「ジョーカーに音楽あり。」ジョーカー ychirenさんの映画レビュー(感想・評価)
ジョーカーに音楽あり。
映画を観る時、目に飛び込んでくる映像だけでなくその背後で流れる音楽やメロディーに身震いした経験は誰にでもあるのではないだろうか。
あまりにも有名となった、主人公アーサーが赤いスーツに身を包み道化のメイクで踊り狂い階段を降りてくるシーンは私にとってまさに身震した経験の一つと言っでもよい。背後に流れるゲイリーグリッターのRock aod Roll PartⅡは1970年代に英国で大ヒットしこの映画をきっかけに世界中の人が再び知る事となったロックナンバーである。
そこで私には1つ気になる事が。
あのシーンの動きはホアキン フェニックスのアドリブとも聞いたが、実際主人公アーサーの脳裏にあの曲が流れていたのだろうか?そうでなければ、映画自体のバックグラウンドミュージックなのか?当たり前の事だろうけどアーサーの動きと音楽は絶妙にマッチしている。そこで私は自分の頭の中で、ある事を試してみることにした。非常に邪道な試みだ。
あの背景に流れる曲が、別の曲だったら?
全ての不幸を背負い惨めな青年アーサーを突き抜けた狂気で洗練されたように魅せるのは可能なのか?
自分なりにアップテンポで踊り出したくなるような有名どころを選曲をしてみる。
まずはローリングストーンズのStart Me Up。ちょっとタイトルもテンポも陽気過ぎる。これだとジョーカーがキャラ変してしまう。
それならレッドゼッペリンのRock aod Roll はどうだろう?テンポが速すぎてアーサーは踊り狂うどころではない。階段から落ちる。
当然だけど、やっぱりなんか違うよね。
じゃあ、キンクスのYou Really Got Meはどうだ!.....。
もうこれ以上言うと、トッド.フィリップスやホアキン、その他大勢の人達に激しく怒られそうだからやめておこう。
やっぱり映画ってすごいな。すべてが監督のセンスで計算されている。そこに主演であるホアキンフェニックスの感性が生かされるのだから、賛否はあっても、私はどうしたってこの映画は凄いと思ってしまう。
因みにアーサーが道化をクビになり去っていく場面。壁の落書きDon't Forget Smile(笑顔を忘れるな)のForgetを書き消し、Don't smile(笑うな)に書き換えるあのシーン。背後で流れる曲のタイトルはMy Namd is Carnival(私の名はカーニバル)だそうだ。道化を解雇された男の背景にそのタイトルの曲って、それこそ、身震いする。