劇場公開日 2019年10月4日

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「完璧なスピンオフだと思った」ジョーカー 幸ぴこさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0完璧なスピンオフだと思った

2019年10月4日
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鑑賞方法:映画館

『バットマン』の最恐ヴィラン、ジョーカーの魅力ってどこからきたのか分からない、過去も分からない、何の為にこんなに酷いことするのかよく分からない、ただのピエロメイクの人間なのにお金積んだスーツでもマシンでも倒せない・・・そんな情報の無さだと思っていたから、このスピンオフで下手に過去を描き出されるような事があったらジョーカーへのリスペクト?が崩れ去ってしまう気がして正直少し怖かった。
でもその怖さは見事に打ち砕かれ、本作によってジョーカーは最も愛しく最強のヴィランになった。

自分という何も無い、一切注目もされない人間性をよく分かっていたつもりのアーサーだったけど、これまで信じてたそんな人生すら実は偽物で、母の愛すらまた偽物で。背中合わせだった悲劇と喜劇がいつしか混ざり合いふとしたきっかけで容易に牙を剥く。自分を偽る事を辞め、(自分にとって)「最低な奴など死ねば良い」と言い切るシーンには胸を打たれる。その心が間違っているとは言い切れないと、ジョーカーの凄惨な半生が訴えかけてくる気がした。

ジョーカーの行動がきっかけで起こるゴッサムの抗争まで、この映画にはキラキラと光が輝くシーンなど一度も無い。コメディショーのシーンすら暗いのだから。パトカーに乗って街の暴動を「なんて美しいんだ」と目を輝かせて見つめるジョーカー。確かにそうだ。ドンパチと響く音と、オレンジ色のネオンカラーのような炎に包まれる街角がとても綺麗に見えてしまった。彼にとっての綺麗な風景がこれなんだと思うと泣けてきた。

ありがとうホアキン・フェニックス!
あなたは最高の俳優だし、ジョーカーは最高のヴィラン!

幸ぴこ