「【7000rpmでぶっ飛ばせ!。大迫力のレースシーンにアドレナリン大放出。”二人の車のプロ”と”フォードの醜い背広組”との闘いを描いた作品でもある。】」フォードvsフェラーリ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【7000rpmでぶっ飛ばせ!。大迫力のレースシーンにアドレナリン大放出。”二人の車のプロ”と”フォードの醜い背広組”との闘いを描いた作品でもある。】
かつて、ル・マン24時間レースで優勝したキャロル・シェルビー(マット・デイモン)と元レーサーで自動車整備工を営みつつ再起を図るケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)は久しぶりに会った瞬間に”こいつは俺と似た匂いがする”と思ったに違いない。
現在は、車のセールスマン(と、デザイナー)になっているシェルビーと自らの自動車整備会社が国税局から差し押さえされたマイルズは不思議な縁で結ばれている。
合間に挟み込まれる、マイルズの妻モリー(カトリーナ・バルフ:夫を想う姿を実に上手く演じている。良い。)とマイルズとの”夢を諦めるのか”という遣り取り。父を誇らしく思う息子ピーター(ノア・ジュブ)の姿。
コンベアーで車を大量生産するフォードと据え組付け(今でいうセル方式に近いかな)で一台一台手作業で車を作るフェラーリは、自動車製造の考え方が根本的に違う部分や、フォード2世とエンツォ・フェラーリのレースに対する姿勢も、お互いへの軽蔑した想いも含めて上手く描かれている。
妻モリーの脅しにも似た後押しで、フォードをル・マンで優勝させるためにマーケット戦略を担当するリー・アイアコッカ(ジョン・バーンサル:良い味を出している)に請われたシェルビーと手を組むマイルズ。
高速走行しながら、的確にスポーツカーの修正点を次々に指摘するマイルズ。ここの技術屋たちとの会話が面白い。(分かる人は、車設計に可成り精通していると思う。)
マイルズはテスト中に”フェード現象”のため、レースカーが制御不能になり炎に包まれるが、耐火服のため助かる。が、目撃したピーターの不安は増す。ここのシーンも後に効いてくる。哀しいが、上手い・・。
実力派フォードのレーサーの中でも車設計にも関与しているマイルズは群を抜いているが、妥協しない彼の態度に、フォード副社長レオ・ビーブ(ジュシュ・ルーカス:嫌われ役を実に上手く演じている。)の”意見”でル・マン挑戦初年度は、参戦を見送られる・・。シェルビーも渋々従うが、フォードは全台リタイアという結果に・・・。
フォード2世を説得するシェルビーの”大企業の無駄”を指摘するシーンや、テストレース場で、彼をレースカーに乗せレーサー達が体感するスピードを体験させるシーンも実に良い。
そして、とうとうマイルズは”ル・マン”に参戦する・・。
この映画の最大の魅力は、ケン・マイルズがコーナーを攻める際のギア・ダウンから高速のまま素早くシフトアップし、アクセルを踏み込み一気に相手を抜き去るシーンを含め、ギアチェンジの映し方が実に上手い所とその際の観る側が得る爽快感であろう。
「ラッシュ/プライドと友情」よりも良いのではないか?(個人的な意見です。)
又、シェルビーの”今だ!という声とドンピシャのケン・マイルズのギア操作も二人の結束を示しているようで、とても良い。(観ている側も心の中で、”今だ!”と叫ぶ。)
マイルズはフェラーリの1号車と競り合い、相手ドライバーが意地になって9000RPMまで上げてしまい故障・・。悠々と1位を確保するかに見えたが、レオ・ビーブが再び観客席から”余計な”進言をして・・。
ここでの、マイルズの決断は観ていて心に沁みる。
彼は、レオに従ったのではなく(何が組織の一員だ!と心の中で激しく毒づく私である。)、既に親友ともいうべきシェルビーの身を想っての行為だったと思う。
又、レース終了後にマイルズと目が合った、エンツォ・フェラーリの少しだけ被っていた帽子の鍔に触れる仕種も良い。
- エンツォ・フェラーリは、”フォード”ではなく、マイルズとシェルビーのレースに掛ける根性に敬意を表している事は、観れば分かるが、同じくF1レースを愛する者通しが心を通わせる、粋なシーンである。ー
ラストシーン、シェルビーがマイルズの息子ピーターと交わした会話と手渡しした”モノ”。モリーに小さく手を挙げるシーンとその際のシェルビー(=マット・デイモン)の表情。
<そしてスポーツカーに乗り込み、重厚なエグゾースト音を”友とその家族に残して”走り去るシェルビーの後ろ姿にジワリと涙した作品。>
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2020年1月15日追記
幾つかのシークエンスと台詞を再確認したいと思い、仕事の後で疲れていたが、”あと30分、夕食までには帰すから・・。”というシェルビーの声に導かれ、レイトショーで再鑑賞。
エンツォ・フェラーリの、フェラーリ1号車がリタイヤした知らせを受けた時のセリフ(仕方ないな・・という表情に見えた・・。)を聴き取りかったが、難しかった・・。
が、脳内で類推した台詞だろうな・・と思い、勝手に満足。
何よりも今作品が、再鑑賞すると面白さが”加速する”事を確認でき、大満足で帰宅した。
<2020年1月10日 映画館で観賞>
<2020年1月14日 映画館で再鑑賞>
あらら。免停やったんですか?
いろいろ大変だったでしょうね。ますますNOBU さんのファンになってしまいましたよ(笑)
GPS 情報=スピード違反計測器位置警報付きのレーダー探知機は使っておられなかったのでしょうか?Nシステムではなくてパトカーとか・・
昨今は新方式対応のレーザー探知機も発売されていますよ。
夜明けの北陸道は僕のお気に入りでした。7年所有したアルファロメオの916スパイダーで〇20キロでドライブ。
御大エンツォが若い頃テストドライバーとして在籍していた「アルファロメオ」であることが、僕の優越感をくすぐりましたね♪
あと、ブルーレイで確認しましたが、エンツォはチームの車の事故敗退ごとに側近から耳打ちをされていますが、エンツォ本人の声は入っていませんでした。
でもエンツォの存在感は凄かったですね。創業者の迫力たるや。
フォードをはじめスーパーカーがてんこ盛りなのが「レッド・ライン」です。筋書きはB級もいいとこなんですが、2台登場するシェルビー・コブラの銀色のやつが最高でしびれました。是非。
この映画も行って来ます。レビューありがとうございました!
パラサイトは日比谷で先行があったんですよ。
僕、モータースポーツ好きで、昔はTVで夜更かしして良く観てたんですけど、最近は地上波もないし、ホンダもちょっと上向きですけどイマイチだし、今宮さん、残念がってないかなって思ったんです。70歳は早過ぎますよね。