「夢のような日々で幕を開け夢のような日々で幕を閉じる」劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] III. spring song Pegasusさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0夢のような日々で幕を開け夢のような日々で幕を閉じる

2020年8月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

難しい

はぁ…
ついに終わってしまったな…

人気作品のため最初の1週間はIMAXスクリーンで上映していたので終わらぬうちにと観てきた。IMAX非対応だけど、映写範囲から音響までほぼIMAX。さすがに音量は若干小さかったけど。
でもそれで料金変わらんから得した気分。
さて前置きはここまでにしてレビューへ。

まずやっぱりufotableの作画はとても人間が描いたものとは思えないほどにとにかく凄い!いったい一秒間に何枚使ってるんだ?戦闘シーンとは1秒100枚以上いってんじゃないか?とにかく「凄い」としか言えないくらいに素晴らしい作画だった。しかもその凄い作画に追い打ちをかけるように、カメラワークがキモチワルイ。もうほんと目が回るかと思った。戦闘シーンはバトルしてる周辺の空間をとにかく動き回る。実写では絶対に不可能なスピードとアングルで迫力どころか目眩すら覚える。もうufotableは既に次世代の技術を身につけてる気がする。

と褒めに褒めまくったけどツッコミどころが結構あった。「おい士郎!素手じゃなくて剣だせよ!」とか「さっき自分でやってたのにライダーにそれ聞く?」とかライダーがもはやバーサーカー級の強さなどなど。
展開も若干めちゃくちゃな面もあってなんとか2時間ぐらいに収めました!みたいな感じ。
個人的に二章のじわじわくる日常の崩壊がめちゃくちゃ好きで、それだけに急展開の連続はちょっと残念。2時間30分くらいかけてでも、ゆっくりと丁寧に人物の内面を描いて欲しかった。あと「正義とは」っていう命題もほぼ無かったので、2章までにはあった「深さ」が無い。
多分Fateをずっとやってる人なら理解できるし、ついていけると思うけどUBWとzeroしか観てない人からすればちょっと難しいかなぁ~
あと桜ルートなんだけど3章はほぼイリアにもってかれた気が…
予想はしてたけどアクションシーンが多く、ストーリーが二章のように濃密ではなかったので二章でどハマりした自分にとってはちょっと残念。

ラストのAimerの『春はゆく』を流すタイミングがズルすぎる!凛と同じ。ズルいです。
ありゃ泣いてしまうわ。あんな大音響で聴いた『春はゆく』はAimer好きとして一生忘れられない体験だった。

鑑賞後、終わってしまった寂しさと、虚しさと儚さなど色々な感情が胸の中で渦巻いていて、とりあえず余韻に浸ろうと三部作のAimerの主題歌を聞くことにした。
まず『花の唄』
桜の心の叫びを知った後で聞くと歌詞が容赦なく胸に刺さる。グサグサ刺さって切なくなって電車に揺られながら泣きそうになった。もうこの地点で喉まできてた。
次に『i beg you』
切ない気持ちが一転。だんだんと構って欲しくなり暴走していく音楽と歌詞で憂鬱&凶暴な気分になる。今すぐ電話に揺られながら叫ぶように歌いたくなった。
そして『春はゆく』
いやもう泣きますよ…
こう書いてるだけで込み上げてくるものがあるもん。桜の弱く脆い心を歌詞と音楽で表していて、喉まできてたものが急加速。目から溢れそうになった。(目で止まったのでセーフ)
そして聴き終わったあと、無性に第一章が観たくなった。
幸いU-NEXTで配信中!本当に営業まで上手いな~。
完全にFate沼にハマったのでした。

Pegasus
patiさんのコメント
2020年8月21日

士郎はアヴァロンを体内に埋め込まれているので魔術特性と起源が「剣」になってます。そのため、魔力暴走により剣が生えてきており言峰戦時点では末期です。武器を投影したら余計に死期を早めてしまいます。原作ノーマルエンドでは大聖杯を壊すため投影し続け死亡してます。正義と悪についてちゃんと劇中で語られていると思います。士郎、切嗣、言峰、それぞれの罪悪感を伴う正義。大罪を犯した桜を救うのは正義か悪か?人々の願いで悪を体現するよう作られたアンリマユが悪を行うのは悪なのか?被害を被る人間にとっては悪だが他の生物や環境破壊される地球にとっては正義?そもそも正義とは時代、環境、倫理、宗教などの立ち位置によって変わるもので万人が認める正義など無い。自分で取捨選択した正義を貫く意志の尊さを、このHeaven’sFeelから自分は学びました。

pati