魂のゆくえのレビュー・感想・評価
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とてもえっち
終始、陰鬱で重苦しい、環境汚染と権力による隠蔽という深刻な問題がテーマなのに、今までみたどの映画よりも官能的で倒錯的な作品。
これが、意図されたものなのか、意図せずキャストの妙で醸し出されているのか、絶妙なライン。でもきっと意図されている。タクシードライバーの脚本の人だから。
殺伐とした中にムードがある。
困惑が確信に変わるのは、「マジカルミステリーツアー」から。どんなベッドシーンより一番えっちです。
死を描けば生が際立つように、禁欲を描くことでえっちさが際立っている。
最後は、来るなというのに現れて計画を妨害したメアリーに自分でも不思議なくらいイライラした。それくらい感情移入していた。
でもどんなに大義名分を掲げても、テロが利己的であることに違いはないから、メアリーの存在によって自らのエゴと向き合わざるを得なくなり、中断→自罰行為というのは理解できる。本当に無私なら誰だって巻き込むべきでしょう。
ただ、部屋に現れたメアリーは本物なのか、幻想なのか。本物なら奇跡だ。関係者ですら入れない、施錠された部屋に突如、どこから?立っている場所もおかしい。突然ファーストネームで呼んだのはなぜ?
たくさんの疑問を押し流すほど、圧倒的に自然な欲求で終わるラスト。不自然に一箇所に堰き止めていた水が、決壊して流れ出したのを見るのと同じ。喩えのようで喩えになってないかもしれない。
幻想なのだとすれば、神父はもうこの世にはおらず、魂の欲するところに行き着いたということか。
どちらを望みますか?というのが、この映画の答えなのかもしれない。悲しいけれど。
退屈であるが、鋭く…
淡々とした映画と言われれば、その通りかもしれないが。非常に答えのない、複雑な問題を鋭く描いている。宗教・教会のあり方、環境問題を聖職者の苦悩を通し、訴えかけるが、正解がない。ラストの自爆、自殺を止めさせたアマンダは神が遣わした天使、あるいは女神か。
冷静にだけれど熱いイーサンホーク
地球温暖化に対するメッセージ性の強い映画でした。
物語の前半は特に淡々と会話主体で話しが進んでいくので、好みが分かれそうな映画でした。
後半からはメッセージも映像とともに強く表現されてて、イーサンホークさんの熱演が、更に映画をより濃いものにしてました。
というか、イーサンホークさんは素晴らしい役者さんですねー。
並の役者さんならもっとつまらない映画になってしまったんじゃないでしょうか。
ラストは賛否ありますが、僕は賛の方です。
人は愛し合う為に生まれてきたのかなと、そんな言葉を思い出しました。
鉄条網は自分への戒め?
トラー牧師の元に相談に訪れたメアリーと夫のマイケル。マイケルは環境破壊の進む地球に自分たちが子供を持つべきではないと悩んでいる。メアリーは勿論産みたい。結局マイケルは自殺してしまう。
トラーは教会の250周年の式典準備を進める中で、教会が環境破壊を、起こしている企業から支援を受けていることを知ってしまい、マイケルの思想に感化されていく。
トラーは病気が悪化し、死も覚悟していて、自暴自棄もあったんだろう。マイケルが隠し持っていた自爆ベストを使うことを考えはじめてしまう。式典で集う環境破壊を起こしている企業の支援者達を道連れに自爆しようと。罪もない人達も巻き込んでしまうではないか。
覚悟を決めてベストを着て、いざ、、、でも来ないはずのメアリーを見つけた事で自爆を諦める。メアリーは巻き込めない、じゃあ他の人は巻き込んでもいいの?自爆ベストを脱いで鉄条網を巻き付けたのは何故?映像的には効果的だけど、心理がよくわからない。最後は抑えていた感情が爆発してメアリーと抱き合う。神父も人間という事でしょうか。
ひとつ気になる事が。メアリーが姉の元へ行く前にトラーを訪ねてきて、トラーを仰向けに寝かせてその上にメアリーがうつ伏せになり、手を重ねて幽体離脱のようなシーンがあったけど、お腹の大きい妊婦さん、うつ伏せにはなれませんよ〜、赤ちゃんのこと考えたらうつ伏せ無理です💦膝をついてる様子もないし、、、と些細なことが気になりました。
イーサン・ホークの新境地、なかなか良かったです。
ー追記ー
皆さんのレビュー、コメントを拝見して自分では気が付かなかった事を知る事ができた。アメリカの教会の在り方、福音派、政治との関わり、環境問題等検索してみたら(大雑把に調べただけですが💦)色々複雑な事がわかった。
これらの事を理解していた上で観たら、この映画をもっと楽しめたと思う。映画って深いなあ〜‼️
罪深き人間を神の怒りから救い出してくれるのは、次の世代の子供たち。命を繋ごう。
心に傷を持つ牧師が、信仰と現実の狭間で苦悩する様子を描いたサスペンス・ドラマ。
主人公であるトラー牧師を演じるのは『ビフォア』三部作や『ガタカ』のイーサン・ホーク。
トラー牧師に夫のことを相談する妊婦メアリーを演じるのは『マンマ・ミーア!』『レ・ミゼラブル』のアマンダ・セイフライド。
第84回 ニューヨーク映画批評家協会賞において、脚本賞を受賞!
第24回 放送映画批評家協会賞において、オリジナル脚本賞を受賞!
非常に宗教色の強い作品。
主人公は信仰心に篤い牧師さん。ちなみに神父はカトリック、牧師はプロテスタント、らしい。カトリックとプロテスタントの違いはよく分からん。
イーサン・ホーク演じるトラー牧師は、戦争で子供を亡くし妻とは離婚。心に傷を負い酒浸りの日々。身体は病魔に蝕まれている。
イーサン・ホークが演じるキャラクターは大体いつもこんな感じ。ちょっと暗めの顔面のせいかしら。
ちなみに、牧師さんは結婚出来る、神父さんは結婚出来ない、らしい。
心に傷を負った男が、ある女性との出会いによりテロリズムに走る…?
これ『タクシードライバー』にそっくりじゃん!
主人公は日記をつけてるしっ!鏡の前でポーズ決めるしっ!パクリか!
…とおもったら、本作の監督は『タクシードライバー』の脚本家さんだった。なるほど、納得。
はっきり言って『タクシードライバー』の焼き直し。クライマックスでテロを踏みとどまる所まで同じ。
とはいえ、本作では信仰と環境破壊の狭間に揺れる牧師というわかりやすい軸があるので、『タクシードライバー』よりも共感しやすい物語になっている。
キリスト教徒でない人でも、トラー牧師の心境は十分に理解できると思う。
なにより、信仰と環境破壊という形ではないにしろ、何かしら理想と現実のギャップに悩んでいる人にとっては、トラー牧師が身近に感じるんじゃないだろうか?
物語的にもBGM的にも静かな映画なので、前半はかなり退屈🥱
しかし、物語が進むにつれてだんだんとサスペンス的な要素が増えていく。BGMも不安を煽るような低音がブーンと響くようになる。
後半はどんなクライマックスになるのか気になって目が離せなかった。
メアリーの旦那から取り上げた爆弾ジャケットが、こんな風に物語に絡んでくるのか!と素直に感心しました。
よく出来た物語だが、演出が今ひとつなところも多々ある。
トラー牧師とメアリーが「マジカル・ミステリー・ツアー」をする場面は、あまりにもぶっ飛んでいて笑っちゃった。心象風景だということは分かるがもうちょっとなんとかならなかったのか…😅
あとクライマックスねー。凄く唐突に終わるのは結構好きだったんだけど、キスシーンが迫真すぎて…💦
全体のトーンと合ってないからなんかギャグシーンみたいになってた。
牧師の有刺鉄線、メアリーにも刺さるんじゃない?とかいらんことが気になってしまった。
つまらない映画っていえばそうなんだけど、割と嫌いじゃない。むしろ結構好きな映画かも。
心身ともに深く傷ついた男が、どうしても納得出来ない物事に対し怒りを燃やし、ついには我が身を擲つ暴走を起こす…。こういう設定、好き。
トラー牧師は最後、自らの体を有刺鉄線で痛めつける。あれは明らかにイエス・キリストの茨の冠。
トラー牧師は人類の罪を背負い、信仰に身を殉じようとするが、メアリーの登場により思い止まる。
トラー牧師はイエス・キリストのように命を捧げなかった。つまり、トラー牧師がイエス・キリストを表しているわけではないのである。
メアリーは名前からも分かる通り聖母マリア。
となると、トラー牧師はヨセフを表していることになる。これはトラー牧師の亡くなった息子の名前がジョセフだったことにも暗示されている。
つまり、メアリーのお腹の中にいる新しい命こそが、救世主たるイエスなのである。
人類の傲慢さ(プライド)は環境破壊を引き起こした。
映画のセリフの通り「絶望はプライドが生み出す」のである。
聖書に記されている「神の怒り」は間近に迫っている。しかし、それから人類を救う救世主は、暗い時代に産み落とされる新しい世代に他ならない。
次の世代へ、命のバトンを繋いでいくことへの希望が、強いメッセージとして映画に込められており、観賞後胸がすく思いだった。
宗教色が強いので飲み込みづらいところはあるが、観るべき価値のある一作!
『タクシードライバー』ファンには特にオススメ!
※原題は「First Reformed」。「Reformed」は「改革派教会」を意味するらしい。プロテスタント教派のうち、カルヴァンの思想を汲む教派の教会を指す。ルター派だのなんだのと、ややこしすぎてさっぱり分からん。
想像つかない事ばかりの凄い映画だった
少し我慢して観ていると、衝撃のシーンからどんどん引き込まれていく様に観れます。ラストはちょっとおどろおどろしいシーンもあって驚かされますが、ラストも更に凄い!牧師さんも良くこの我儘な夫婦に付き合えるなと思って見ていましたが、最初から彼女の事も放って置けない何かを感じていたのでしょうか?愛の力は偉大でした。
環境問題はただの方便というかきっかけに過ぎないのでは
自分が(息子も含めて)止められなかったことの後悔、いけすかない奴にべったりの上層部とそれを受け入れざるを得ない自分への怒り、もうそんなに長く生きられないという焦りなどが相まってのあれ。
自分は止めてもらえたから。
そこに神の意志を感じた…のかもしれない。
と解釈した。
最後だけもっとがんばれ!
事前情報なしで見たので、そこそこ見れた。
自分が落ち込んでるからってのもあるかも。
落ち込んでる人に、傷のなめ合いと少し希望を見る目的でなんとなく見てほしい。
イーサンホークの牧師に心を寄せる真面目そうな女性を振りまくるのは理解しづらい。禁欲主義というか自罰的に生きているからかなと思っていたら、最後はそうでもなかった。
最後はもう少し切れ味出してほしかったな、、
陰のあるアマンダ・セイフライドの表情が好き
利害関係が一致するものは互いを利用する。メガ教会が、政治と無縁を装うことすらしない現代アメリカ(個人の解釈です)。First Reformed Churchって何???と調べてみたら「清貧な改革派」なんですね。まぁ、清貧は比較論でしか無いけれど。
田舎牧師の孤独な闘い。理解者はメアリーだけ、だよねおそらく。誕生時の精神を忘れた教会に対する不満から、牧師は自爆テロを実行しようとしますが、愛するメアリーの姿を見た瞬間に、自爆を中止。自らを戒める自縛に転換。最後はメアリーと互いを求めあいます、式典そっちのけで。
First Reformed と言う原題の意図に社会性は無いと思う。環境保護テロリストは物語を進める上での単なる材料でしかないでしょう。
宗教で魂は救われない、愛こそが魂を救う。
って言うあたりの「ベタな主題」が、一番しっくり来るんです。First Reformed Churchの精神を取り戻すと言う理念から己を解放して、メアリーとの愛に生きることに転じた、彼自身の改革がFirst Reformed。なんか、そんな感じなんでしょうか。
ちっとも響かなかったです。
面白くなかった映画の感想文を書くときに恒例の寒いダジャレを、地味に仕込んでみた。
生きるか死ぬかはあなたの判断
映画の題と表紙をみて自分の好みだと思い借りてきた映画。)
ニューヨークのスノーブリッジにあるFirst Reformed Churchの胃がんの牧師(イーサン ホーク)。 ここは歴史上重要な教会(奴隷解放前の自由になりたい奴隷をかくまって、北、カナダ方面に逃がしたという史実がある)で、観光客も細々だが訪れているところ。でも、信者がほとんどいない。
教会に参加している男性は地球温暖化の危機で未来に希望が持てない世の中で子供をうむ(育てる)べきかと考えている父親、マイケル。しかし、牧師のカウンセリングのかいなしにマイケルは自殺をしてしまう。マイケルは葬式の場所を化学物質が放られて自然破壊が進んでいる沼地を希望する。(そこで賛美する曲はニールヤングの曲で、環境問題をテーマにした歌。)牧師はなにか他の方法でマイケルを助けられなかったかと自分に問う。
この映画の最後のシーンの理解が難しくて私自身まったく理解できていない。望みがあるのか? 鑑賞後、監督のコメンタリーを探して読んだが、彼も、これに対して、生きるか死ぬかの両方を提示していた。
メアリーはマリア様?
トラヴィス・ビックルにとっての
you talkn' to meのyou は
周囲のチンピラや偽善者たち。
トラーにとってのyou talkn’to meのyouこそが、
本作の主題であり、ポール・シュレイダーの集大成,
あるいは遺言?なのかもしれない・・・ほんまかいな?
トラーにとってのYou?
どういうことか?
トラビスの周囲の悪党よりも、更に巨悪と対決!
と、みせかけて、
you は最後にMaryに代わる。
Mary(他の名前ではなく、この名を名付けたという事は、
聖母Mariaと解釈しろという事でしょ。
無理はあるが処女懐胎に近い設定でもある。)
Mary is talking to me .
※以下補足と苦言。
苦言をするならば、
この、憎しみ、攻撃、(マリア様が私に話しかけるという事を)受け入れ、赦し(トラーにとっては現実社会との折り合いか・・)、
を軸にしたプロットだけでも映画として成立はする。
しかし、あまりにセリフのみの会話だけのシーンが多過ぎる。
こういう内容なのでエンターテインメント寄りにとはいわないが、
もう少し観客を楽しませませ(さだまさしか!?)んか?
例えば、聖歌隊が唄うシーンのイーサン・ホークのカメラ目線(微妙に外れている?)など、イーサン・ホークにおんぶにだっこ過ぎやしませんか?
ベルイマンやブレッソンからの引用、這いつくばって聖なる神秘はカヴァレロヴィッチへのオマージュ、そんなに他の監督や俳優に頼るのであれば、
いっそのこと、スコセッシやP.T.アンダーソンに監督を任せていれば・・・。ほんの少しでも考えたのかもしれないが、ふたりとも今ではもっと難解な事をしでかすかもしれない巨匠になってしまった。
パク・チャヌクやイ・チャンドンなら、ポランスキはないな、どうなんだろう?
グザヴィエはまだトラヴィスレベルか・・・ポール・ハギスは宗派が違うwww宗派じゃないwwwなどなどませませ考えたけど、
結果、監督俺という結果になったのかな?・・ないない(苦笑)。
もうひとつ
ふたりで田舎道をサイクリングするシーンはスタイル・カウンシルの「My ever Changing moods 」のPVを思い出した人が多いかも。
なぜなら、アングルなど撮り方も似ているし、なにより歌詞がトラー牧師の心境そのままだから。
ever changing moods yeah
衝撃のラスト
眠いのを一生懸命我慢して、イーサンホークやアマンダの演技を堪能していたのに、ラストあれだけって・・・
環境問題をリスペクトしすぎたせいか、ストーリーが浮いてしまった気がします。
ただあのストーリーをもたせるには、ものすごく演技力がいる。
そこはすごい
人は結局人によって救われる
歴史的に多くの人々に尊重されて来た由緒ある教会でさえ、御都合主義でこの世の矛盾が無視される。その矛盾と正面から向き合う魂の話し。救われた魂と救われなかった魂。人は最後の最後では100%心を解放される様な魂との出会いや心の結びが持てるかどうかということだと思いました。所謂信仰や綺麗事では無く。
☆☆☆☆ 40年後のトラヴィス 「神の御心はわからない」 イーサン...
☆☆☆☆
40年後のトラヴィス
「神の御心はわからない」
イーサン・ホーク演じる牧師は、環境活動家のマイケルに対して答える。
そして更に、息子を戦場で失った心情を吐露し、(過去には自分も戦場へ行った経験が有る)一旦はマイケルも納得する。
「2050年はどうなりますか?」
マイケルに問われた彼は、心の中で動揺する。
何故なら。彼には、もう自分の死期が近づいているのを自覚しているから。
その為か?尊敬する聖職者の様に、(自分の生きて来た証を残したいのか?)日記を書き始めている。
これは、彼にとっての《遺書》でも在るのだった。
だが…。
マイケルは、子供の運命を神の使いで在る彼に託す。それが神から自分に課せられた命題となった。
その結果、次第次第に現代社会の在り方に疑問を感じて来る。
監督・脚本家であるポール・シュレイダーは、元々著名な映画評論家でも有り。「聖なる映画 小津/ブレッソン/ドライヤー」(未読)で知られている。
テーマや画面構成等から、人間の持ち併せている【聖なるモノ】を論じた著書の様だ。
そんな、真面目に映画を論じる反面で。日本のヤクザ映画を始めとするプログラムピクチャーにも精通していて。脚本デビュー作の『ザ・ヤクザ』や、監督として『MISHIMA』等。゛義 〟を貫こうとする男の話を監督している。
初期の脚本作品としての代表作と言える『タクシードライバー』は、まさにそんなポール・シュレイダーの本質が活かされた作品だったのだろう。
シュレイダーの過去の監督作品の中で、『白い刻印 アフリクション』とゆう作品が在る。この作品の主人公は。憎んでいた父親に、自分自身が段々と似て行くのを自覚しているのを思い悩む。町の実力者が…の点といい、アル中で在る点といい。この『魂のゆくえ』の主人公は、『白い刻印…』の方が『タクシードライバー』よりも近い人物像なのかも知れない。
【死に取り憑かれる男】とゆうテーマも、ポール・シュレイダーが脚本した作品の中で、しばしば登場するテーマの1つ。
脚本家としての代表作と言える『タクシードライバー』同様に、ベトナム戦争のトラウマに〝取り憑かれている〟とゆう辺りは、『ローリングサンダー』も同じ。
再びスコセッシとタッグを組んだ脚本作品の『救命士』も、死と隣り合わせの状況に苦悩する話だった。
『魂のゆくえ』の主人公は聖職者=神に近い人物…では在るが、脚本作品の『モスキート・コースト』は。未開の土地で在るアマゾンで、理想郷を築こうとする男の狂気で、或る意味(強引に言えば)神に近づこうとする話。
それらの過去の諸作品を感じながらの鑑賞だっただけに。「きっと最後は、狂気性が爆発して!」…そう思いながらいただけに、最後の最後に訪れた結末には、正直驚いた∑(゚Д゚)
自分の頭の中でどう消化してよいのか?ちょっと思い悩んでしまったのは事実。
まるで…。
神からの御心が届かないのなら、自分から神に近づいて行き答えを得たい…かの様な(強引に解釈して)
2019年4月22日 シネマート新宿/スクリーン1
謎の暖かさ
ラジオで町山さんの話を聞いて
背景を知ってから見たので話の迷子にならなかったのがよかった。
政治と宗教と環境と…
どうすればいいの…っとモヤモヤするけれども、主人公もモヤモヤしていてどんどん行動がやばくなる姿はみていてなんだか安心した。
話のなかで
死ぬ前の瞬間何を思うか、の問いや
エレベーターの1Fと2Fは聖域だ、という話
そこからの終盤の熱いキッスは
彼は聖域にいったんだなあと後からハッと思ったのでモヤモヤしつつもよくわからない救いを感じた。心は謎の暖かさに包まれた。
2019年ベストムービー!
極々私的な愛を信じた彼は最後に救われたのです…ラストシーンが美しい。
*今年観ておくべき作品です。オススメ!
*イーサン・ホークの出演作は見逃せません。
信仰とは
彼の行動に狂気が無かったかというと、それは明確に否定されるでしょう。 しかし私がもし彼と同じ運命を辿ったとしたら、熟慮の上で彼と同じ選択をしたかも知れません。
それくらい彼の行動には説得力がありました。
信仰の中で、自然に生まれ膨らんでゆく狂気がとても重要な要素だと思います。その描き方も素晴らしく気持ち悪かったです。
彼がそこまで歪んだ原因を、信仰のみに求めるのは苦がありましょう。同じ信仰で救われる人も確かにいるはずです。周りの環境といえばそれまでで、彼の牧師という立場も不運だったと思います。
「牧師にも牧師が必要だ」という発言がありました。それは彼の忌むべき強欲な(視点を変えれば現実的な)牧師からの発言で、彼は鼻で笑ったかもしれません。しかし、その後の展開から考えたら彼にとって、とても重要な言葉だったと思います。
気になったのは登場人物たちがみんな神の言葉を知ろうと、神の言葉を語ろうとしていることです。キリスト教(特にプロテスタントにおいて)は、聖書が究極の答えだと思っていました。(少し福音主義に寄りすぎ?) 彼らが悩み壁に当たった時、一向に聖書を開いたり引用しようとする素振りがなかったので、少し疑問に思いました。まあ監督は非常にキリスト教に精通された方らしいので、それが今の現実のプロテスタントの在り方を描いているのだと思います。
キリスト教の過激派に、自傷行為を推奨する一派がいることは知識として知っていましたが、現実としてみると本当に恐怖そのものです。
ラストシーンは当然 物語としては不完全ですが、そこで監督の描きたいことはもう十分描けたという解釈を私はしました。個人的にはあのあと計画は実行されたと思っています。しかし監督の描きたかったのは惨劇ではなく、そこに至る過程で、事件そのものを写さないことでそれを強調していると感じました。
と同時に、観客に与えるインパクトも大変大きいものでした。この作品は陰鬱でテンポの悪いようですが、意外と随所随所に描写や台詞で、インパクトを与えてくれるので退屈しません。
本当に面白かったです。
まだるっこい語り口で斬った米国の現実は陰鬱
米国の小さな教会の牧師トラー(イーサン・ホーク)。
創立から250年を迎える古い教会であるが信徒は少なく、教会の運営費用は、歴史的教会が作ったいわゆる「土産物」。
創立記念事業が近づくある日、 妊婦のメアリー(アマンダ・セイフライド)から相談を受ける。
夫が環境保護事業にのめり込んでいる、のみならず、最近の夫は情緒不安定だ、しかも、夫は堕胎を迫る、と。
最近、体調が思わしくなく、酒に逃げているが、心底には神の意志を信じているところのあるようなトラーは、メアリーの夫と会談を設ける。
エキセントリックな風のある彼に対して、牧師として神の御心を説くトラーであったが、数日後、メアリーの夫は頭を撃って自殺してしまう・・・
というところからはじまる物語だが、ここいらあたりで尺の中盤というぐらい、描写がまだるっこしい。
陰鬱なトラーのモノローグ、陰鬱なキャメラ、さらに、ほとんど劇伴音楽はなし・・・と、まぁ、よっぽど体調がよくないと寝ちゃうだろう、と思う。
で、後半、一気に面白くなる・・・わけではない。
メアリーの夫が環境保護を訴えての自爆テロを計画していたことを知り、その爆発物埋め込みのジャケットをトラーは得、さらに、メアリーの夫が狙っていたのが自身の教会の上層教会に支援している複合企業だということがわかり・・・となるので、ありゃまぁ、『タクシー・ドライバー』の変奏曲かしらん、とも思うが、あの映画のようなカタルシス(個人的には不愉快なのだけれど)もない。
関心がないわけではない物語なのだけれど、どうにも独りよがりな感じは拭いきれず、その独断的な視点は好きになれない。
ま、独断的なのは宗教的な側面もあるのだろうが、最終的には、神には癒されず、愛した女性に救われるというのも、なんだか底が浅い。
すっごく難しい作品であった。
本作品を、どのくらい正しく理解しているのだろうと、自問自答した。
まず、日頃から宗教に全く縁がない私としては、内容が難解かもしれないと不安になった。最後まで、寝ないで鑑賞できたのは、イーサンホークの演技が、段々熟してきたのではと感じたからだ。ポールシュレイダーの監督作品は、初めてである。作品を最後まで飽きることなき観られたのも、彼の脚本が優れていたからだろうか。それとも私自身が、全く作品を理解していなかったからだろうか。内容が重厚すぎる。
最初に、トラー牧師が、なぜ日記をつけることにしたのかで躓いた。それもパソコンを使わず直筆で。話がすすんでいくうちに、日記を破ってしまう行為が増えてくる。
礼拝に来ていたメアリーの夫マイケルが環境破壊や温暖化になりつつあるこの世の中に、メアリーが宿した子供を産んでよいものか悩む。環境活動家であるからそのような考えをもつのも珍しくはない。そんなマイケルも精神的に病んでいたのか自殺してしまう。彼の遺品から「自爆ベスト」出てきて、思わずゾッとする。環境活動家というものの存在に驚いた。そして、友人であるバルク会社から教会は、多額の寄付金を得ていることに、トラー牧師は知らされるのではあるが、今まで牧師は、そのことに気付かなかったのだろうか。パソコンから得た環境破壊の映像の数々、(人間の愚行) 自爆の映像。トラー牧師は、何度も見返す。彼が知る「まさに、其処にある危機」。彼も、酒量が増えていく。そうしていくうちに、教会の250周年の式典が迫ってくる。あの「自爆ベスト」を着るかとおもいきや上半身を鎖で巻き付けたり、意味不明な行動で自分でも自分が判らに状態に陥っていく。そこへ、ふらっとメアリーが現れる。メアリーの存在は、何であったのだろうか。
この作品に幕を下ろすには、その場面で、エンドロールにしなければ収拾がつかなかないのではと思い、私個人も、この作品はどこでけりをつけるのか疑問であったが、監督自身の作品の終わり方は、私の中では納得のいく形だと思った。
前回、拝見したイーサンホークの作品、エマ・ワトソンと共演した「リグレッション」よりも、監督自身の問題提起が重すぎて、ズッシリときた。しかし、映画は、如何様にも理解出来ると思うが、今回、果たして「正しい理解」をしているのかとっても不安な作品でもあった。
とりあえず良かった
それ使って終わったらメアリーが救われなすぎるから、思いとどまってくれて良かった。このあとの二人の人生、子供も産まれて意外と幸せになれそうと思いました。内省的&宗教色の濃い映画でいけ好かなそうだなーと思ったけど、そんなに単純じゃなくて面白かったです。
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