「学生の実験映画?」アド・アストラ odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
学生の実験映画?
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物語は地球を襲う電磁嵐の危機を生命体探査の途中で消息を絶った宇宙船の船長の所業と結び付け息子を餌に船長を誘き出そうという訳の分からない宇宙軍の秘密作戦の顛末を描くのだが例によって宇宙時間だから一向に話が進まない。退屈しのぎのエピソードも陳腐、エイリアンの仕業かと匂わせて正体は凶暴化した実験用のマントヒヒとは笑止千万、数少ないアクション・シーンもMADMAX風で月面の山賊襲来のプアなカート・チェイス、無重力漂流はゼロ・グラビティの迫力には程遠い。既視感満載なのだがちょっと外しているのは言い逃れか。
飽きさせないように観客にストレスを加える手法なのか、主人公は常に司令部の監視下に置かれ必然性のない心理診断がやたら割り込んでくるのも鬱陶しい。さんざん引き延ばした挙句拍子抜けの結末、磁気嵐は故意ではなく宇宙船の原子炉のメルトダウンだというがそんなレベルで反物質が生成されるわけもないだろう、たかだか海王星あたりで地球外生命体の存否を決めつけるのは早計だろう。英雄と言われた父親も研究に魂を奪われた狂人もどき、あえて分かりにくくすることで深遠さを出したかったのだろう、アド・アストラとはラテン語で「星の彼方へ」だそうだが知性の無い連中ほどインテリを気取りたがるものだ、最後まで来てやっぱり地球が一番、愛する人と再会し普通の生活の尊さを悟るオチには唖然、まわりまわって宇宙探査の全否定なら時間を返してと言いたくもなる。総じて作り手の独りよがり、学生の実験映画のレベルを脱していない愚作に思えた。
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