「育まれていく狂気」ジョーカー Movieアパートさんの映画レビュー(感想・評価)
育まれていく狂気
クリックして本文を読む
日本での公開前から色々な話が飛び交っていた今作。 特にアメリカでの 危険視 と言って差し支えないレベルの前評判に、見る側としては嫌が応にも事前のハードルが上がっていた。 が、その評判に違わぬ、なんなら上回ってくるような とてつもなさを持つ映画だった。
今作は一年に一本 あるかないか というペースで現れる 役者の演技 が圧倒的力で映画を引っ張っていくタイプの作品で、とにかく! ホアキンフェニックス! これに尽きるだろう。 その演技だけで映画のすべての要素に説得力を持たせることができるほどの驚異的な 体現っぷり。
今まで何人もの名優がジョーカーを演じてきたけど、ホアキンフェニックスが見せたジョーカー像は今までのどのジョーカーとも違う。ジワジワと狂気が彼の中で育まれていく様を、まるで見る側の心までも取り込んで沈んでいくような、とてつもない力で見せていくのだ。
この ジョーカーに感情移入させる という部分が今作のもっとも評価される部分であり、その一方で今作が 危険視 される要因なんだろう。特にラスト ジョーカーが分断の旗印かのように立ち上がる結末が、あまりにもアメリカの今とリンクし過ぎているために、問題になっているんだと思う。(ちなみに過去、映画館で起こった銃乱射事件で犯人がジョーカーに影響されていた という話が出たことがあったが、後で犯人の取り調べの中で 別にそんなことはない ということがわかっているらしい)
ホアキンフェニックスがやる という時点でとてつもない演技だろうとは思っていたが、まさかここまでとは
今年一番 見るべき一本 だろう。
コメントする