「8年ぶりだがデ・パルマらしさ満開!」ドミノ 復讐の咆哮 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
8年ぶりだがデ・パルマらしさ満開!
序盤の容疑者との格闘シーン、さらにそこから屋根の上でのチェイスなど、ちょっと目まいがしてしまいそうな映像。とは言え、なんとなく未だにヒッチコック風の撮り方をしているところに驚く。圧巻は闘牛スタジアムでのスローモーションやボレロ風BGM。新しいといえば、ドローンを犯罪に活かそうというところです。
そんなデパルマらしい作風ではあるけど、ストーリーはどこにでもあるような陳腐さに鼻白むかもしれません。拳銃とか携帯とかの小物をクローズアップしたり、いかにも伏線として覚えておきなさいと言われてる気もするが、すぐに解答しちゃう・・・みたいな。特にアレックス(カリス・ファン・ハウテン)が危篤状態のラースにキスするなんて、「あ、これはもしや愛人なのでは?」と思わせておいて、直後にクリスチャンに愛人だったことを告白するとか。何事においても種明かしが早すぎるのだ。
老齢デパルマもさすがに訴えたいことがあるのかと、真意をくみ取ろうとしても、テロリストISISを憎むようなメッセージしかありません。もう一つ、CIAがそのテロリストをエージェントに加えようとしてるとか、おバカなCIAにも恨みがあるみたいです。ちなみに“ISIS”といえば、金沢の専門学校に同じ名前の学校があります・・・
まぁ、CIA目線で観れば、テロリストの親玉を捕まえようとしてるのに、同僚・愛人の復讐のために地元刑事が出し抜いて殺しちゃいました~と、笑えるプロットでもある。そしてテロリストの親玉を殺したところで、新しいテロリストはどんどん生まれてるんだよ~というオチもある。そして、オランダ映画祭の殺戮映像はやっぱり怖いです・・・
デ・パルマが印象付けテクニックを使える箇所が脚本になかったのでしょうね。
やむなく、拳銃忘れシーンなどに過剰にテク使っちゃった感じでした。
デ・パルマの文法に合わない脚色だったと思います。
オランダとかイタリアとか、ヨーロッパの共同出資でしか映画が撮れなくなってますが、まだまだヨーロッパでは忘れ去られてはいない様なので、今後に期待しましょう。