「理想郷はやっぱり絵空事かしらん?」おいしい家族 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
理想郷はやっぱり絵空事かしらん?
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夫とは別居中の化粧品のメイクアップ&販売員をしている橙花(松本穂香)。
母の三回忌に故郷の離島に戻ってきたが・・・
といったところから始まる物語で、あとは謳い文句のとおり「実家に帰ると、父が母になっていました。」である。
ふくだももこ監督はインタビューで「自分が思い描く理想郷を描きました」と答えているが、たしかにそうだろう。
性別や国籍も越えて理解できる土地は理想郷で、主人公はそれをなかなか受け入れられない。
ま、そりゃそうだ。
でも、「そりゃそうだ」で止まってしまうと、映画としてはダメで、「どうしてみんなは理解できているのだろうか」に踏み込んでいかないと。
父親(板尾創路)の結婚相手になる和生(浜野謙太)から、「セイさん(父親のこと)は、母親になりたかったんだよ」とヒントのような言葉が発せられるが、そこんところを上手く演出しないと。
つまり、家族の稼ぎ手としての大黒柱(=父)ではなく、家族の心の大黒柱(=母)になりたいこと、そして、それを実現するのに乗り越えてきたこと、そういうあたりがやっぱり必要。
ということで、理想郷はやっぱり絵空事かしらん、と思わせちゃダメなんだよね。
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