは思えなかった。おかしいのは社会と世間で、その報いを受けるのはウェインのような富を搾取する富裕層たち。だから暴力を振るったっていいんだ。
これってゴッサムシティだけじゃない、日本にも世界にも蔓延している不満。現代のネットや、ほら、あなたのスマートフォンの中にも。画面をなぞるその指の先にも。どこにだってある。
ジョーカーは悪の華とも呼ぶべき存在だけど、果たして、本当に狂っているのは誰? 世間? 社会? 仮面を付けて騒ぎ立てる人たち? それを問われているような気がした。悲哀の先に開いた白塗りの徒花を、だから私は笑えなかった。優しいハグとあたたかい言葉さえあれば。彼が求めていたのは、たったそれだけだったのに。あの長い長い階段を昇って家に帰れば、まだ人でいられた。踊りながら階段を下り、ジョーカーとして覚醒してゆく場面の巧さに唸った。暴徒が取り囲む中で最後にアーサーが見せた仕草に、心底ゾクッとさせられた。ああ、アーサーは死んだ。そしてジョーカーが生まれた。生まれてしまった。
ホアキンは素晴らしい役者になった。きっと兄のリバーも喜んでいると思う。
完璧なスピンオフだと思った
『バットマン』の最恐ヴィラン、ジョーカーの魅力ってどこからきたのか分からない、過去も分からない、何の為にこんなに酷いことするのかよく分からない、ただのピエロメイクの人間なのにお金積んだスーツでもマシンでも倒せない・・・そんな情報の無さだと思っていたから、このスピンオフで下手に過去を描き出されるような事があったらジョーカーへのリスペクト?が崩れ去ってしまう気がして正直少し怖かった。
でもその怖さは見事に打ち砕かれ、本作によってジョーカーは最も愛しく最強のヴィランになった。
自分という何も無い、一切注目もされない人間性をよく分かっていたつもりのアーサーだったけど、これまで信じてたそんな人生すら実は偽物で、母の愛すらまた偽物で。背中合わせだった悲劇と喜劇がいつしか混ざり合いふとしたきっかけで容易に牙を剥く。自分を偽る事を辞め、(自分にとって)「最低な奴など死ねば良い」と言い切るシーンには胸を打たれる。その心が間違っているとは言い切れないと、ジョーカーの凄惨な半生が訴えかけてくる気がした。
ジョーカーの行動がきっかけで起こるゴッサムの抗争まで、この映画にはキラキラと光が輝くシーンなど一度も無い。コメディショーのシーンすら暗いのだから。パトカーに乗って街の暴動を「なんて美しいんだ」と目を輝かせて見つめるジョーカー。確かにそうだ。ドンパチと響く音と、オレンジ色のネオンカラーのような炎に包まれる街角がとても綺麗に見えてしまった。彼にとっての綺麗な風景がこれなんだと思うと泣けてきた。
ありがとうホアキン・フェニックス!
あなたは最高の俳優だし、ジョーカーは最高のヴィラン!
苦しくて美しい
バットマン関連は全て観ていますが、別格でした。
ただただ苦しくて辛くて絶望的。ダークナイトのようなユニークなキャラクターではなく、ジョーカーに変貌していくアーサーの生々しい感情をホアキンの圧倒的な演技で真っ向からぶつけられる苦しさに途中で気分が悪くなる程。コメディアンを夢見る主人公の映画が何故こんなに絶望的なのだろうと思ったが、それが人生なのかもしれないという思考へ持っていかれる。
救いがあるとすれば、彼が優しくされた人に見せた一瞬の情。ジョーカーへ覚醒した時のそれまでにない軽快な足取りに、彼が居場所を見つけた瞬間を見た気がしておめでとうと言いたくなった。
見終わった後は精神的に不安定になります。エンタメ映画ではないです。誰かと観に行くのはお勧めできません。映画館を出る時、こんなに周りから会話が聞こえない事はなかった位、黙り込む人が多かった。こんなにも苦しいのに素晴らしいと思ってしまう、自分自身が情緒不安定になってしまった気がする映画でした。
【追記】2度目の鑑賞に行ってきました。
初見と違い冷静に見る事が出来た分、映像や音楽の素晴らしさを改めて感じられた。あの印象的な階段は色々な意味を含んでいるのだろうと思った。階段でのダンスのシーンはお洒落過ぎて改めて鳥肌。細かなディテールを堪能出来て、再見して良かった。
優しい男が悪に変貌を遂げる話ではなく、ジョーカーとなりピエロのメイクを顔に貼り付けた彼の姿こそ、真実の彼の素顔なのだと感じました。
期待以上の出来!
今観てきた感想を忘れぬうちに。予告編をずいぶん前に観て、ずっと気になっていた本作「JOKER」。まさかロバートデニーロが出演しているとはつゆ知らず。けれど本作が「キングオブコメディ」へのオマージュであることはすぐにわかった。
バットマンの旧シリーズへのリスペクトもさることながら、こういった映画そのものへのリスペクトを随所にちりばめ、ヒーロー物の枠にとどまらない、映画ファンたちを満足させる出来に仕上がっている。
「ジョーカー」というニックネームが、トランプのジョーカーだけでなく、ジョークを言う人というミーニングがあったのだとするスクリプトも秀逸。古くからのバットマンファンを唸らせる。
現代社会が抱える格差問題、隔絶された個人が抱える心の問題など、決して避けて通ることのできないテーマを描くことで単なる娯楽映画ではなく社会派な作品にも仕上がっている。
語るべく切り口はあまりにも多いが、それはまたどこかで。とにかく素晴らしい映画だった。
あ、そうそうホアキンフェニックスの演技はマジですごかった。これは必見だ。
年齢が違うような気がするが
ハッピーとかラッキーって呼ばれている人って、実は色々抱えているのかな、なんて考えたりしました
妄想と現実とが繊細な頭の中で、抑圧され爆発したとき、物凄い力がでる
そして初めて自分に賛同してくれたものが群衆だとしたら
それは今も言える
ゴッサムシティまだ暗くはなかったのだな
バットマンの頃は暗いイメージでしたが
決して天の邪鬼ではありませんが……
ホアキン・フェニックスのいびつに痩せた体形と直接心臓に響いてくるような音楽、その二点がおぞましさを増幅させてはいるが、あの〝ジョーカー〟誕生秘話としてはなんだか厚みがないように感じた。
〝小さな人〟に見せた優しさ、ヒーローとして祭り上げられて踊っている様は、どうみても〝普通〟の人間性の発露であり、〝絶対的な悪〟としては弱々しい。
『ダークナイト』で感じた、人間の弱点を容赦なく一片の隙もなく突いてくる凶々しさにどうしても繋がらない。
ジョーカー、或いはジョーカー的な邪悪(人間の弱さを集めて社会を恐怖と不安で覆うようなこと)と闘うためにダークナイト・バットマンが存在するように勘違いしていたが、ジョーカーは始めからジョーカーだったのではなく、バットマン的な正義の必要性を悟らせるために『ダークナイト』に登場するような本当の〝ジョーカー〟として造形された。
そういうことかもしれない。
クリストファー・ノーランの『バットマン ビギンズ』『ダークナイト』、その二作品の前日譚として、ゴッサムシティーが何故そうなったのかを理解するための作品のようにも思えたが、ノーラン監督の凄さを再認識させられる人が多いと思う。
よくわからなかった
・予備知識がダークナイトのみだったせいか、あまり入り込めなかった。
・アーサーの環境とコメディアンとして成功したいけど、うまくいかない感じがずっと続いて苦しかった。
・最終的にジョーカーになるっていうのを念頭に観ていたこともあってか、凄い転換点を期待したのと破滅的になると思ってたらかなり普通の人間らしい堕ちかたをしていて驚いた。
・所々、妄想と現実が入り乱れた事とアーサーが特殊な体質のためか、感情移入できずどういう意味だろう?とわからなくなるシーンが多々あった。隣人の女性との妄想はどこからで、母親は結局、精神を病んでたのかカルテは完全に偽造されたものだったのか、父親はトーマスなのか違うのか…。
・ホアキンの演技は凄く良かった。あれほど複雑なキャラクターを本当に存在してると感じさせられたから。終始、暗くてどうしたら良いのかとか、怪物ジョーカーを人間味ある存在にして。
【優しき人間の善性が、絶対的悪に変容していく様を恐ろしくも哀切に描き出した作品。】
ー 冒頭、貧しき道化師アーサーは笑う仕草を繰返しながら、涙を流している。ラジオから流れるゴッサムシティの衛生状態の混乱。ー
・帰宅しても愛する母の健康状況を気遣い、バス内では幼子を笑わせようとし、エレベーターに駆け込む親娘を待つアーサー。
どのシーンも不器用だが、彼の善性の欠片が観て取れる。
・が、アーサーの脆い神経は、自らを取り巻く辛い環境、数々の試練、愛する母の若き頃の姿に徐々に混乱していく。
・そして、シティの混乱の中、地下鉄の中で狂態を晒す若き証券マン達へ彼の怒りが炸裂してしまう。又、敬愛するマレー(ロバート・デ・ニーロ)の仕打ちが追い討ちをかける。
〈狂っているのは、私か社会か〉
・後半の、マレーのTV番組への出演からのラストシーンへの悪夢の様な怒濤の流れは忘れ難い。
〈そして、絶対的悪が降臨した〉
・ダークナイトシリーズとの繋がりもきちんと描かれているので、スピンオフとして観ても良いが、今作は、明らかに現代社会への警句として作られた作品だと思う。
<それを圧倒的演技で魅せるホアキン・フェニックス。
そして彼もこの作品で、絶対的名優になったのである。>
<2019年10月4日 ユナイテッドシネマ岡崎にて鑑賞>
終盤からハラハラがどんどん込み上げてくる ここまで見たあとの疲労感...
フェニックスといえば、ホアキン
近ごろのDC作品は、マーベルを意識しているのか、ややコメディ色が強く、あまりぱっとしないものばかりでした。スーパーマンやバットマンがシリアスだっただけに、DCに軽妙さは要らないな、と感じていました。
今作は、まさに自分が好むDCらしい作品でした。
これまで様々な名優が演じてきたカリスマ的悪役、ジョーカー。そんな彼がいかにジョーカーとして覚醒したかを描く今作で主演を演じたホアキン・フェニックス。彼の演技は、ほんとうに素晴らしいかったです。若いころは、彼のお兄さんであるリバー・フェニックスの陰に隠れてしまっていたような印象でしたが、「her」のころから徐々にその存在感を増していき、今作で、すっかり兄の威光を打ち消したように思います。
個人的には、「ダークナイト」でジョーカーを演じたヒース・レジャーにも匹敵する、素晴らしい演技だったと思います。
脚本もまた、見事でした。
主人公であるアーサーの悲惨な境遇には同情し、世間の醜悪さに対する感情には同調しました。
彼のおこないが善なのか悪なのか、それはわかりません。ただ、もしかしたら自分も、なにも失うものがなくなったとき、同じような行動に出てしまうかもしれないな、と思いました。きっと、あなたも。
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