「泥だらけの手で心臓を鷲掴みにされたよう」ジョーカー カメさんの映画レビュー(感想・評価)
泥だらけの手で心臓を鷲掴みにされたよう
個人評価:4.7
アカデミー賞おめでとうございます。
主演男優賞の呼び声高いホアキン・フェニックス。その評判は過小評価と言わざるえない。まるで泥だらけの手で心臓を鷲掴みにされている様な感覚を与えてくる。魂までも削った様なその演技は、映画史を揺るがす名演だ。
またトッド・フィリップスの脚本と演出も素晴らしく、絶えず使われる挿入音は、ジョーカーの闇をより濃く、また空間までもが歪んで見える様な世界観を演出している。
本作は最初から最後までジョーカー1人に焦点をあて、登場人物の無駄を一切省いた手法。この映画には助演も女優も必要ない!ジョーカーだけだ!この男を見ろ!そんな孤高な作り込み。
キング・オブ・コメディのオマージュの様な設定もあるが、スコセッシが描いた人間の内なる闇を、本作はさらに引き出していると感じる。
バットマンの本筋とオーバーラップする部分もあるが、妄想の中、社会の膿の狭間で堕ちていく、1人の男のリアルな人間像を描いている。
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