アド・アストラのレビュー・感想・評価
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「2001年」的なもの・・・ では全然ない
海王星往還記。(但し、ほとんど行きだけ)
途中、西部劇やエイリアン風のアクションが入るが、本筋とは全く関係なし。
主人公の父は超マッド・サイエンティストを想像させるが、行ってみればただの爺さん。
地球まで影響を与えるサージ電流を、見た目普通の宇宙船でどうやって発生させたんだ?
知的生命体はいないという落ちか?太陽系の探査だけで結論だすなよ。
とにかく、脚本がひどい。
父と子、夫婦のドラマもとってつけたようで、全く深まらない。
科学的なチェックもない。(最初の宇宙船?からの落下シーン。衛星軌道からどうして垂直に落ちるんだ)
SFを読んだことがない人が書いたとしか思えない。
直で海王星から帰れるなら、最初から直で行け!!!
記憶に残らない…
インターステラーや2001年宇宙の旅みたいに、見たあと記憶をたどりながらつじつま合わせをしようとしたけど、イマイチなんだか浅いな。 SF素人なので詳しくはわからないけど、海王星 こんな近い? 帰ったら浦島太郎?でもなさそうだし、ゼログラビティのジョージクルーニーみたいに幻?でもなく、フツーに父いた!みたいな。 人があっけなく死ぬからちょっとホラー。(これ、ライフ?)
とりあえず今までみたSFの中では、見たこと忘れてしまうレベル。 ブラピの髭はかっこいいけど、こちらはワンスアポン・ハリウッドで見れます。
人類の孤独か、個人の孤独か
地球から海王星まで約45億km。
舞台設定は壮大なのに、描いているのは父と子の葛藤。
宇宙には、地球以外に生命はいないのか?
人間と交流可能な知的生命体はいないのか?
この問題は、しばしば "人類の孤独"として語られる。
主人公ロイ(Brad Pitt)の父クリフォード(Tommy Lee Jones)は、この孤独を解消するため、海王星に漕ぎ出し、消息不明になり、伝説の人に。
しかし実際の父は、自分の目的を成し遂げるために、地球に帰りたいと反乱を起こした同僚を皆殺しにした狂人だった。
長い孤独を乗り越えて海王星に辿り着いた息子に、お前がいればもっと遠くまで漕ぎ出せたと、叶うはずもない希望を嬉々と語る狂気。
クリフォードにとって問題なのは"人類の孤独"であり、航行不能な船に取り残された自身の孤独にも、同僚やロイが家族から離れて味わった孤独にも無頓着。
大義の為に、家族との時間を犠牲にする。
とてもありがちな日常だけど、それが如何にに罪深いか。
語られるメッセージはとてもシンプルだけど、通底する雰囲気や劇伴が好きで、好感度の高い映画でした。
P.S. 正直前半うとうとしちゃいましたが、ゴリラの登場でバッチリ目が冴えました。
あと、日本ではCMで宇宙人役でおなじみのTommy Lee Jonesが、地球外生命体を探してるって図式も、そこはかとなく面白かったです。
ある評論家は、宇宙ものとしては変わってると評してましたが、「Solaris」も「Interstellar」も似た感じ。
宇宙で家族を語るのって、あるあるなのかも。
SFの醍醐味!映像美!
宇宙映像はとても綺麗で、
ストーリーが少々破綻してても…ヒューマンドラマとして楽しめた。
ただ国や軍の陰謀とか、生命体の発見とかは
途中から完全におざなりだったのが残念。
…父親を信じて追いかけた40億光年先では…すでにちょっと狂ってるパパ。
息子が信じてた現実とは違う、父親の過去の過ち。
観てなかったかな。
色々と無駄遣い
無料で見れたとしても時間の無駄遣い。
よくある、宇宙を舞台にした人間関係を見つめ直す的な映画にしたかったんだろうが、いかんせん脚本が悪い。ここまで悪いのはいつぶりだろうか。
ブラピもトミーリージョーンズも本読んだ後で断りゃいいのに。
以下ネタバレ。
1.ブラピの宇宙飛行士として優秀であることが最初のシーンで描かれるものの、能力を発揮するシーンが見受けられない。
2.宇宙空間まで伸びていると思われる、宇宙アンテナなるものが、アンテナ以外の役割を与えられていない。せめて軌道エレベーターとすれば、月や火星ベースを建設できるほどの搬送能力を人類が獲得したと納得がいくが、何故かアンテナ。衛星で十分やんか。
3.月への定期旅客便が嘘みたいにサターンロケット並み。そのせいで、月面ベースの大きさに違和感しか残らない。
4.月での重力の表現はなぜかバギーのカーチェイスシーンでのみ。同様に、火星は普通。
もっといえば、ラストのトミーリージョーンズとのお別れでブラピが流す涙が頬を垂れる!体ふわふわしてるのに、、、なんで?
5.月面での略奪行為は、ストーリーとして全く不要なうえ、略奪行為自体の目的も不明。略奪って、資源運んでそうなものに対しておこなうんちゃうんか?
6.そもそも月発射台までの移動が、基地自体には移動用のトンネル掘ってるくせに何故か月面上を移動。
7.もっとそもそも言えば火星に行く意味がない。
8.途中の緊急通信を受けて救助に行くまでのキャプテンとの口論、やる目的がない。セリフが無意味。よったステーションが間抜けの殻なのも意味不明だし、ゴリラかなんかに襲われるキャプテンも、悲鳴くらい出せよ。
9.火星着陸時のポンコツになるコパイ。それもいらん。初めてのるロケットの操縦を、いきなりできるとか、優秀だとしても無理やろ。
10.火星が、あまりにも地球。オデッセイを参考にすればいいのに。ただ赤くするだけって。。。
11.火災基地の所長の存在の意味と、火星生まれだという告白の意味。だから何やねん。
12.三人がトップシークレットな情報を持つものの、全員破っちゃう。共有しまくっちゃう、なんなら積極的に。まぁ監視役がバラしちゃうんだからどうしようもないわな。かつ、ドナルドサザーランド出した意味も特に無い。
13.極め付けは火星の地底湖からロケットに乗り込むシーン。何Gかかってるの?ブースター切り離し時のGではクルー死んじゃうのに、打ち上げ時は平然とするブラピすげー。
14.核を搭載する意味。ブラピのミッションが秘匿である以上、火星から搭載したんだろうけど、火星にあった理由も不明。
15.トミーリージョーンズの心境描写が壊滅的。素晴らしい宇宙飛行士が、目的達成のために無茶をやりまくるとか、そもそも宇宙飛行士に向いてないでしょ。
総じて、科学考察が破滅的で、無意味なセリフのオンパレード。宇宙を舞台にする必要もないし、記憶に残るシーンがないのがびっくり。
本当にお金と時間を返して欲しい。
ブルーマーブル!!??
月面からのブルーマーブル。
VFXとかCGとか、いろいろな組み合わせで画面はきれいで。
戦闘シーンとかあったけど。
個人的にはもっと派手に、ガンガンやってほしかったけど。
路線が違くなってしまうとか思ったり。
まずは少しシリアスさを加えて。
次作とかコメディー感とかワイルド感とか、めちゃくちゃ感とかを加えて。
これからの映画の為の映画というか。
いろいろ少し勝手に、自由に感じてしまいました。(笑)
火星とか。海王星とか。
いろいろ出てきて。
なんか宇宙ステーションとか。いろいろと。
これからの宇宙映画に期待したいです。(笑)(笑)(笑)
宇宙開拓エピソード!!??
宇宙開拓のエピソード。
今から何年後なのか。
月面での戦闘とか。
火星に到着したり。
さらに、さらに。
エンドロールでは。
NASAなどの文字が出ていて。
未来でみたら、イヤー悲観的な映画だなと苦笑いかもしれないとか。
実際はこうならないだろうだとか。
だんだん技術の進化などで、遠くの星に行けるようになってきたのか。なるのか。
良くも悪くも、まあまあ観れました。
個人的には、映画好きのための映画というか。
映画史に残る映画というか。
映画人のための映画というか。
まあスカッとはしなくて。
大衆的ではないというか。
宇宙映画はこんなもんでしょうだとか少し感じてしまって。(笑)
まあ、まあ、まあ。(笑)
舞台は宇宙だが。。(ネタバレあり)
CMだけの情報で、それを元に期待を膨らませて観に行った人にとってはなんとも拍子抜けな映画になったことだと思う。
こればかりは映画が、というよりあのCMが悪い。
ぱっと見はSF系統の話にしか見えないからね。
でも、実際はSFたる部分は肝ではなく、あくまでも舞台でしかなく、映画が伝えたいことはヒューマニズムである。
人は孤独で生きていけるのか?なぜ孤独を選ぶのか?
後悔と葛藤。
遠宇宙まで数か月一人で旅する中でブラピが感じる孤独。
これをいかに映画館で共有できるかでこの映画の評価は変わってくると思う。
SF映画では無い
孤独を好み、妻さえも離れていく精神を病んだ
主人は、太陽系の果てまで行って戻って来て
涙する。そして差し伸べられた手をしっかりと
つかむ。30年以上孤独だった父は、今更社会に
適応するはずもなく、死を選ぶ。
いつの時代も人間孤独では、生きていけない。
ある種のヒュマニズムを描いた作品であるため、
スターウォーズ系を期待した人には、つまらない
映画であろう。
ある意味で正当なSFだが…
SFの面を被った純文学と言うと、正しく米文学としてのSFの系譜に連なっているともいえる。
小説にしてみると案外良いプロットかもしれないが、いかんせん映像にすると地味な感を否めない。
アド・アストラはポジティブで稀有壮大な言葉のはずなのに、卑小な人間劇になりすぎているのも、肩透かし感が出る要因。父と子の話をもっと深掘りするか、太陽系の果てまで行っても人類は何も変わらないし宇宙の孤児かもしれないと言う絶望感の描写に振り切るかすれば、また違ったかもしれない。
宇宙船や宇宙服などのガジェット描写は、ソユーズやアポロ計画のデザインを踏襲しているのだけれど、海王星まで行って30年近くも無補給で稼働しててこれかい、みたいなチグハグ感。
決してテーマは悪い訳じゃないんだけど、所々制作者はどのぐらい本気でSFを作ろうとしたんだろうと、首を傾げたくなる様な描写があってそこがマイナスになっている。
独りは寂しい、独りは怖い。
壮大な舞台、壮大な旅、重大な任務、極めて個人的でミニマムな物語。
果てしない宇宙を文字通り飛び回り謎に犠牲者を出しながらも、ミッションなんて二の次とも感じるほど、かなりパーソナルに寄った描き方が好き。
父子で争うSFアクション大作かな、なんて予想していた私の考えを悠に超えられる。
想像外の展開が続き、面白く観られる。
特殊なロードムービーみたいだった。
起こる物事は多いのにスローペースに感じ、繊細な人の機微を描く一方でどこか大味で投げやりな部分も見られる。
ベースは緻密で静かで、宇宙を舞台にした映画の中でもとても好きなトーンだった。
断れず、致し方なく、請け負った機密任務。
どこか曖昧で誠実さのカケラも無いそれ。
その中身を探るうちにもはや独りよがりにも近い願いが出てきて一気に行動に移す様が好き。
「俺が世界を救うんだぜ!」だなんて力まれても困るので。
無欲に見えるロイの奥底でギラギラしている欲望の形に高まった。
自分の行動によって意図しない死がいくつも生まれてしまう絶望感と虚無感、長い本物の孤独に対する恐怖感も強くて、どうしたって緊張しながら観てしまうでしょう。
遠く遠く、やっと会えた父の掴み所の無さと確かに感じる狂気がまた悲しい。
結局「リマ計画」って何だったの。
何のためにそこに留まるの。せっかく迎えに来たのに。これでまた本当に決別か。
なかなか理解しがたいその執着、結果のサージ現象、数万人の死。
「YES!YES!YES!」と強く書かれたポスターがもはや恐怖だった。
ここまで遥かな旅をしないと実感できなかったものの正体に気が抜ける。
独りは寂しい、独りは怖い、人が愛しい。
そんなシンプルなことに気付くための旅だとしたら、リスクも払った犠牲も大きすぎる。
世界がかなり広い映画なのに、辿り着く終着点の小ささと言ったら。
でもそのギャップに胸を刺されてしまった。
「私は帰還する。生きる。愛する。」の言葉に思わずこみ上げる。
表情らしい表情のなかったロイが最後に見せる顔も。
つくづく人間って単純なだけではいられないものだなと実感した。
もっともっと取り返しのつかないことが起きて、もっとホラーな展開になっても良かったなとは思いつつ。
父親の道連れになったり、あの猿みたいに爆発したり。
そうなってもおかしくない空気だったし、私は宇宙モノは絶望エンドの方が好きなので。
まあそうならなくて良かったでしょう。今回は。本当に。
途中に起こるわりと大きなハプニングの扱いが面白かった。
月での略奪者襲来も、寄り道した船内での猿襲来も、どっちか一つだけで長編映画ができるんじゃないの。
それをほぼ本筋と関係ないところで多少のスリルを感じさせつつサラッと触れてあっさり捨て去る独特の進め方。
人間の愚かさは遥か彼方でも変わらないことを示して微かに失望させ、感情を置いてきたロイに怒りを思い出させる。
ストーリー的には唐突かもしれないシーンだけど、その中身を考えると少しゾッとするくらい大切なシーンだと思う。
それにしても、施設を核爆発なんてさせたらもっと大きな影響が地球にやってくるのでは?とハラハラしてしまった。
あの核爆発で新しい星が生まれたりして。無理か。
でももしそうなったら、なんだか絶妙にロマンがあるな。
火星での隊長的な女性がこちらを向いた瞬間の目つきに鳥肌が立った。あの人好き。
SFオタクではないですが、鑑賞後なんの映画だったのか、さっぱりわかりませんでした。
スターウォーズ世代、インターステラ―やゼログラから、近年ほとんどのスペースものは見ているつもりですが、これほどちぐはぐな印象の映画はありませんでした。
冒頭の落下場面を理解しようとしているうちに、序盤のストーリ―展開でネタフリ。実際に宇宙に出ていくところから特撮にはスケール感もあったものの、地球上と同じ重力感の映像や爆発の衝撃を利用して推進するところ等、理系頭でなくても???とリアリティーを疑わせるような描写が多く、場面場面で何故ここで?と考えさせるシーンの連続。
後半、漸くドラマティックな筋書きが出てきたと思ったら、冗長な展開に久しぶりに寝落ち。後半も盛り上がりに欠けて、絵コンテベースの紙芝居に特撮と有名俳優ときれいな女優さん(それもアルマゲドンでのイメージから?)を拝して、お金をかけて作ったからいいはずと思っている政策陣の意図が見え見えで、普通は非現実の世界にあって、特にSFならば地球外の特殊な環境での設定がSFの舞台となるはずなのに、全然画面に引き込まれませんでした。
久し振りの駄作。
ブラピの一人ごっつ?
音楽は格好いいし、気鋭の監督。宇宙空間でこんなのをやりかったんだな。残念なのは、宇宙での小道具が残念 もうちょと洗練されたのを使えば、親父の船との時代の違いが解ったのでは。まー紛争中だからいたしかない設定か?
壮大ながっかり映画
宇宙物は好きです。新しい知識が得られたり、今の宇宙開発がどこまですすんでいるか、どんな映像にしてくれるか楽しみです。
ただ科学設定が徹底してる話限定ですけど
話が淡々としてる設定がいい加減な宇宙物は必ず寝てしまうので、そうじゃなきゃいいなと思ってましたがモロそうでした。
そのうえストーリーが…いや、なんでああなったかな?
ブラピ宇宙に行く必要なかったよね?生死にかかわらず政府は初めからパパはころすつもりだったでしょ?
一般向けではないのでしょう
一般人には難しすぎた。
いつもの凛々しいブラピの姿は無く、
静かに静かに淡々と。
近未来が舞台ではあるが、
実際の宇宙空間であんなアクロバティック出来るのだろうかと素人ながら???
宇宙人ジョーンズさながら父親の行動も???
宇宙が舞台である必要は無かったのではと思ってしまうお話ではあるが、
映像は綺麗だった。
現在の技術だと地球上では直ぐ着いてしまうから致し方無しか。
単に……
父親に逢いに行ったのか??
そんな疑問が残る映画でした。
父親は地球外知的生命体の存在を追おうとする。
しかし太陽系を脱出出来ていない海王星で漂流する。
月面基地や火星基地ができ、月への民間宇宙船のバージン・アトランティック(笑)が航行する程テクノロジーが進んだ時代。
サージとかの宇宙嵐って何だったのか?太陽フレアの事?
そもそも地球外知的生命体を発見するには、とてつもなく遠い何億光年も離れた系外惑星に到達する必要があるし、劇中のイオンエンジン(電気エンジン)では到達不能の筈。
『インターステラー』の映画の様にワームホールでも突入しない限り到達不可能では?
しかし、父親は地球外知的生命体の発見に童心ながらもこだわり続けるが、息子は地球に帰そうとする。
何だかな〜と。
今回シネマサンシャインのIMAXで見たが、その巨大さに驚きつつも、この映画は上下からトリミングされている為に慣れてしまうとその巨大さが薄れてしまう。
冷たく暗い宇宙で温もりを探す為の旅路
なんかドン底にダウナーなレビューになってる気が
するので、そういうのを読みたくない方はご注意を。
大好きなドキュメンタリー映画に『LIFE IN A DAY
地球上のある一日の物語』という作品がある。
これは世界中から投稿してもらった2010年7月24日の
日常の映像を繋いで1日を構成するという作品なのだが、
この中で未だに僕の頭を離れてくれない言葉がある。
ある女性が涙を流しながらカメラに向かって語る言葉。
「孤独になるのが怖いから、孤独のままでいるの」
...
北極も月も観光名所や資源元として扱われ、
火星は薄汚れた地下鉄のようなハブと化し、
かつて憧れたような浪漫の消え失せた宇宙。
そこで淡々と任務をこなす主人公の心は虚ろだ。
分厚いスーツとヘルメットは
柔らかい心を守る為の固い殻。
にこやかに微笑み波風を立てず、
人と必要以上の繋がりも求めず、
どんなトラブルや悲劇も人生では
日常茶飯事だと諦めてしまえば、
心が激しい苦痛や喪失感に苛まれることも
無く、植物のように穏やかに生きられる。
だがその人生には、誰かを愛することで
得られる狂おしいほどの情熱も歓喜も無い。
宇宙のように冷たく空虚な心を抱えたまま、
目的を目的としてこなす機械のように駆動する。
...
しかし宇宙という究極の孤独に置かれ、
憧れた父に想いを馳せるうち、主人公
の鎮んだ心は再び激しく揺さぶられる。
世間からは英雄として持て囃されるが、
決して母や子を省みる人ではなかった
父への、愛憎入り雑じる感情。
そして突き付けられる“英雄”の真の姿。
母や子はおろか人の心を捨て去ってまで
己の使命に没頭し続けていた、怪物の姿。
終盤、己の硬い殻を形成した愛しい怪物と
対峙した主人公は、その憐れな姿に己自身の
孤独な心がやがて行き着く先を見たのだろう。
叫んでも叫んでも決して届かない叫び。
宇宙の果てまで追い続けたのに、
決して“人”としての自分を求めて
くれなかった父への巨大な悲しみ
(あの父親も己の頑なさを呪いの
ように感じていたと僕は信じたい)。
そして同時に、きっと彼は感じたのだろう。
自分を“人”として求めてくれて、遠い遠い
彼方から自分の身を案じてくれる人の温もりを。
...
陰影の強烈な月や火星の光景の他、
建築物は幾何学模様をねじったようなデザインや
シンメトリが美しく、同時に使い古された設備を
そのまま持ち込んだような薄汚れた現実味がある。
最後に訪れる海王星は、残されていた
未開の地のように幻想的な青が印象的だが、
美しければ美しいほどに募るその空虚さ。
「すぐ傍にある美しさを決して見ることの
無かった」父を越え、地球へと帰還する主人公。
遥か彼方の天へ(Ad Astra)の旅は、彼が
誰かと繋がること、痛みと共に生きること
への勇気を得る為の旅路だったのだと思う。
むしろエンターテイメント要素をもっと抑えた方が
良かったと思える部分もあるのが僅かな不満点だが、
詩的で美しく、心揺さぶられる映画でした。
4.5判定で。
<2019.09.21鑑賞>
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