劇場公開日 2019年10月4日

「陶酔は道化の"産声"」ジョーカー 平田 一さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5陶酔は道化の"産声"

2019年10月5日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

仕事終わりの初日に観ました。

圧倒されたと言うか、自分もこうなる危険性がホントにゼロか?問いたくなります…。

一線を超えたことで陶酔し、目覚める様は、何というか尋常じゃない生々しさを見た気がします。重々しかった躍りが一転、鉛が一気に消えたみたいに、軽やかに、しなやかに、踊る姿は恐ろしいです。が、同時に幸せそうだと、思ってしまった自分がいます。

自分の暴力衝動が、自分を殺す一発目に。周囲の人々と出生の秘密で、止めの一発に。

怖いです。怖いんですが、ああなる率がゼロと言えない、あり得そうな怖さがあって、それが一番怖かったです。ホラー的な怖さよりも、身近だから尚更です。

でも、ハッピーエンドのような感触なのがお見事です。単一な視点じゃなくて、見方によってはこういう視点も存在するよ、と描く姿勢は、作品を深く高め、議論を大いに弾ませるので、監督はホントに腹を括ってるなと感じました。

ホアキンの熱演には、他の方が熱く熱く語っていると思って割愛。ですが間違いなく言えます。

一見の価値アリです!

今年最も危険であるけど、"声"を発した勇敢な映画を。

平田 一