「フォードをアホ企業で描くところが面白い」フォードvsフェラーリ shintaroniさんの映画レビュー(感想・評価)
フォードをアホ企業で描くところが面白い
面白い映画で大好きです。
3つの面白さがあります。
①大人気ない
②アナログ
③ドアホなフォード
①大人気なさ
ケンの息子が純粋にレースに憧れる姿を描くことから始まりますが、大人もまた子供っぽさから来る大人気なさが満載です!笑。
フェラーリチームのピカピカのストップウォッチを黙って頂戴して騒ぎを起こしたり、敵のピットにナットをわざと落として、車体のネジが外れているのでは!と大騒ぎを起こし眺めてニヤニヤしたり、ずる賢い副社長を閉じ込めて、フォードの二世社長を泣かしたり、友達に謝罪をしに行ってケンカを始めたり、だいたいシェルビーはいつもカーボーイハットだし、ケンの息子には優しかったり、飛行機まで派手にぶっ飛ばしたり。「今でも心臓病の薬を飲んでるのか?」と心配そうに聞かれてるのに、「この薬、美味いんだ」と答えたり。。。シェルビーの大人気なさにクスクスします。
②なんかアナログ時代の良さ
車体が出場基準に満たなければ、ハンマーで殴って直したり、ピカピカのレーシングマシンの全てが手作業で作られたり、電気計測機を馬鹿にして、車体に毛糸を貼って空気抵抗を見たり、スピードメーターがメカニックな動きで7000rpmを指したり、電話もラジオもダイアル式で、フィアットにスクーターで紙焼き写真で届けるための時間稼ぎのフェラーリの社長が小芝居をうったり。それで、自信たっぷりのしてやったり感を出してご満悦で、十分すぎるほど、アナログの面白さが描かれています。
7000rpmで爆走するレースも、ドアをハンマーで閉じたり、ホイールナットもハンマーで殴って締めたり、ガソリン給油シーンを注目させたり、「うん?ヤバイくない?」とドキドキさせて、自動車レースの潜在的な魅力であるスリル(嫌な予感)をアナログで上手に描いていました。優勝しないので、ひき細々な感情が渦巻く中、余計に純粋で夢中な世界を描けていました。
③ドアホなフォードが面白い
アメリカ映画なのに、自国の代表会社を、
ともすれば「フォードが嫌いになったわ!笑」
との感想も聞こえるくらいに、ドアホに描く心意気!が、面白いです。ずる賢さ(副社長)と、無能な傲慢さ(二世社長)は、アメリカそのものでしょう。笑。
自分たちで自覚していて、そこを馬鹿にする面白さにしてしまう!笑えます。
シェルビーをはじめ、もちろんケンの人物の描き方最高!フェラーリの社長を中小企業の社長的に描いたり、奥さんが素敵だったり、ピーターがお母さん似だったり、兎に角、人間が人間らしく描かれていて、とても好き。
映画の作りとしてとても大好きです。
あー元気を貰えるいい映画だったなぁ。