「鬼気迫るイーサン・ホークが頭から離れない」魂のゆくえ とえさんの映画レビュー(感想・評価)
鬼気迫るイーサン・ホークが頭から離れない
社会で起きている問題について、教会が果たすべき役割とは何か
現状を何一つ変えられないどころか「悪」の一端を担っていると感じ、もがき苦しむ神父を描く
イーサン・ホーク演じるトラー牧師は、かつて、戦場に息子を送り出し、その結果、息子が戦死してしまったことを悔いながら生きていた
そしてさらに、信者のメアリー(アマンダ・セイフライド)から、環境問題活動家の夫について相談を受けていたにもかかわらず、彼を救えないという事件が起きる
そのことをきっかけに、環境問題について興味と関心を持つようになったトラー牧師は、自身の教会に問題点があることに気付く
それを知ったトラー牧師は、どう行動すべきなのかと、思い悩む
その昔、教会はもっと積極的に社会問題に関わっていた
この映画でも、奴隷制度から逃げ出す黒人たちを匿うために、秘密の地下室が作られていたエピソードが語られている
そのことは、その教会を受け継いだトラーにとって誇りであり、奴隷制度の悲惨さを子供たちに語る教材に使っていた
しかし、現在の教会はどうだろうか
化学汚染物質を垂れ流す企業から資金提供を受け、存続させている
それは、社会問題に関わるどころか「悪」の片棒を担いでいるのでは…と、トラーは自分を責めるようになる
そして、自身の身体を化学物質で汚染し、助けようと差し伸べる友の手を払い、キリストがそうであったように荊で自分に刑を与える
しかし、それは、既に、トラーだけの問題ではなく、地域社会の政治の問題であり、トラーが自身に罪を与えたところで、その町の環境汚染が止まるわけではない
現在、公開中の映画「たちあがる女」でも、加速する環境汚染について、一人の力では止めることができず、そんな世界で生きていく子供たちを憂う姿が描かれている
それならば、同じ会派の教会が集まって、社会に対して異を唱えればいいのだろうけど、系列の教会は運営費欲しさに企業に尻尾を振っていて、問題意識が低く、足並みが揃わない
そうなると、後は政治が温暖化を止めるべきなのだが、現大統領は温暖化そのものを否定している
私は、この映画の結末を見て、トラー本人は神に許されたのだと思った
しかし、ここでどんなに叫び声をあげても、残念ながら、大統領の耳には届かない
ということは、世界は破滅に向かおうとしているということなのか
そこから先は、観客一人、一人の良心に委ねられているのだ
鬼気迫るイーサン・ホークは、時折、目を背けたくなるほどの狂人ぶりだった
そんな彼の狂った姿は、狂った地球を表しているのかもしれない
とえさま🍀
分かり易いレビュー、ありがとうございます🙇
私もこの映画の評価は高いです。
途中、突っ込み所はありますが、全体としては良い映画だと思います。
また、このような分かり易いレビューをお願い致します🙇