「APPLAUSE "That's life!!" 世界に独り --...」ジョーカー とーりさんの映画レビュー(感想・評価)
APPLAUSE "That's life!!" 世界に独り --...
APPLAUSE "That's life!!" 世界に独り --- 力強く忘れ難くスクリーンを支配する新生ジョーカー像に揺さぶられる! 究極の悪に打ちのめされるキング・オブ・スーパーヴィラン降臨。『キング・オブ・コメディ』『タクシー・ドライバー』など70〜80年代のスコセッシ×デ・ニーロの名作(あと『ネットワーク』?)を出典元にした完璧なキャラクタースタディで、誰もが知るスーパーヴィラン誕生の物語という側面以上に完璧に打ちのめされるホアキン・フェニックス劇場が社会の闇を浮き彫りにして突き付けてくる。だからこそ人気司会者マーレイ役で名優ロバート・デ・ニーロが出演するのも必然。監督脚本を務めたトッド・フィリップスの手腕も『ハングオーバー』等コメディ映画で見てきたものとはまた異なり、内側を掘って掘って掘りまくる(いや、もしかすると今までもザック・ガリフィアナキスの友達ほしいキャラは...?笑)。展開として多少予定調和的部分も感じたけど、そんな"よくある"を単なるよくあるものにせず、それ以上に人間の狂気に強迫観念的に迫ってくる。ストーリーラインの一種凡庸さスレスレの普通さもそれ以外の突出した部分で補い余りある。ここに自己憐憫や馴れ合いは無く全てが火花飛び散らすように刺激的なプロフェッショナルの仕事に徹している。絶望的救いの無さから常軌を逸脱した行動に走る原理を極力丁寧に観客と共有するようだから「哀」から「怒」に転じた時のエネルギーに戦慄しつつも心のどこかでもっと求めてしまうように狂気を孕む。他人事じゃない。トークショーの際の緊張感たるや! だから緑色の染料や赤いスーツ持ってるか? なんてヤボな質問しちゃダメ。劇中鑑賞するシーンのあるチャップリン『モダンタイムス』のメッセージのように格差社会蔓延する世の中を煽動する♪クリームの名曲ホワイトルームに乗せて。最後の方で流れた血で口の線を引くのが痺れた、あと精神病院で追いかけっこしているのはどこかコミカルだった(チャップリンからの影響?)。香港のデモ等と奇しくもマッチするのも偶然の筈なのに... もし本作が実社会で誰かを凶行・犯罪に走らせてしまったらと考えると最悪だし、こういう作品が製作され、しかもその質が高ければ高いほど、そういう点は議論の的になり得て無視できないが、そこはまた別の問題と捉えたい。から、周りの騒がしさという誤った方法でバズるのでなく、先ずは作品自身と向き合ってほしい。
※アメリカ本国での鑑賞は現状危険そう?※
P.S. 例えば『ファイトクラブ』鑑賞後ほどは社会転覆したい、私欲に溺れ肥え太った豚ども消したいと強く思わなかった。が、本作について社会の歯車を体現して少なくともそれなりの(週の真ん中に酔っ払う余裕があるくらい)無駄に不釣り合いな給料を貰っているであろう馬鹿なサラリーマンどもが本作について語っているのを耳にしたときは口挟んで、おまけに消してやりたくもなった。
Put on a HAPPY face
APPLAUSE "That's life!!" APPLAUSE
TOMATOMETER77%
Joker gives its infamous central character a chillingly plausible origin story that serves as a brilliant showcase for its star -- and a dark evolution for comics-inspired cinema
Guardian, EMPIRE, Total Film, London Evening Standard, Time Out, Times UK, Daily Mail UK 5/5 Toronto Sun 4/4
Richard Roeper 3.5/4
Peter Travers 4.5/5