「クリスマス映画に選ぶは」キングスマン ファースト・エージェント kekeさんの映画レビュー(感想・評価)
クリスマス映画に選ぶは
第一次世界大戦。1914年のサラエボ事件から1917年のアメリカ宣戦布告までの史実の元、
暗躍していた諜報員VS闇の組織みたいな味付けを施してエンターテイメントにした作品。
キングスマン好きや歴史好きならニヤリとするのだろうが、ラスプーチンを知っている程度の自分でも十分楽しめた。
本人を登場させたかのような出で立ち、神妙な顔で日常会話風に「ファック」という言葉を使い、どんだけファックしたいんだと笑っていると唐突に主人公に「脱げ」と言って足の治癒(過去に銃弾を受けて障害が残った)を始める。息子を使って誘惑させるはずがオッサン主人公が可愛がられることに。「オウオウ!」と悩ましい表情の主人公の腿の傷跡をペロペロと舐め始め、毒入りタルトに食らいついて吐き出し、意味が分からないうちに戦闘に、コサックダンスをおっぱじめ、例のBGMが鳴り、息子は全く役立たず、一度死んでも復活し、脳天打ち抜きやっとこさ。
最後まで親子で共闘するのかと思ったが、幼い頃に母を殺されたことが影響してか、息子は前線行きたいマンに育つ。
父の根回しで除隊されても別の兵と無理やり入れ替わってまで戦い、大活躍したにも関わらず「スパイ」と勘違いされて味方に殺される。
息子の最後の場面ではドイツから盗んだ電報の内容が書かれたメモを数人で拾いに行くのだが、当然敵側もそれを阻止する。
銃を使うと音や光で居場所がバレて敵味方まとめて遠くから蜂の巣にされるので、
互いにゆっくり近づいてジェスチャー「危ないからナイフで殺し合おうね」。
静かに殺し合うシーンはドント・ブリーズ以来で新鮮だった。
闇の組織はとりあえず世界を混乱させたいみたいで、
オーストリア皇位継承者を暗殺するとか、アメリカ大統領のスキャンダルを作って動けなくするとか、とにかく悪いことをする。
動物をあしらった指輪を付けているので「なるほどこの面々と順番に戦っていくのか」と期待したが、
そんな漫画みたいな話ではなかった。まともな戦闘はラスプーチンとラスボスくらい。
ちなみにラスボスはイギリス元帥キッチナーの部下であるモートン。存在感が無かったので全く気づかなかった。
ただこのラスボスとの戦闘も、尺は長かったものの喜劇っぽさも無く「よくある映画のクライマックス」な描写で淡々と終わったのが残念。
1つの映画の中に父親と息子それぞれの物語が展開されており濃い内容だった。
ちょっと滑ってるギャグシーンや過去に見飽きたお約束展開など、もう少し無駄を省いてほしいとも思う。
とはいえ主役はラスプーチン。黒幕とかどうでもいいので延々とダンスをしてくれても一向に構わない。