野性の呼び声のレビュー・感想・評価
全129件中、1~20件目を表示
CG犬の演技力に感銘
ソーントン役の初老の域に入ったハリソン・フォード、野趣に富む本作のような舞台設定には、にじみ出る渋みが効果満点。物憂げな立ち振る舞いは台詞がなくても何かを訴えかけてくるようだし、時折見せる少年のような笑顔がまたいい。
本作の実質的な主人公とも言える名犬バック。映画の振り付けも行うシルク・ドゥ・ソレイユのダンサーがパフォーマンス・キャプチャーで演じており、わくわくするようなダイナミックな動きから、胸を締め付けられる繊細な表情まで、CG描画の精妙な仕上げのおかげもあり見事にバックに命を吹き込んでいる。ソーントンとバックの“対話”場面は、もちろんフォードしか話さないが、バックの豊かな表情でしっかり成立している。
そうそう、野性を象徴する黒い狼はウェス・アンダーソン監督作「ファンタスティック Mr.FOX」でオマージュされていた。これが元ネタだったか。あとカレン・ギランの使い方がもったいない!
ビジュアルが嘘くさい。行動が不自然
いろいろ言いたいことがある。でもひと言で言ってしまえば「満足できない」内容だった。表面的にはよくまとめ上げたとは思うものの、雑なほころびが目立つ。一番のポイントは犬の演技だ。
今回、なぜかパンフレットが購入できなかった。販売自体がないのか、劇場で売っていなかっただけなのか事情は分からないが、内容についての疑問は解消されないまま、もやもやとしたものが残る。
犬の演技というのは、映画の製作的に、一番重要な決断の部分だ。優秀なトレーナーを起用して、極力本当に犬に演じさせる方法や、全部をCGで作ってしまう方法など、ある程度の方向性を決めなければならない。『キャッツ』などは、舞台のミュージカルをあんなヴィジュアルにしてしまったがゆえにかなり悲惨な出来上がりになってしまった。どれほど美しい歌声や魂のこもった踊りを俳優が演じても、「CGでどうにでもなるんでしょ?」と思われてしまえばおしまいだ。
この映画では、基本はCGで犬を作り上げたように見える。ネタバレになるので予告編の映像のみに絞っても、本物の犬が演じているようには見えない。クレジットにも、犬の名前が出ない。オオカミや熊、野鳥の群れなどはほぼ全部がCGであろう。
『ライオンキング』『ジャングルブック』『ダンボ』など、アニメーションを実写化したものは、本物の動物を出すことははじめから考えにくい。『ベイブ』では仔豚がしゃべるし、『ライフ・オブ・パイ』では、虎が救命ボートで少年と漂流し、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』では、アライグマが宇宙船の操縦をこなす。それぞれに完成形を描いたうえで方法を模索し、映画が製作されていく。
この映画では、犬をCGで作るという決断が下されたわけだ。
厄介なのはこの作品の趣旨である。人間が野生に挑み、厳しい自然に翻弄されるさまを描写している。その中間にいるのが、犬のバックであり、ハリソン・フォード演じる孤独な老人だ。このペアは人間の「群れ」を離れ、ギリギリの辺境で暮らす。てっきり人嫌いをこじらせてそうなったのかと思いきや、実はそうでもないようだ。とにかく人間の営みと、厳しい自然の関係性が昔ながらの語り口で広がっていく。
そうすると、大切なのは映像のリアルさだ。犬は人間と最も近い動物と言ってもいいかもしれない。多くの人が犬を身近に知り、飼っている。それだけ映像のウソが見破られるリスクが高い。とにかく完成した犬の映像は、本物には見えない完成度だった。それがすべて。この映画を決定づける要素と言っていい。
もうひとつ気になったことがある。20世紀スタジオとして初の映画リリースという触れ込みで、力が入っているようだが、犬と人間の関係性は、映画会社の意向が強く影響したようだ。主従関係が、当時の時代背景からしたらあり得ないような描写があちこちに見られる。まるで友達のように犬と接している。女性の社会的役割や、黒人の行動など、細かな関係性が現在の価値観に沿って修正されているように見える。そこはストーリーの本筋に関係のない部分なのかもしれない。しかし、この映画の時代は昔だ。昔話で、昔じゃないみたいなちぐはぐなことが起きれば、当然違和感が生じる。原作を読んだことがないので、どこまでが原作に従って犬を描いたのか分からない。
ビジュアルのウソっぽさと、脚本段階での登場人物の行動の不自然さ。いずれも映画製作者の妥協の産物だ。決定的にこの映画をダメにした原因だと思う。
久しぶりの犬物
何気なく家族で観た映画だったけど面白かった。犬が好きだからCGでも楽しく観れた。ただ郵便カップルの呆気ない去り際にびっくりした。まあハリソンをメインにしてるから仕方ないけど。最後一緒にソリを引いていた犬達も出てくるかと思ったけどちょっと残念。家族と観るには良い映画だと思います。
やっぱり本物の犬が良い。
CG 感が ややリアリティを削ぐ
CG犬は表情豊か
バックの波乱の犬生、今CGで蘇る
言わずと知れたジャックロンドンの小説の映画化、これまでに1923年のサイレント以降、何度も映画化され本作は6作目らしい。
ソーントンもクラークゲーブル(1935)、チャールトンヘストン(1972)などの名優が演じています、犬と名優では「HACHI 約束の犬(2009)」のリチャード・ギアさんが真っ先に浮かびますがハリソン・フォードさんも老け役ながらカヌーでアドベンチャー、いい味出していましたね。「最強の二人(2011)」のオマール・シーさんも良かった、バックにリーダーシップを教える名トレーナーでした。
バックも大方は原作のモデルに近いセントバーナードや牧羊犬との混種ですが狼との因縁からジャーマン・シェパード(1972)だったりもしました。
本作のモデルはジャックリーと名付けられたセントバーナードとスコッチシェパードの雑種でクリス・サンダース監督の奥さんがカンザス州の動物保護施設から引き取ったものです。レセプションなどには出演していますが、映画ではモ―ショーン・キャプチャーで全編CG化されています。
人型ロボットがあまり人間に近くなると気味が悪くなる心理現象、不気味の谷現象というのがあるそうですが犬でも当てはまるかもしれません、私も違和感があり馴染むまで少々時間がかかりました。
原作でもバックは擬人化に近いですからコンセプトなのでしょう、むしろ脇役の他のソリ犬たちの犬っぽい表情は秀逸、思い返せば「ジャングルブック(2016)」も良かったですが、熊から狼までなんでも役者にしてしまうCGの進化あってのリメイクですね。
プロットも大方はソーントンはインディアンに襲われるのですが逆恨みした金鉱堀りに変えています、この辺はネイティブへの配慮でしょう。
野性本能の覚醒、自然回帰が本のテーマだったのですが本作はロマンスに寄せています、バックが白い雌の狼キャロルと恋に落ちる顛末は往年のわんわん物語のようですね、ラストは子犬まで登場の大サービスなのでおおいに癒されました。
ファンタジー性のある冒険譚
一匹の暢気な飼い犬が、過酷な環境に放り出され、己の中の獣性と本能を呼びさまされていく過程を描いた冒険譚。
冒頭、実写の犬の表情をCGでいじりすぎていて、子供向けすぎるか・・・?と不安を覚えるも、じょじょにコメディ的な動きは抑え気味になり、こちらも世界観に慣れていった。
生来の優しさがリーダーとしての「器」として認められ、仲間から信頼され成長し、森林狼と子供を成し、いつしかその存在が伝説となるというお伽話のような展開。
ロマンがあって好みなのだが、いざハリソン・フォードと伝説の地へと旅立つ一番の山場がダイジェストになっていて、拍子抜けした部分も。
散々ハリソン爺さんと犬が激流下りをする場面が宣伝されていたためか、開拓者の間で伝説となっていた土地へ、このコンビがいかにしてたどり着くまでかが丹念に紡がれるのだと期待してしまった。
そこにさえ目をつぶれば、起承転結のあるとても起伏に富んだ面白い人生ならぬ「犬生」であり、犬の目を通じて時代に翻弄され夢にしがみつく人間の悲哀もたっぷり描いた、贅沢な作品とはいえる。
ハリソン爺、ベック共に最後の場所を見つける。人生とは?と大きなテーマさえ投げかける壮大さも感じさせてくれた。
バックはいい奴!
ワンちゃん映画、いろいろ過酷であっても最後は感動で終わるのだが、今...
人間と犬との心の交流
CGの違和感は気にせず、犬好き故に楽しく見れた。シンプルなストーリーで子供向けにも良いと思う。ハリソン・フォード演じるジョンは息子を亡くし、妻とも離婚し、心に傷を抱えて暮らしているが、バックとの出会いで生きる糧を見つける。ラスト死んでしまうが、ついに自分の居場所を見つけ、旅立っていく。飼い主の元から連れ去られ、次々に主人が変わるバック。ようやく心優しいジョンの元で自由に育てられながらも、未開の地で狼に出会い、自分の中の野性を取り戻していく。互いの心の変化を見事に描いている。髭もしゃもしゃのハリソン自体が大型犬に見えたw
本物の犬を使ってたら
本物の犬を使っていたら、どんな映画になったんだろう。
無理だから、使わなかったのか
困難だから、使わなかったのか
希望的観測で言うと、表情を生かしたかったのだと思いたい。
ハリソン・フォード、いいね
引き込まれて見られる映画なら、何があろうと
関係なく、好きだ
うん、いい映画だった
う~ん、ワイルド
大自然は我々の戻るところ
ベックはカルフォルニアのある家から盗まれカナダのユーコン準州に売り飛ばされてしまった。驚くほど賢くて、犬の表情を見てこの映画を終わりにできるほどだった。それに、ユーコン準州の大自然。自然と一体になって生きている人々。ゴールドラッシュが始まっているから、もちろん、一攫千金を狙って来ている人々も多いが、この話では、一人が主な悪党として扱われているが、きっともっといたに違いない。郵便配達をしている時大雪崩が起きるが、あれは鉄道建設を試みている工夫が爆発物を仕掛けたように思われた。雪崩の中を猛烈に通り抜けるベックたち犬ぞりに気を取られあまりよくきいていなかった。
好きなところはジョン(Harrison Ford)がベックにユーコン準州の地図を見せて、ここを超えて大自然の中で自由に住めるところに行こうというシーン。二人はアラスカ方面に向かって(当時、まだ開発されていなかったのかも?)歩き出す。これは、二人が自然に帰るということで、土に帰ることを意味すると思った。かれは、他の金目当てで、ここに住んでいる人とは違うとわかるが、結局、自然より強大なものはないから、目先の利益より自然とどう付き合うかが、大事なんだね。現在もそうだと思うけどね。
あと、フランス系カナダ人の郵便配達人(Omar Sy )が徐々に、ベックの才能に気づくシーンが好きだし、最後、ベックに、別れ際に『自分たちのこの仕事は人に愛をあげること』だとかいうシーンが好き。ベックはこの意味を理解してくれるから、彼に、ゴールドラッシュで人間が人間であることを失いそうになっている人々に向かって、理解できるベックにその本質を話したかったんだと思う。
全129件中、1~20件目を表示








