魂のゆくえのレビュー・感想・評価
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アメリカの狂気
主人公が怒りと狂気に取りつかれていく物語の構造は、『タクシードライバー (1976年)』そっくり。
ただ、ドライバーと牧師の差はありますし、怒りの元になる事象が異なりますが。
先日観た『ある少年の告白』と同じく、キリスト教原理主義 福音派に関する告発映画に思えました。
教義(聖書)に書かれている教えより、お金や政治に関係した主張がまかり通っているのはおかしくないか?という、現代アメリカの問題点を暴く視点がありました。
反トランプ映画の一つなのかもですね。
イーサン・ホークの「真面目さと愛がゆえに、内面が壊れていく」という演技は見事でした。
1点だけ、精神的な高まりを「空中浮遊」で表現するシーンがあるのですが、どうしてもオウム真理教を思い出しちゃうんで、ここをまじめにやればやるだけ笑ってしまいました。
最後はお互いが救い合う
環境破壊と病で、人の愚かさを表現している
メアリーと重なってマジカルツアー?をした時は、思わず椅子から転げ落ちそうになりましたが…(ーー;)w
精神的にも追い込まれていくが、本人は気付かない
真面目な人ほど洗脳されやすいのでは?
そして人に助けられる
この映画は奥が深い
また見直したい
まだるっこい語り口で斬った米国の現実は陰鬱
米国の小さな教会の牧師トラー(イーサン・ホーク)。
創立から250年を迎える古い教会であるが信徒は少なく、教会の運営費用は、歴史的教会が作ったいわゆる「土産物」。
創立記念事業が近づくある日、 妊婦のメアリー(アマンダ・セイフライド)から相談を受ける。
夫が環境保護事業にのめり込んでいる、のみならず、最近の夫は情緒不安定だ、しかも、夫は堕胎を迫る、と。
最近、体調が思わしくなく、酒に逃げているが、心底には神の意志を信じているところのあるようなトラーは、メアリーの夫と会談を設ける。
エキセントリックな風のある彼に対して、牧師として神の御心を説くトラーであったが、数日後、メアリーの夫は頭を撃って自殺してしまう・・・
というところからはじまる物語だが、ここいらあたりで尺の中盤というぐらい、描写がまだるっこしい。
陰鬱なトラーのモノローグ、陰鬱なキャメラ、さらに、ほとんど劇伴音楽はなし・・・と、まぁ、よっぽど体調がよくないと寝ちゃうだろう、と思う。
で、後半、一気に面白くなる・・・わけではない。
メアリーの夫が環境保護を訴えての自爆テロを計画していたことを知り、その爆発物埋め込みのジャケットをトラーは得、さらに、メアリーの夫が狙っていたのが自身の教会の上層教会に支援している複合企業だということがわかり・・・となるので、ありゃまぁ、『タクシー・ドライバー』の変奏曲かしらん、とも思うが、あの映画のようなカタルシス(個人的には不愉快なのだけれど)もない。
関心がないわけではない物語なのだけれど、どうにも独りよがりな感じは拭いきれず、その独断的な視点は好きになれない。
ま、独断的なのは宗教的な側面もあるのだろうが、最終的には、神には癒されず、愛した女性に救われるというのも、なんだか底が浅い。
イーサンホークの演技が素晴らしい
イーサンホーク主演、ポールシュレイダー監督作品。静かに進むストーリーで宗教、環境汚染とテーマは深い映画。主人公の牧師自身も病を抱えており、ある事件をきっかけに自身の信仰心が揺らいでいく…主人公の抱えた闇や心の葛藤、イーサン・ホークの演技が素晴らしい作品。ラストは見る人によって見解が違ってくる映画でした。
すっごく難しい作品であった。
本作品を、どのくらい正しく理解しているのだろうと、自問自答した。
まず、日頃から宗教に全く縁がない私としては、内容が難解かもしれないと不安になった。最後まで、寝ないで鑑賞できたのは、イーサンホークの演技が、段々熟してきたのではと感じたからだ。ポールシュレイダーの監督作品は、初めてである。作品を最後まで飽きることなき観られたのも、彼の脚本が優れていたからだろうか。それとも私自身が、全く作品を理解していなかったからだろうか。内容が重厚すぎる。
最初に、トラー牧師が、なぜ日記をつけることにしたのかで躓いた。それもパソコンを使わず直筆で。話がすすんでいくうちに、日記を破ってしまう行為が増えてくる。
礼拝に来ていたメアリーの夫マイケルが環境破壊や温暖化になりつつあるこの世の中に、メアリーが宿した子供を産んでよいものか悩む。環境活動家であるからそのような考えをもつのも珍しくはない。そんなマイケルも精神的に病んでいたのか自殺してしまう。彼の遺品から「自爆ベスト」出てきて、思わずゾッとする。環境活動家というものの存在に驚いた。そして、友人であるバルク会社から教会は、多額の寄付金を得ていることに、トラー牧師は知らされるのではあるが、今まで牧師は、そのことに気付かなかったのだろうか。パソコンから得た環境破壊の映像の数々、(人間の愚行) 自爆の映像。トラー牧師は、何度も見返す。彼が知る「まさに、其処にある危機」。彼も、酒量が増えていく。そうしていくうちに、教会の250周年の式典が迫ってくる。あの「自爆ベスト」を着るかとおもいきや上半身を鎖で巻き付けたり、意味不明な行動で自分でも自分が判らに状態に陥っていく。そこへ、ふらっとメアリーが現れる。メアリーの存在は、何であったのだろうか。
この作品に幕を下ろすには、その場面で、エンドロールにしなければ収拾がつかなかないのではと思い、私個人も、この作品はどこでけりをつけるのか疑問であったが、監督自身の作品の終わり方は、私の中では納得のいく形だと思った。
前回、拝見したイーサンホークの作品、エマ・ワトソンと共演した「リグレッション」よりも、監督自身の問題提起が重すぎて、ズッシリときた。しかし、映画は、如何様にも理解出来ると思うが、今回、果たして「正しい理解」をしているのかとっても不安な作品でもあった。
絶望感。衝撃カットと衝撃ラスト
静かに感情(怒りや狂気)を持った神父。日記でひたすら自問自答する神父。過去のトラウマ、病気だけでなく、現在の教会の存在に疑問を感じて、絶望感で悩む神父。なにこれ?衝撃カットや噛み合わない会話、淡々と悩む重さは時々笑える。最高におもしろいとは言えないがモヤモヤと心に残る。自分にも重なるし好きな題材なので、良い映画体験になった。
ほんの少しの光に救われる
具合の悪そうなイーサン・ホークが苦悩する姿をしみじみ見つめる2時間弱。心にずっしりくる重い話だけど、ちょっとだけ見える光に救われる。
神、イエス、聖書への信仰になんの疑いも持っていない人々の話なので、キリスト教に多少の馴染みがないと、心理的に置いていかれるかも。
とりあえず良かった
それ使って終わったらメアリーが救われなすぎるから、思いとどまってくれて良かった。このあとの二人の人生、子供も産まれて意外と幸せになれそうと思いました。内省的&宗教色の濃い映画でいけ好かなそうだなーと思ったけど、そんなに単純じゃなくて面白かったです。
イーサンはそろそろ主演男優賞かな
イーサンの演技は全くもって素晴らしい。抑制の効いた静かな表現の中の内面で蠢く狂気と絶望感を見事に演じていた。立派な牧師の顔と狂気に呑み込まれていく自我。人々の救済のために導く言葉を与えているが、自らにはその言葉が帰することなく素通りする。言葉が言葉でしかない虚しさをウィスキーを使った演技で演じ切る。素晴らしい。
しかし、監督のポール・シュレイダーはもう過去の人のようだ。前半の淡々とした物語の進み方はとても良かったが、後半のトリップからイーサンの狂気に拍車がかかる辺りから、緻密さが崩れ、それに伴ったシナリオの行き着いたところが男女の愛に落ち着く陳腐さ。とても残念なフィナーレだ。老いを感じる悲しさの内にエンディングを迎えてしまった。
「神は“今作”を赦すのか?」
独白というかナレーションベースがちょいちょい差し込まれるスタンダード画角の造りである。
ストーリー的には、環境破壊と宗教、そして企業活動という、人間の欺瞞に対し悩む牧師の姿を追う話である。
前半までは大変サスペンスフルな展開で期待できた。男の話す、環境破壊による地球の滅び、故に生まれてくる子供にとって良いことはないから堕胎したいとの告白を、牧師も又大義なきイラク戦争により子供を死なせてしまった負い目から、男の話に徐々に染まって行く。そして長年であろうアルコール摂取による内臓疾患により死期が近い事を悟るにつけ、自分のやっている宗教活動に疑問を抱く様になり、また教会の母体である団体はその環境を破壊している企業から多額の寄付を受けているという矛盾。自爆テロを未然に発見された男は首を吹っ飛ばす自殺を起こし、益々先鋭的に過激思想への影響力に支配され、駆り立てられる牧師。
そして自分も教会の設立記念パーティでその“ジハード”を試みる決心を起こすのだが・・・という展開は、牧師の体や過去の拭えない過ち、そして数々の罪の贖罪を一点に集中させることでクライマックスへとハードルはドンドン高まるのだが、驚くことに、自殺した男の妻が部屋に入ってきて抱き合ってキスして終わり・・・ 呆気にとられるエンディングに茫然自失である。確かにそこに至るまでのシーンで、妻を気遣い、いろいろと尽力する牧師の姿は描かれているし、クライマックス前のイマジナリーシーンとしての、体を文字通り重ねての呼吸をシンクロすることによる空中浮揚及び飛行は、それまでの話から唐突に飛躍したシーンであったが、あれは神を感じるメタファーと捉えたのがミスリードだったのか、結局二人はお互い愛していたというオチへのフリであることに、その突飛な展開に膝が震えた程である。これをどう解釈すればいいのか、観終わった直後だから仕方がないが、どうにも頭を整理できずに、作品自体の否定的な感想に陥ってしまう。そのオチは一番進んではいけないの典型作と言わざるを得ない、或る意味“問題作”であった。
追記:時間が経過して改めて思い起こすと、牧師の行動は正にあの自殺した男の行為を踏襲したような行動の数々であったことに気付いた。男のパソコン内の環境破壊の資料を観るに付け、益々将来の世界に悲観的になり、そして上司の牧師に直訴しても取り合わない。そんな中で益々孤立感を深めていく中で過激思想が形作られていくのであろう。それは真面目、誠実で融通が利かない人間ほど陥る。妻も又亡くなった男の影を牧師に重ねることにより、見過ごしてしまった悔いを打ち払うように、2度と大事な人を消さないように見守る。牧師が妻を労っているようで、実はその逆であったことが明らかになる。そして、決行日に妻が参加することで凶行さえも阻止され、尚且つ自殺までも妻が救う。男が前半に自殺に至った経緯を悉く防いだ妻の踏ん張りを見せつけられた。今作は周りの人間が凶行に走らせず、そして自死さえも防ぐケースワークを提示する作品という観方もできるということに改めて気付かされた。
この世界はすべて神のものです。
アメリカ社会において、地域のカウンセラーの役割をも担う牧師。「気軽に祈りを語る者は、本当の祈りを知らない」と手厳しいが、ビジネスと化した信仰と、自然破壊に異議を感じる良心の狭間で揺れている。
徐々に醸されていく不穏な空気。まるで、破滅に向かおうとする地球環境と、病におかされ先のない我が身を重ねたかのような深刻さ。
自然環境を乱す人間を、神は赦してくれるのか?と自問しつつも、「現状も神の計画だとしたら?」と返されればぐうの音もでない。そう、人間の所業もすべて神の意思だと思えれば、せめて絶望から解き放たれるのだろう。
ラストの解釈は多様。
個人的には、破壊者(いや、破戒者か?)を道連れにしようとしたが、彼女が現れ頓挫、せめて自らに責め苦の試練を課そうとした。そして、「愛する者」ではなく「守るべき良心」の彼女をいとおしく抱き寄せた、と感じるのだが?
背景が違い過ぎる
おそらく、それぞれの背景を実感できる環境に居たら、全く違った感想が生まれただろうし、もしかしたら絶賛してたのかもしれない。
地球温暖化についての意見や考察については、少しは理解できるが、環境活動家ではないので、そこまで深くの背景はわからない。また、キリスト教についてのバックボーンやそれを取り巻く環境などが扱われるが、疑問符は付くが明確な課題意識は自分の中には無い。それらをベースとした主人公トラー神父への共感は、なかなか出来そうに無い。
そこまで考えずに観れば良いのかもしれないが、テーマとしては深いものなので、相応の背景知識があったほうが良いのだろう。「沈黙」は追いつけたが、本作には取り残された感が残った。神はこれ(環境破壊)を、許すのか?
イーサン・ホーク、アマンダ・セーフライドと、馴染みの俳優陣だったが、いまひとつのめり込めなかった。
基本的に全部謎
街の小さな教会の牧師が1人のある相談者と会ってどんどん気がおかしくなっていく映画(たぶん間違ってる解釈、笑)。
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そもそも相談者が何を相談しに来たかというと、この地球は温暖化が進んでいるからそのうち地球は滅びる。そんな世界に子供を生まれさせるぐらいなら中絶させた方が良いっていう思想。
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それ以前に君人間としての大切な何かを失っている!割と序盤でもはやこの思想についていけなくなってポップコーンをボリボリ食べていたら、いつの間にか主人公が爆弾を身につけていましたとさ。
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そんな映画だけど一つだけ思ったのは、主人公は明らかに病気なんだけど色々と理由をつけて病院に行かず病気を見て見ぬふり。さらに教会の修理もずっとしない。
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それが地球温暖化が進んでいるのに見て見ぬふりをする人間達と重なった。
難解だが刺さる
原題は”First Reformed”、教会の名である。この教会(びっくりするほど人が来ない)の牧師であるイーサン・ホーク演じるトラー牧師の語りが物語の終盤までを支配する。
私はキリスト教に詳しくはないので、彼の語りは難解ではあるが、物語自体は現代の欺瞞的な部分を的確に表している作品ではないだろうか。「2050年には地球は壊滅するのに、そんな未来に生きる子を誕生させてよいのか」という葛藤を語る若い父親に、反論しつつも心を寄せるトラー牧師。彼も大義なき戦争で息子を失い、病の兆候を抱え、おまけに完全なるアルコール依存である。常に陰鬱な表情を示すイーサン・ホーク。彼の孤独は、暗さで表される。彼の周囲は暗く、色がない。そしてPCで検索するシーンは常に真っ暗な中で検索。深い闇だ。
彼の葛藤は、現代の環境問題、そして宗教とはどうあるべきなのか、現実と折り合いをつけるとはどういうことなのか、を考えさせられる。何もかもを抱えてしまったトラー牧師だが、最後のあのシーンは予測できなかった。あれは救いなのだろうか。救いであってほしいように思う。そして彼は日記に最後に何を書いたのだろうか。ずっと考えているうちに不意に物語は終わった。
4:3スタンダードサイズ
タイトルは教会の名前
創立250周年を迎える観光スポットと化した教会の牧師さん
教会のロケ地はクイーンズにあるZion Episcopal Church
他もニューヨーク州でロケ
胃がんの苦しみを酒で紛らわす
空を舞うラブシーン
濃厚なキスで締めるオチに呆然
讃美歌は神はわがやぐら
有名な曲みたい
葬式で歌われたのは、ニール・ヤングの2014年の作品Who’s gonna stand up?
アバンダント・ライフ教会
日本語タイトル テーマはデカイ
「タクシードライバー」そして、このタイトルに期待 前半は孤独なおっさんの憂鬱を「ザ・ノンフィクション」のように淡々と重苦しく描く。その冴えない感じを眉間のシワも深いイーサンホークが好演
テーマも環境破壊と宗教的救いを絡め シリアスに観ていると…
最後がそれ!?
この監督の頭の中が一番心配になった。もしくは 変態スケベか?
起承転結の起承からの転じての結 それでいいんかい!というツッコミ映画だったのかな
後 イーサンに好意寄せる教会の女が、地味に押しつけがましいムカつく顔している。助演賞
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