「弱者のアイデンティティ」ジョーカー 北摂の影さんの映画レビュー(感想・評価)
弱者のアイデンティティ
近年多発している「ジョーカー」と呼ばれる社会的弱者の凶行を生み出した問題作、とされている映画。
人は誰しも、誰かに認められたい、と願っている。家族や恋人、職場関係の人々から認められることによって自己を確立しているといえる。
しかしこの映画の主人公のアーサーのように職を失い、家族や友人関係も上手くいかず、周囲から軽んじられる社会的弱者は、社会との繋がりから自分の価値を見出せず、ついには凶行に走ってしまう。
犯罪行為をして、世間に自分の存在を刻めるならなら、ひとつのアイデンティティを獲得した、といえるからである。
社会的影響を懸念して、この映画は規制されてしまい賛否両論あるようだが、社会的弱者にひとつの解答を示してしまった側面もあるといえる。
作品内でもジョーカーの信者たちが暴徒化していたが、現実世界での模倣犯の誕生によって、真の意味でこの映画は「完成」してしまったのかもしれない。
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