「『無難』と言う言葉を表すかのごとく」バースデー・ワンダーランド Geso_de_Nyoroさんの映画レビュー(感想・評価)
『無難』と言う言葉を表すかのごとく
実は原恵一監督を知りませんでした。鑑賞後ウィ○ペ○ィアで引くと、初期のドラえもん、クレしんで作品を重ねてきたフリーの映画監督との事。
で、本作を観ますと、最初アカネは〝中学3年位の難しいお年頃〟設定なのかと思ったら実は小学生で、突如違和感に襲われます。ですが小学生設定に重要性はない様子なので、それは観ながら忘れてしまえば気になりません。
全体のお話はまァ可もなく不可もなくの、ごく有りがちなファンタジーストーリーで、導入こそ既視感ありすぎでしたが全体の内容もあまり変哲のない内容です。
風呂敷を大々的に広げるのではなく、コンパクトな中でシッカリと絵作り話作りに徹した様子で、その抑揚も平均的・常識的な範疇を出ることなく突飛な展開や脅かしの小技などもありません。チィ姉の自由キャラなど『人物』を描き、それを織り上げて物語が展開する感じです。
従って冒険ファンタジーながらそれ程ワクワクドキドキな展開ではなく、NHK-Eテレで放映されそうなお上品で落ち着いた仕上がりで、むしろ驚きや興奮などがほとんどないのが気になります。
『色』と言うキーワードがストーリーの軸に通された印象が薄く、色が失われてるワリには当初カラフルな世界が広がっています。敵キャラ二人のアジトのある?色あせた暗くて胡散臭い街も描写されますが、一行はそこはナゼかスルー、宮殿のある赤茶けた場所や砂嵐などの、その気配こそ表現されていますが‥‥。
そもそもタイトルのバースデーも内容にあまり関係ないし、何だか取り溢しがチョイチョイある様に見えてしまいます。
とは言え全体的にはキチンと纏まっていて『無難』な一作に仕上がってはいます。世界設定を説明するシーンは『ナウシカ』のソレを思い出させる雰囲気があるなど、他作の影響を受けたり得意な表現を用いたりの絵作りはまずまずだと思います。
ですがサスガに大人しすぎて、劇場でアニメーションファンタジー映画を観た、と言う満足感に乏しいのが残念です。