「ラストは見事な〇〇オチ。」ジョーカー 甘塩さんの映画レビュー(感想・評価)
ラストは見事な〇〇オチ。
私はこう捉える。
今回のジョーカーはアーサーの妄想オチだったと。
1つ1つのことをとても丁寧に創り上げれた本編。
観始めたときは現実の物語が進行しているのかと
思っていたが、
冒頭のカウンセリングのシーンと
ドアに頭を打ち付ける精神病棟のシーンの
時計の時刻が一緒であることに気づく。
(11時11分か12分頃)
その時計の主張の大きさに違和感を覚えたまま本編へ戻ると
アーサーの現実と妄想が交互していく。
一番わかりやすいのは好意を抱いた女性。
おそらく現実で起こったのは
エレベーターに同乗したシーンと
ストーカーをしたシーンと
勝手に部屋に入ってソファーに座っていたシーン。
その他は全部アーサーにとって都合のいい妄想。
(アーサーの理想ともいえると思う)
これを軸に置いて考えると、彼女が観に来てくれたコメディアンのライブも妄想ということになる。
つまり、
それをきっかけに番組に呼ばれたのも妄想。
殺人を犯したのも妄想。
(そもそも地下鉄殺人の時に銃の弾は撃ち切ったので番組放送内では撃てなかったはず)
ラストシーン
アーサーが精神病棟でカウンセリングを受けている。
冒頭と同じといえるシーンに切り替わる。
そしてアーサー自身が切り出す
「面白いジョークを思いついた」と。
全てはアーサーが精神病棟で考えた
「ジョーク」
つまり本編は妄想オチ。
と、いうのが私の見解です。
妄想オチといってしまうと
夢オチみたいな都合のいいものとして
捉えられてしまうかもしれないけれど、
アーサーの妄想は
自分の中に「ジョーカー」が誕生した瞬間なので
本当の物語はこれから動き出すのかと思うとゾクッとしました。
さてさて。
妄想オチとは言いましたが
本編全てを妄想にするのは難しいと思うので
アーサー自身の実体験がチラホラ妄想内に入っていると思います。
悲劇を喜劇にしたいという想いが強いので
母親のくだりはほぼ現実なんじゃないかと思ったり。
あと個人的に疑問に思っていることがあるのですが
最後に「パパ」を殺したのって誰なのでしょう?
パパとママは殺すけど息子は殺さない。
そうしたのは誰なのでしょう?
観終わったあと考察しがいのある映画って
本当に素晴らしいと思います。
素敵な時間をありがとうございました。