劇場公開日 2022年2月4日

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「今と昔の架け橋」ゴーストバスターズ アフターライフ Spiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5今と昔の架け橋

2024年6月27日
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鑑賞方法:TV地上波

楽しい

前作のリブート作品はまさに虎の威を借る狐という言葉がピッタリの原作へのリスペクトが感じられない残念な出来。公式からも無かったことにされるレベルの内容で、もう名作を自己アピールのために使い捨てるような作品を作るのはやめてくれと思い、今作もあまり見る気になれませんでした。

ところが今作を意を決して見てみるとまさに今の時代に生まれ変わったゴーストバスターズと言える内容に脱帽しました。
2021年に1989年のノリを持ってきてもただの時代遅れなコメディにしかならないところをキッチリ今風な内容に落とし込んでいるのは見事。それでいて今では古臭いSF感が拭えないゴーザ周りのデザインをあえて流用したのは原作へのリスペクトを感じられて良かった。
イゴンの孫たちは初めて見るはずのプロトンパックやPKEメーターをなんの説明も無しに何をする道具なのかを理解し使いこなせたり、家の前の農場の秘密をろくな手掛かりも無い状況で見破ったりとあまりに都合のいい展開が続くが、それも近年の見たいところだけを見たいという若者向けに作るのであれば面倒な説明を排除するのも致し方ないことなのかもしれない。

あえて苦言を呈するとすればアントマンでお馴染みのポール・ラッドの役どころは言わば原作のリック・モラニスの代わりとも言える立ち位置にしたかったのだろうが、情けない男として描くにはスタイリッシュ過ぎるし見せ場と言えるほどのインパクトのあるシーンがないのでポールの無駄遣いのように思える。
また、コメディ中心だった原作とうってかわってシリアス寄りの内容にしたのに後半から大して面白くないコメディ要素を無理やりねじ込んでいるので描きたいものが散らかっている印象を受ける。
原作のニューヨークと違い舞台が田舎だったり、昼間の街中やショッピングモールに何故か人の気配がなかったり、そもそものゴーストの数が少なかったりと全体的にスケールダウンしているのも残念なポイントだが、予算の都合であれば仕方がないことかもしれない。

その辺を差し引いてもゴーストバスターズとしてちゃんとした内容になっているし原作ファンが歓喜するシーンもしっかり作ってあって30年来の続編としては理想の展開ではないだろうか。

今作は言わば現代と昔を繋ぐ立ち位置の作品なので本当の意味での新生ゴーストバスターズは次回からということになるのだろうが現代版ゴーストバスターズとして非常に満足のいく作品に感じました。

Spi