「相変わらず過激で抜けているのがいい」キングスマン ファースト・エージェント R41さんの映画レビュー(感想・評価)
相変わらず過激で抜けているのがいい
シリーズのシーズン3はどの映画にもあるビギニングを題材にした作品だった。
2作目から特質して表現されているのが「最悪の状況」の効果的演出だ。
主人公は戦争を止めるために必死になっていた。
その矢先、目の前で妻が殺された。戦争が世界に広がる中、なんとかしようともがきながら、成長した息子との考えの相違が明るみになってくる。
部分的に見つかる戦争の因子。その根源に潜入して息子とともに根源を摘み取るものの、
自分への自信がついた息子が家を飛び出して軍隊へ入隊、最前線で戦死する。
ここまで主人公が息子だと思い込まされる視聴者はまんまと罠にかかるのだ。
主人公は父だった(人物を見ればわかるのだが)。
1作目は要人の拉致と脅迫、そして首筋に埋め込まれたチップ爆弾によって世界征服を企む組織の話。2作目は麻薬王になるために昨今の流行病の構図を利用した正解制服の話。そして今回はビギニングなので、当時の世界情勢であった第一次大戦をモチーフに、戦争屋による世界征服に対抗する主人公たちの奮闘を描いている。
主人公が妻を殺され、息子を殺され… やけ酒に溺れ、やがてもう一度心に火が灯る。
悲劇のどん底からの奮起こそキングスマン誕生の大きな要因になるのだ。
この作品は一見ウイットに富んでいるように思えるが、これこそ真実なのではないかと思わせるのが、アメリカ大統領がなぜ参戦しないのかという点だ。
これがハニートラップによるビデオテープだったとは、その昔から政治家なる者の資質は、世の誰よりも底辺だと言うことを風刺しているのかもしれない。
この下らない大統領に喝を入れるために大勢の勇者が命を落としていることを考えれば、あの壮大なアクションがしたことに加えキングスマン誕生の要因とを、一体どうやって天秤にかけろというのだろうか。
実際の現実は、どれほど我々の認識とかけ離れているのだろう?
映画の面白さに加え、些細な疑問に空恐ろしさを覚えた。