おいしい家族のレビュー・感想・評価
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なんでもない風景
主人公の女性は、結婚生活が上手くいかないで悩んでいた。
夫婦というのは、これであるという理想の中で自分が現実というものに向き合ってみるとお互いに違うという事が明確に現れるからそれに対して避けていたのかなと感じた。
そんな中、母の3回忌という事でそれまでほとんど帰る事の無かった実家に帰省する事になる。
そこでは、なぜか父親が母親の格好をしていて、しかも連れ子の男性と結婚をすると言いだす。
そんなカオス的な状況に飲み込めないでいる。
板尾創路さんが演じる母親(父親)がシュールであり、なんとも言えない温かさをかんじました。
なぜ、そんな格好をして母親になると決めたのか?
なぜ、子連れの男性と結婚する事になったのか?
物語が進むにつれてそういう事か分かってスッキリした気持ちになれました。
誰かのなりたいものに憧れを抱いて苦しんでいてもつらいとけども、
この物語の中で描かれているような人達の中でいる事が出来れば、幸せかもしれない。
現実は、そんな簡単ものでは無いけど、
どこにもない。どこかそんな家族が実際にいたら面白いなと思いました。
どの役者さんの演技もとても素晴らしく良かったです。
ロケ地が新島だった
なんで、東京の言葉喋っているのか?それが気になった。
ロケ地が綺麗なので、調べたら、新島だった。
こんな良い所、東京にあるなんて、それだけで良い映画だと思う。
ダリア役の女の子とスリランカ人が当たり。
崔洋一監督や森田芳光監督の影響があると思う。
『月がどっちにに出ている』と『家族ゲーム』でしょ。
人間は見た目ではないのは言うまでもないが、おはぎは嫌いだし、ハイヒールと化粧も好きにはなれない。でも、好きな人もいるだろう。因みにきんつばは大好きである。
キックトックとショートコントが合わさった様な映画。
追伸 都立高校は女性がスカートをはかなければならない高校がたくさんある。それをなくしてからの話だと思う。
性的マイノリティーではなくとも、僕の姪っ子はスカートが嫌だったそうである。僕はスカートを履きたいと思った事はないが、制服が嫌いだった。爪入りが大嫌いだった。就職してからはネクタイが嫌いで、ネクタイのいらない職場のに配属を希望した。
女性は家事をするものと言った価値観をこの映画は押し付けていると感じた。大変に残念である。
田舎での視線と多様性の間で。
東京のデパートの化粧品コーナーで働く燈花はダンナとは別居中。
燈花が離島に母親の3回忌で帰省すると・・・。
父が女装していて、娘がいる和生と結婚宣言をする。
息子の翠はスリランカ人と結婚。
和生の娘ダリアの男友だちは女装願望がある。
みんなそれを不自然とも思わずに淡々とカオスな実家の帰省生活が始まる。
なかなか受け入れられない燈花は周りにずっと反発しているが、それがある意味自然な反応である。え、カオスな状況平気なの?という一番ノーマルな女の子であるが、徐々に受け入れていく。というか受け入れざるを得ないとも言ったらいいのか。
受け入れるというのは、特別扱いするのではなく、そこに自然な振る舞いができる状態で、空気のように程よく放置しておくくらいではないだろうか。
板尾創路は女装するとコントにしか見えない。コミカルとB級のすれすれの作品になっている。
難しいことは考えないで
難しいことは考えないで、これはどこかの家族の話。
色んな事に理由なんていらない。
LGBTとか人生とか、難しいことを探し出そうとし無いで、これは普通のどこかの家族の話。
あのな、父さん母さんになろうと思う
映画「おいしい家族」(ふくだももこ監督)から。
この作品を思い出すには、この台詞が一番だと思う。
「あのな、父さん母さんになろうと思う」
母親の三回忌で、生まれ育った離島へ帰省したら、
性同一性障害でもなければ、女装趣味でもない父親が、
母親の服を着て、家事をせっせとこなしていた。
その姿を、周りの人たちは受け入れていて、
誰もおかしな目で見ることもなく、ごく自然に過ごしていた。
ちょっと設定に無理があるけれど、妻が亡くなり、
その真似事で、料理を勉強したが、どうもうまくいかない。
「試しに母さんの格好してみたら同じ味になって」と、
妻の服を着るようになった経緯を自分の口で説明したので、
実際には「?」と感じだか、納得して観続けた。
まぁ、都会では完全に不自然だけど、離島だからいいかな、
そんな程度だったが、最後に、意味がわからなくなった。
「妻の服を着ることで、家事をスムーズにこなす」と
「男性と結婚して花嫁衣装を着ること」が結びつかないから。
父親は何のために花嫁衣装を着たのだろうか。
結局、誰の服でもよかったってことにならないかなぁ。(汗)
血や固有の役割を越えた繋がりへ。
こんな家族の在り方もいいじゃないか、と肩の力を抜いてクスリと笑える作品。
この映画の橙花たち一家は、今はファンタジーに近いけど、これがファンタジーじゃなく思える世の中にどんどんなっていったらいいなって思う。
仕事も結婚もうまくいかない橙花が母親の三回忌で実家に帰ると、母親の格好をした父親・青治が子持ち男性と結婚して母親になると言い出した。
弟の葵と、スリランカ人の奥さん・サムザナ、お腹の子、青治の結婚相手の和生、和生の娘・ダリア。
橙花の家族は、国籍も性別も血の繋がりも瑣末なことだと言わんばかりにそれぞれの形で繋がっていく。
個人的にダリアちゃんとその同級生・瀧がメイクしてダリアちゃんが作った衣装を着て踊るシーンがすき。
あとダリアが恋愛対象として見ていた瀧に「一緒に買い物に行こうね」っていうシーンや、青治と和生の結婚式で瀧にプロポーズするとこ。ダリアちゃん役の子、眠たそうな顔やそばかすがとてもキュートで可愛い。本作でファンになった。
あとおはぎ食べたくなった。この映画食べ物が美味しそう。
橙花と和生の犬鳴き真似シーンは解せなくてあそこだけちょっと困惑。
題材は好き
監督が若い女性で、自らも養子というバックグラウンドであることをきき、また題材もいいと思ったので観にいきました。その若さと長編初監督ということで、少し下駄をはかせて星3つ。
こんな風に人が人に対して寛容なら本当にいいだろうね、というユートピアが描かれているのだけど、その背景や必然性が描かれず、ご都合主義の作り話感が拭えなかった。
リアリティって大事ですよね。一見ありえないことでも、それがもう存在することを信じて疑わないって観客が思うくらいのものを見せてくれるのが、監督の仕事ではないか。自分の頭の中のリアリティで完結するのでなく。
いい場面はたくさんあって、泣けるし、実際に何ヶ所かで泣きました。なのだけど、なぜかどっぷり浸れず。違和感がところどころにあり。入り込めなかった。いかにも泣かせる台詞に泣かされたという感じか。
最初の2人のシーンから、結婚式の場面をもってしても、あの2人がお互いかけがえのないパートナー(結婚までするほどの)であることが、あくまで「設定」でしかなく、その空気感はあまりリアルに伝わってこなかった。
仲のいい居候ではなく、わざわざ夫婦になることについて、色々と台詞で説明しようとしてるのはわかるんだけど、、、その設定を成り立たせるための台詞で説明されてる感が拭えず。
主人公の演技が研修生のワークショップを見ているようだった。それ以外の俳優さんはとてもリアルで良いと思った。
すごくいい題材だし、監督が表現したいこともなんとなくわかるだけに、作品ではそれが観られず残念。でも、この映画に関心ある人には、自分の感想は言わずに「ぜひ観てみて!」と勧めます。こんなレビューでごめんなさい。
紅を点す
家族の形、幸せの形は必ずしも一定じゃない。
わかっていてもいざ自分事となると一気に難しくなってしまうそれを、カラッとした空気とテンションで描いてくれる作品。
ありのままの向こう側って、もうこれなんじゃないの?
帰ったら父が母になっていた。
小さな島国のさらに小さな島の町。ジトジトした偏見の予想など軽く吹っ飛ばす、全く気にせずあっけらかんと接する人々にまず嬉しくなる。
「#昭和レトロ」の可愛い洋服をナチュラルに着こなし、妙に似合って謎の色気すら感じさせるお父さん、ないし、板尾創路。好き。
料理をする手つきや日常の所作がとても両性的で良かった。
わざとらしく女性に寄るでもなく、めちゃくちゃオヤジなわけでもない。
以前の彼のことはわからないけど、きっと穏やかな人だったろうと思う。
お母さんのこともわからないけど、きっといつもお洒落で可愛らしく朗らかな人だったろうと思う。
橙花の困惑だってそりゃ当然。
「少数派は辛いよね」の捻れが好き。
家族や好きな人の新しい幸せを素直に願い祝うこと。簡単にできればいいけど、それが自分に寄れば寄るほど、今までと違えば違うほど、難しくなる。
「お父さんがお母さんになったら、お父さんはどこに行くの」「お父さんまでいなくなるのは嫌だ」
ひしひしと伝わってくる不安感に涙。
そもそもどうしてお母さんになりたいのか、お母さんになるとはどういうことなのか、なぜ和生と結婚したいのか、青治は事細かには語らない。
きっと説明できるようなものじゃない。
もっと曖昧で感情的で、自分でもよくわかっていないのかもしれない。
お母さんの服を着たら彼女を近くに感じたから。和生&ダリアがいると楽しいから。息子夫婦がいると楽しいから。失った幸せが戻ったように感じたから。
そんな感じで良いじゃない。
しっくり来るなら良いじゃない。
現実の世界もこのくらい適当で寛容であれば良いのに。
瀧が大好きなダリアと自らを可愛く着飾りたい瀧、二人のプリティさがとても良かった。
アイドルだからって白くなくて良いし、彼氏がフリフリ可愛くても良いし、夫が婚姻の着物着ても良い。
弾ける青春、可愛かったな。
私はあの入江はとても綺麗だと思う。
銀座で働いてイケメン旦那がいて、事情は分からないけどきっと色々とらわれていた橙花が終盤で見せる表情にホッとする。
自販機にポイっと入れちゃう結婚指輪。
結婚も離婚もおめでとうでありたいよね。できることならばね。
エビオのチャラ一途感にときめき、時折スベるコミカルシーンに笑い、優しくも弾けた映像表現に目を奪われた。
サムザナのアクセント的な存在感も好き。
カレーを手掴みで食べる。日本人ならだいぶ抵抗のあるそれを、軽々とやってみせる家族。本当ナチュラル。
性や人の多様性を描きつつ、それを湿っぽくメインに置かずに、あくまで個人の幸せや日々の楽しさにスポット当てた作りが堪らなく好き。
ありのままの自分とか、秘めたる癖とか、そういうのはとうに超えた、いっそ清々しいほどの映画。
世界がこうならと思わずにいられない。
どうしても自分の家族を思いながら観てしまう。もちろん全然違っているけど。
私は近い人の幸せを素直に受け止めるまでに時間がかかったから。
エンディングの曲がまた良くて、「どうでもいいよ、どうだっていいよ」の歌詞にヴェーヴェー泣き震えていた。
これから口紅をさすとき、この映画を思い出して涙目になってしまいそう。
理想郷はやっぱり絵空事かしらん?
夫とは別居中の化粧品のメイクアップ&販売員をしている橙花(松本穂香)。
母の三回忌に故郷の離島に戻ってきたが・・・
といったところから始まる物語で、あとは謳い文句のとおり「実家に帰ると、父が母になっていました。」である。
ふくだももこ監督はインタビューで「自分が思い描く理想郷を描きました」と答えているが、たしかにそうだろう。
性別や国籍も越えて理解できる土地は理想郷で、主人公はそれをなかなか受け入れられない。
ま、そりゃそうだ。
でも、「そりゃそうだ」で止まってしまうと、映画としてはダメで、「どうしてみんなは理解できているのだろうか」に踏み込んでいかないと。
父親(板尾創路)の結婚相手になる和生(浜野謙太)から、「セイさん(父親のこと)は、母親になりたかったんだよ」とヒントのような言葉が発せられるが、そこんところを上手く演出しないと。
つまり、家族の稼ぎ手としての大黒柱(=父)ではなく、家族の心の大黒柱(=母)になりたいこと、そして、それを実現するのに乗り越えてきたこと、そういうあたりがやっぱり必要。
ということで、理想郷はやっぱり絵空事かしらん、と思わせちゃダメなんだよね。
おいしくも大きな愛の作品です。
予告編とか全く観てなくて、前情報も無く、ポスターの画像から、なんとなく面白そうに感じて観賞しましたw
で感想はと言うと、結構当たり♪
こういう思いがけない当たりに出会えたりするからこそ、ミニシアター系の作品はフットワーク軽くして観に行くと良い事があるし、楽しいw
東京の暮らしに少し疲れ、旦那とも別居中の橙花は母親の三回忌に地元の離島に久し振りに帰郷するが、そこには亡き母のワンピースを着た父親とそれを普通に受け入れている家族。
そして父親と結婚すると言う男性と連れ子の娘が現れ、“お父ちゃん、お母ちゃんになるわ”と宣言する。家族も島の住民も皆 普通にそれを普通に受け入れている。橙花は戸惑いを隠せないが、それぞれと触れあっていく内にいろんな事が理解出来ていく…と言うのがなんとなくのあらすじ。
もう、ツッコんだら負けぐらいにツッコミ所は満載ですが、この作品はそのツッコミたくなる様な違和感を包み込む優しさと言うか、雰囲気を楽しむのが正解の作品かなと。
父親の板尾創路さんがのっけからワンピースを着て、ラストには和装の花嫁衣装を着ているのはコントとしか言いようが無いんですが、ゲイと言う訳ではなく、もう大きな愛の持ち主なのかと。
大きな愛がそうさせたんですよねw
そうとしか言い様がないのは、板尾さんが男性を愛する描写や仕草が女らしいと言うのは殆ど無く、振舞いは女性テイストを感じられても、動作はがっつりオジサンで、歩き方や姿勢は少し疲れてはいるが一家の大黒柱なんですよねw
どうしてこうなったとか、何故男性と結婚しようと思ったと言うのは、さほど説明されてなく、だからと言って、LGBT問題の1つなんですが、だからどうしたと言う感じで笑い飛ばせると言うか、大した問題にしないおおらかさ。
島の気候や風土も相まって、沖縄の“なんくるないさぁ”的な雰囲気が心地好いです。
手作りの料理もどれも美味しそうで、食事の途中におはぎを食べるのには、なんか変な感じがしてもしみじみ良い感じ。
手作りのおはぎは愛情の形なんですよねw
三回忌の前に食べてる素麺といろんな天ぷらも美味しそう♪
キャストもなかなか良いです。
橙花役の松本穂香さんは若いのに落ち着いたベテラン感があって、若い頃の松たか子さんに似てるかな?
ダリア役のモトーラ世理奈さんは小松菜奈さんみたいでなかなかカッ飛んだ感じが良いけど、綺麗に見えるのと時折ブサイクに見えるのが極端な時がある不思議な女優さんですw
個人的に気になって、良かったのがハマケンこと在日ファンクの浜野謙太さん。
結婚寸前とは言え、我が家の様に普通に立ち振る舞って遠慮の欠片が見えないけど、裏表の無い感じがとても良いです。
イイヤツなんですよね♪
ちょっと、“ん?”な感じがしたのが三河悠冴さん演じる瀧。皆が普通に受け入れてる板尾さん演じる青治が高校の校長がワンピース姿に唯一“なんかおかしい”と異を唱えたけど、自身が素直になる事をに青治から感銘を受けて、可愛い女の子の格好をするんですが、なんか作中でも違和感を感じるんですよね。
瀧が1つのキーポイントになる筈なんですが、ちょっと板尾さんの達観しきった振る舞いとのギャップが生じるのと、瀧とダリアのダンスシーンは取って付けた様な青春映画の表現に青春映画なのか家族愛の映画なのかは分かりづらくブレた感じがしましたが、如何でしょうか?
あと、細かい事ですが、青治が和生を橙花に紹介する時に“結婚するんだが、小さい島だから、いろんな事を言う人もいるから、和生は養子として迎え入れるんだけどな”と島特有と言うか、閉鎖的な空間での偏見に対しての配慮の筈なのに、ラストでは島の住民、ほぼ総出みたいな人数での浜辺での披露宴には“養子にする配慮での気遣いはなんやったんや!”と声を大にしてツッコんだぐらいの大きなお披露目でしたw
違和感と言うか、なんか変的な感じが全編に漂いながらも優しい雰囲気が漂って、いろんな事に気遣い、振り回されて、疲れていく中に「自分は自分。他人は他人。だからこそ、否定するのでは無く、受け入れる事が大事」と感じさせてくれた優しい映画です。
勿論、島での生活はそんなに優しくないと思いますがw、そこは板尾さんの花嫁姿と相まってファンタジーで良いかとw
クスッと笑わすし、ホロッとさせるし、ちょっと変な感じがするし、でも観て良かった作品です。
結構お薦めですよ♪
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