「キングスマンの原点」キングスマン ファースト・エージェント bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
キングスマンの原点
既に2作をシリーズ化し、007を受け継ぐスパイ・アクション映画として、観る者を楽しませてきた『キングスマン』。その原点と言える作品。『キングスマン』の誕生の経緯が、暗黒時代の1900年代初頭ののヨーロッパを舞台として描かれている。
1作目から、ユニオンジャックを身に纏い、英国紳士の立ち居振る舞いからの、スマートでスカッとするアクションに魅了された。しかし今回は、『キングスマン』誕生までの秘話や第1次世界大戦の情勢なども背景に、主役となるオックスフォード公爵の息子との絆などをかなり泥臭く、シリアスな展開として描かれている。
だからと言って、よくあるスピンオフ作品ではなく、『キングスマン』をこの世に生み出したマシュー・ボーン監督が、前2作に続けてメガホンを撮ったことに意義がある。誰よりも『キングスマン』の魅力を知り尽くしているマッシュ―・ボーンだからこそ描ける物語とも言える。特に、オックスフォード公爵の息子や妻への想いから、戦争を憎み、平和主義なオックスフォード公爵の祈りから『キングスマン』が、争いを回避するエージェントとして誕生したことが、伝わる内容となっている。そして、ラストには、もちろんスカッとさせてエンドロールを迎える。
また、今回の敵は、ロシアに実在した怪僧ラスプーチン。彼の逸話はいろいろ残されており、ロシアの内政を奇術を用いて操っていたが、最後は彼を危険人物とみなして暗殺され、凄惨な死を遂げた。本作でもそんな奇怪なラスプーチンを、世界大戦を背景にした敵として描くことで、より一層の不気味さと底知れぬ恐怖を与えている。しかし、彼もまた操り人形の一人。そして、最後に意外な人物が、ラスボスとして登場する。
本作の見どころは、オックスフォード公爵とラスプーチンやラスボスとの剣闘シーン。なかなかの殺陣回りで、技で魅せる日本の殺陣とは違う、力と力で押し合う迫力ある剣闘シーンであった。
そして、ラストのエンドロール後にも、マーベルの様なオマケつき。そこを見逃さないように。そこで登場する人物こそ、ホントの意味で、世界史に残る大ボスなのかもしれない。