劇場公開日 2019年10月4日

「ホアキンありきのこの映画だと」ジョーカー ミッチさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ホアキンありきのこの映画だと

2019年10月17日
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文句なしの傑作。
ホアキン・フェニックスの演技無しには成り立たない映画でしょ。

アメコミと違うとか、ダークナイトのジョーカーに繋がらないとか、それらを目指すならホアキンが演じる意味が無い。今までのジョーカーとは全く別次元の映画として観ればこれ以上の映画は無いのではないだろうか。
期待値以上、全てに打ちのめされる。

どん底の人生から更に職場でも友人からも肉親からも憧れの人からも裏切られ、一人の犯罪者が出来上がってしまう悲喜劇をこれでもかと見せつけられる。まともに生きようと、もがいてみても無理だった。
生粋のサイコパスでは無く、生まれ育つ環境から犯罪者になってしまう。
過去の凶悪犯罪者がどんな人生だったのか、そして現在、未来の犯罪者予備軍とその家族や友人達に取って反面教師としてのバイブルになって欲しい、そんな特異な映画だ。

今の世界、有名人だけでなく一般人もちょっとした事で匿名性の高いSNSで徹底的に叩かれ罵られる可能性がある。また逆に弱者に過剰なまでに気を使う必要もある。全ての人が聖人でなければ・・・とまでは言えないけど、それに近い息苦しさがある。今のまま突き進めば、アーサーのような人が出てきても不思議でないと思う。

昔母親が近所の不良と普通に会話し、普通に仲良くなっていた。「皆ちゃんと話せるいい子達ばかりよ」と言っていた。皆がそうやって偏見なく話せれば、いい世界になるんじゃないか。
そんな母親の言葉を何十年振りに思い出してしまった。

ミッチ